【京の七夕】光・水・竹が織りなす堀川会場
2017年8月2日~16日の15日間、今年も「京の七夕」が開催されました。
「京の七夕」とは、旧暦の7月7日にあたる8月上旬に開催する七夕祭りで、祇園祭の賑わいが落ち着いたころに堀川会場と鴨川会場をはじめ、京都各地の会場でしっとりと執り行われます。
「京の七夕」の一つである堀川会場は、地域に密着したライトアップが特徴です。地元の小学校・幼稚園の子供たちによる願いの短冊や、寺院・神社の協力、学区の団体をはじめ民間事業者の連携によって会場があたたかな光に包まれます。また、京都の大学生・学生団体も一緒になって「京の七夕」を盛り上げます。
今回は堀川会場にお邪魔して、地域と大学生に注目するとともに堀川会場の魅力をお伝えします。
それでは行ってみましょう!
もくじ
8月5日(土)午後7時、堀川会場の幕開け
まず目に飛び込んできたのは提灯(ちょうちん)ゲート。
堀川会場のスタート地点はここから始まります。取材日は、初日だったので大勢の来場者で溢れていました。会場は車道から一段下がるため、周囲の石垣に包まれており自然のアーケードのようになっていました。
願いを短冊に込めて(和装特典あり)
「京の七夕絵はがき短冊」が案内所にて販売され、願いを書いた短冊は、ここで笹飾りに取り付けます。
和装来場者は、特別特典として先着150人に「西陣織コースター」or「香りのしおり」がプレゼントされるそう!お香の香りを身にまとい、ゆったりとした京の夜を満喫できます。
毛筆に込められた、著名人からのメッセージ行灯
京都に縁のある著名人からのメッセージが書かれた大型の「メッセージ行灯」。
メッセージ行灯の温かい灯りが堀川の川面に映え、毛筆の力強さと光の柔らかさが辺りを包み込んでいました。書画とライトアップのコラボは斬新で光の当て方が京都らしい。ここで京都出身の著名人であるお2人からのメッセージ行灯をご紹介します。
<今 この一瞬ごとが明日の君になる 倉木麻衣><逃げ道は 行き止まり 本田望結>
あらゆる世代が見ても考えさせられる素敵なお言葉。
次の一歩を後押ししてくれる力強いメッセージが胸にささります。ここにくると、一つ一つメッセージ行灯を鑑賞したくなりますね。
竹かご灯のゆらめき(二条橋下)
竹かご灯のゆらめきは、今年から新たに加わったライトアップです。
何よりも堀川と二条橋の空間がうまく利用されていたことに感心しました。低い空間の中に光が水面に反射され、竹かごのゆらめきが一層映える作品となっていました。
堀川会場の象徴 夏の夜空を彩る 青の星
堀川会場といえば、星のトンネル「光の天の川」です。
竹を使用したアーチ状の組み立てと青色のLEDが天の川を連想させ、七夕の世界を作り出します。外観から見る景色と、内側から見る景色どちらもおすすめのスポットです。
地元の子どもたちによる「願い」の短冊がおでむかえ
約40本の七夕飾りが遊歩道の両サイドに配置され、地元の子どもたちの可愛らしい願いが短冊となって笹に飾り付けられていました。近くで願い事を見るのもよし、上からみる眺めは短冊の飾り付けがキラキラと反射していてとても綺麗でした。
京友禅の天の川―水から育まれる伝統―
堀川の水面に浮かび上がる「光の友禅流し」です。
今年は糸菊を花火に見立て、夜空に輝く花火と天の川を表現しています。京友禅という伝統工芸が水と光の演出により、一つの川となっていました。浅瀬が水面に浮かぶ美しい模様をくっきりと映し出し、とても美しかったです。
光のしずくが集まり カラフルなクラゲのよう
このライトアップも、「竹かご灯のゆらめき」のように川と橋の空間がうまく利用されていた一つです。水面下に浮かぶ光のしずくと丸太町橋下に設置された低い空間が合わさり、水族館のカラフルなクラゲが泳いでいるように見えました。
地元の人たちの手で生み出す 熱い炎の灯
「堀川かがり火のみち」は本物の火を使った光のパフォーマンスです。住民の協力隊と消防団が一つ一つ火が消えないよう、清水の割り木をくべていました。オレンジ色に光る炎と火の粉のにおいが電気のライトには表現できないあたたかみを感じさせます。今回は小川学区住民福祉協力隊と滋野分団消防局をはじめとしたご協力のもと行われているとのことでした。たくさんの人たちの協力によって生み出される背景に感謝して光の鑑賞を楽しみたいですね。
ここからは、京都の大学生・団体による展示コーナーを紹介するとともに、インタビューの様子をお伝えします。
レトロな雰囲気漂う 昔懐かしいチンチン電車の復元
京都建築専門学校が手がける「なつかしのチンチン電車」展。
この電車は明治28年に開通した日本最古の電車。かつて、北野から京都駅を結ぶ路線があり、堀川通では堀川中立売から二条城前を経由して四条堀川の間を走っていたそう。
プロジェクターを用いて、かつての市電(チンチン電車)が走っていた当時の懐かしい映像も投影されています。現代の堀川を走るミニチュアの市電に子供たちをはじめ、大人からお年寄りまで心を奪われていました。
京都学生祭典「京炎」みこし代表、西川さんにインタビュー
京都学生祭典「京炎」みこし’17代表 西川 文悟(にしかわ ぶんご)さん
――京の七夕に参加したきっかけを教えてください。
西川さん:去年から「京の七夕」に参加させていただいております。その背景として堀川会場の「堀川を美しくする会」の方から「京炎 そでふれ!」を踊れないかというご依頼がありました。
――なぜ「京炎」みこしを展示されているのですか。
西川さん:踊りのご依頼をいただいたのですが、夏はお祭りの季節で踊り手が少なくなることから、踊りのパフォーマンスは難しいという判断になりました。代わりに京都学生祭典の象徴である「京炎」みこしというオリジナル創作みこしを展示することになりました。
―去年からの変化はありますか。
西川さん:大きな変化は二つあります。一つ目は京都学生祭典 関係者のみこしにかける思いを書いた木札の展示です。また、ブース内では来場者の方にも木札にみこしを見た感想などを書いていただいています。二つ目に写真撮影ブースの設置です。「京炎」みこしを撮影する来場者が多くいらっしゃることから私たちが代わりに写真撮影をし、チェキを使ってその場でプレゼントする企画を考えました。みこしを背景に来場者の方にオリジナル法被を着用していただき、写真撮影をしています。
―これからの「京の七夕」での目標を教えてください。
西川さん:京都のみこし文化を来場者はじめ、より多くの方に楽しみ、知ってもらえるよう努めていきたいです。
記念に「京炎」みこし前でパシャリ。後からチェキで撮った写真もいただきました!
昨年の京都学生祭典の記事はこちらから↓
・第14回京都学生祭典の実行委員長、北川さんのインタビュー記事
https://kotocollege.jp/archives/3633
・第14回京都学生祭典の様子
https://kotocollege.jp/archives/3765
都ライト実行委員会代表、布山さんにインタビュー
都ライト実行委員会‘17 代表 布山 雅祐(ふやま まさひろ)さん
――京の七夕に参加したきっかけを教えてください。
布山さん:今年で「京の七夕」の参加は3年目を迎えます。その背景として、都ライトは京都の上京区で主に活動を行っているのですが、地域と交流する機会をもっと増やしたいという私たちの思いと堀川会場の「堀川を美しくする会」の方からご依頼もあり、「京の七夕」に参加させていただいております。
――「京の七夕」での活動内容はどのようなものですか。
布山さん:ブースに私たちの活動写真を販売しています。また本企画でも地域の方とライトアップをすることを目標としているので、一条戻り橋の先で堀川ホタルプロジェクトと都ライト実行委員会がコラボして「堀川ほたるの森」のライトアップを行っています。
――「京の七夕」を通して、去年からの変化はありますか。
布山さん:学生団体が増えてきたように感じます。イベントとして年を重ねる中で、「京の七夕」が学生に開かれる場となっているのではないでしょうか。こういった日々の活動を表現する場や、たくさんの人に見られる場は貴重なのでこれからも大切に続けていきたいと考えています。
都ライトの記事はこちらから↓
・都ライト‘16 町家を彩るいろんな灯り
https://kotocollege.jp/archives/4067
・都ライト‘15 町家と灯りが織りなす町並みにうっとり
https://kotocollege.jp/archives/1391
柔らかな光が水の中で泳ぐ 堀川ほたるの森
堀川ホタルプロジェクト×都ライト実行委員会が手がける「堀川ほたるの森」のライトアップがこちら。一条戻り橋をぬけると、まるで森の中に入ったように幻想的な雰囲気が立ち込めていました。水の中で揺らめく柔らかな光が堀川と木々にとけ込み、自然と一体化したライトアップになっています。
五山の送り火に願いを届けよう
ゴール地点に差し掛かると、かわいい金魚がお出迎えしてくれました。
ここでまた笹の短冊を発見。毎年8月16日に行われる清水寺の「たなばた願文お焚き上げ」と「京都五山送り火」において、願いの短冊が京都の空へと届けられるそう。私たちも貴重な機会に、この場で短冊に願いを書きました。
< 願いがとどきますように>
夏の京を彩る「京の七夕」
今回「京の七夕」の一つである堀川会場を取材させてもらい、地形や自然を生かしたライトアップに最後まで感動しました。それと同時に、地域の方々をはじめとしたさまざまな協力があるからこそ、深みのあるライトアップになるのではないかと感じました。
来年もどのような光の演出が見られるのか楽しみです。
地域の魅力・京都の文化を実感できる、素晴らしいイベントでした。
取材に協力してくださった皆さま、ありがとうございました。
(文:佛教大学 社会学部 唐澤葵衣)
(協力:同志社大学 法学部 平井雅子)
(写真:京都産業大学 文化学部 石永路人)