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【都をどり】記者発表会に潜入!&新成人の舞妓さんにインタビュー!

4月から京都で学生生活をスタートされる新入生の皆さん!入学おめでとうございます!! 突然ですが、皆さんは“京都”と聞いてまず何を思い浮かべますか??
“伝統文化”や“舞妓さん”と答える方が多いのではないでしょうか。「せっかく京都の大学に通うのだから、より近くで触れ合いたい」と思う方も多いと思います。
京都で最も大きく、歴史ある花街の祇園甲部で芸妓・舞妓が出演する舞台“都をどり”。今回はこの“都をどり”の記者会見の様子と新成人を迎える舞妓さん2人へのインタビューについて、お伝えします。最後までどうぞお楽しみください!!

 

“都をどり”とは?


都をどりは明治5年(1872年)に開催された京都博覧会の附博覧(つけはくらん:余興)として始まり、今年でなんと150回を迎えます。毎年4月の1か月間、開催しており、どなたでも鑑賞することができます。都をどりでは芸妓・舞技が、舞を舞う立方(たちかた)、唄と三味線を担当する地方(じかた)、鼓・笛などの鳴物を担当する囃子方として、それぞれ呼吸を合わせ、華やかで洗練された舞の世界が繰り広げられます。舞台は「ヨーイヤサー」の掛け声で幕が開き、揃いの浅葱色の総をどり(芸妓・舞妓が大人数で一斉に舞うシーン)の衣裳をまとった芸妓・舞妓たちが一斉に登場します。全八景から構成される1時間の舞台で四季の彩りや古典文学の世界を表現します。
通常の演劇公演と異なり、一度も幕を下ろすことがなく行う舞台転換が特徴です。振付は明治5年(1872年)の創始から「京舞 井上流」(祇園甲部の正式流派。京都五花街で日舞の流派がそれぞれ違います)が担っており、五世家元・井上八千代師が直接指導されています。舞だけではなく、唄・三味線・鳴物は生演奏で歌詞も毎年書き下ろされているので、進化し続ける伝統芸能を全身で感じることができます。
また、期間中は「茶券付一等観覧券」を購入されたお客様を対象に、公演前にお茶席が設けられています。お茶席では京風島田まげを結い、黒紋付の衿裏返しという正装をした芸妓がお点前を披露してくれて、お菓子とお茶を味わいながらおもてなしの心を感じることができます。

今回、取材の他に特別に“衣裳合わせ”や“パンフレット用撮影”の様子にも立ち会うことができました。今年は150回記念公演であること、そして現在放送中の大河ドラマ「光る君へ」にちなんで、着物の裾部分には“御所車”(ごしょぐるま:牛車を指す、貴族の乗り物)、袖には“御簾”(みす:平安時代に貴族が使用していたすだれ)が描かれていました。そして肩口には枝垂れ桜が咲き誇るように施されていました。実は、衣裳は同じものを毎年着用しているのではなく、演目などに合わせて毎年新調されているそうです!実際に説明を聞いたことで、細部まで拘っていることが伝わってきました。毎年新調される着物と帯は、匠の手で作られ、その衣裳の艶やかな美しさは唯一無二のものであることを痛感しました。

 

学生料金でお得に⁈

都をどりのチケットは通常、一等観覧券が6,000円(茶券付一等観覧券7,000円)、二等観覧券が4,000円ですが、学生(中学校・高等学校・大学・専門学校・高等専門学校等に通われる学生・生徒)の皆さんはこの二等観覧券をなんと、2,000円で購入できちゃうんです!!
https://miyako-odori.jp/miyako/

「二等席って舞台が見づらかったりして、あまりいい席じゃないんじゃ……。」と思う方もいるかも知れませんが、二等席からの見え方はこんな感じです。

歌舞練場は比較的コンパクトな作りになっているので、後ろの席でも十分に楽しめると思います!!
この機会にぜひ、都をどりを体験してみては!?

 

 

~新成人の舞妓さんに色々聞いてみました~


今年、新成人を迎える舞妓さんの紗友美(さゆみ)さん(左)、櫻千鶴(はるちづ)さん(右)のお二人に特別にインタビューさせていただきました!お二人とも笑顔がとっても可愛らしい舞妓さんです。

―――お二人が舞妓さんになりたい!と思ったきっかけは何ですか?
紗友美さん:私は小学生の時にTVのドキュメンタリー番組で舞妓さんが映っていたのがきっかけどす。放送を見て衝撃が走り、私もああいう風になりたい!と夢を抱くようになりました。
櫻千鶴さん:私は小さいころから着物が大好きで、偶然手に取った着物の本に舞妓さんが載ってたんどす。その美しさに惹きこまれて見た瞬間に、可愛いし綺麗やなと思って。毎日着物を着て仕事ができる“舞妓さん”という職業に自然と憧れを持つようになりました。

―――確かに!私も着物が大好きです!!芸舞妓さんの衣裳ってつい見入っちゃいますよね(照)。ちなみに、今回のお二人のお衣裳のポイントはどんなところですか?

紗友美さん:簪(かんざし)どすね。 夏やったら、団扇や朝顔の簪を挿すことが多いんどすけど、取材前までパンフレット用の撮影で「夕顔」という夏の場面を櫻千鶴ちゃんや姉さん方と一緒に撮ってもらっていたので、それにちなんで夕顔の簪を挿してます。
櫻千鶴さん:あとは着物どす。この時期やったら本来着物は“袷”(裏地のついている着物)なんどすけど、紗友美ちゃんも言ってくれはったように、夏の場面をさっき撮ってもらったので、今回は特別に着物は涼しげな“単衣”(裏地がついてない着物)。だらりの帯は“絽”(通気性の高い夏物時生地)どす。桔梗や笹、青紅葉があしらわれていてとってもかいらしおすよね。
(取材前にお二人は都をどりの衣裳合わせとパンフレット用に夏の場面を撮影されていたので、普段と衣裳が違うそうです。)

―――舞妓さんって普段どんな生活をされているのですか?
紗友美さん:まず、朝は9時頃に起きます。10時頃から舞やお三味線などのお稽古が始まるのでそれまでに朝食や身支度を済ませてすぐ出かけます。お稽古は1時過ぎに終わって、少し自由時間があって、それから15時半~16時頃にはもうお座敷に向かう準備どすね。お化粧とか、男衆さんによる衣裳の着付けとか。
櫻千鶴さん:そして夜はお座敷に回ります。お座敷が終わると自分たちの屋形(舞妓さんがそれぞれ生活・所属する場所)に帰宅してお化粧を落としたり、お風呂に入って、寝るのは大体深夜の2時頃になりますね。お座敷が早く終われば、深夜1時の時もあります。
(祇園甲部では年齢によって屋形に帰る門限が決められています。)

―――かなりストイックな生活をされているのですね。お二人がこれまで1番苦労されたことはどんなことですか?

紗友美さん:私は言葉どすね。石川県出身やので、中学を卒業して直ぐに祇園に寄させてもらった時、最初はもう何が何だか分からしまへんどした。なので、普段の生活で屋形のお母さんや姉さん方が話されているのを見様見真似で、その都度指摘を受けながら必死に身に付けました。あとは笑顔で居続けること。うちは顔が怖いってよう言われますので……(笑)。どんな時もニコニコできるように心掛けています。でも、毎日楽しいことばかりではあらしまへんので、落ち込んだときは自由時間に趣味の読書で、好きな本を読んで、気持ちをリフレッシュさせています。

櫻千鶴さん:私は自分の好きな事とか、行きたい所に行きたくても行けへん日が多いことが少し辛いどすね。舞妓ってお昼はお稽古、夜はお座敷っていう生活がずっと続くので自由がおへん。でも、舞妓っていう仕事がほんまに好きやので今こうやって続けられていますし、もし落ち込んでも寝て、次の日にはすぐ忘れることを心掛けています。あとはお三味線どすね。うち、お稽古事の中でほんまに苦手で……。もっと気張らなあきまへん(笑)。やっぱり舞を舞っている時が一番楽しおす。

―――逆に、舞妓さんをしてきて一番嬉しかったこと・楽しかったことはどんなことですか?
紗友美さん:普段、中々お会いできひん方々にお座敷でおもてなしすることやったり、イベント等で普段中々行けへん色んな所に連れて行ってもらえることどすね。実は海外にまだ行ったことが無いので、行ってみたいなぁとずっと思っています(笑)

櫻千鶴さん:私はお座敷でおもてなしさせてもらったお客様に帰り際、「今日は楽しかったよ。ありがとう!」と言ってもらえた瞬間どすね。せやさかいに、どんなにしんどい状況でもお客様のその一言で気持ちが吹き飛ぶというか、舞妓さんやってきてほんまに良かったなと思えます。

―――お二人は今年新成人を迎えると言うことで、今年の抱負はズバリ……?!
紗友美さん: 今まで以上にもっとしっかりとお稽古やお座敷をきばりとおす。この頃、お母さんに「もう二十歳やし」と言われることが多くなりました。自分でも舞妓になりたての頃より大分余裕が出てきたと感じるので、普段の言動から気を付けて、後輩の手本となれるようにしたいどすね。もう大人の仲間入りやので。

櫻千鶴さん:これまでの舞妓としての経験を活かして、「大人」としてしっかりした、後輩にも慕われるような姉さんになりとおす。舞妓の中でも姉さんの方になってきたので、「櫻千鶴さんはお姉さんやなぁ」と誰もが思われるように、大人としての自覚を持ちながら精進しとおす。

お二人:長い目で見ると、今後の目標は芸妓としてこれからも祇園甲部で伝統文化の担い手になる事どす。

 

 

おわりに


いかがでしたか?皆さんも観に行ってみて京都の春を、是非間近で感じてみてください!学生生活のいい思い出になるのではないでしょうか……。

また昨今、生活様式の変化などにより芸妓・舞妓が減少傾向にあり、さらには花街を彩る京の伝統工芸品も需要が減っていることが課題となっております。祇園甲部では、芸妓・舞妓の募集案内を公式HP上でも行っています。
https://miyako-odori.jp/geimaiko/#Maiko
社会人や学生を経て地方(じかた:芸舞妓の舞に三味線を用いて伴奏する人)の芸妓になる人もおり、以前よりも門戸は広く開かれています。

実際に京都の大学を卒業後、祇園甲部で地方の芸妓としてデビューされた方もいらっしゃいます。以前その芸妓さんに広報部がインタビューさせていただいたので、こちらの↓インタビュー記事も是非チェックしてみてくださいね!

【講義レポート】奥深い芸の世界へ―惠美華さんに聞く

京都の大学生から芸妓の道へ。惠美華さんにインタビュー!

 

京都で過ごす学生生活は貴重で様々な経験をすることができます。大学デビューの記念に、そして学生生活の思い出に、都をどりを観覧して京都の“ほんまもんの文化”を間近で体感してみませんか??

(大谷大学 文学部 宇野ヒカル)
(京都女子大学 文学部 内海万知子)

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