インタビュー

京の伝統文化を世界へ きものびと 荻野まどかさんが語る(前編) -学生時代とモデルのお仕事-

京の伝統文化を世界へ きものびと 荻野まどかさんが語る(前編) -学生時代とモデルのお仕事-
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年間5000万人を超える観光客が訪れる京都市。皆さんの中には修学旅行で訪れたという方もいるかと思います。

京都といえば、神社仏閣、舞妓さん、八ツ橋など様々なものが思い浮かぶのではないでしょうか。

また、地下鉄などに乗っていると、着物を着ている方もよく見かけます。

今回は、着物モデル、女優、歌手など幅広く活動されている荻野まどかさんにインタビューさせていただきました。

荻野さんは、着物を通して、京都の伝統文化を世界へ発信されています。

前編では荻野さんに、学生時代のお話やモデルのお仕事などについて伺いました。

荻野まどかさん プロフィール

 

京都出身 着物モデル 歌手

大学1年時に約3000名の応募者から「大阪今宮戎神社・ミス福娘代表」に選ばれる。

交換留学制度によるフランスのリヨン第3大学やアメリカへの留学を経験。

帰国後は「京都・ミスきもの」のグランプリに選ばれ、1年間の和装振興と観光誘致に励む。

任期後は着物モデルとしてパリ、モロッコ、オリンピックイベントで司会として活躍し、また大阪万博誘致の一環としてカザフスタンでJAPANパレードに参加。

また、時代劇ミュージカルで初舞台にして主演を務めるなど女優としても活躍。

2018年には『振り向いて京都』で歌手としてデビュー。

今年2月に発売された 2枚目シングル『ヨイヨイやよい』は、有線全国5位にランクイン。

オフィシャルウェブサイト(http://madokaogino.mystrikingly.com/

荻野さんが語る学生時代

――荻野さんはモデル、女優、歌手など幅広く活動されていますが、学生時代から様々なことに積極的に取り組んでいましたか?

中学生の時から生徒会活動をやっていました。昔から人前で表現することやみんなで何かを作り上げることが好きで、「学校の中で面白いことをしたい」といった積極性があったかと思います。

そういえば大学時代に、「京都学生祭典」にスタッフとして参加したことがあります。1人で参加することに不安を感じていたのですが、思い切って会議に行ってみると、ウェルカムな雰囲気だったので安心しました。

京都学生祭典の本祭当日のことはよく覚えています。当時人気だった「新選組リアン」という男性グループが、その年の京都学生祭典に出演してくださったんです。スタッフの私は、ステージ周りで安全管理のための紐を持つ担当でしたが、彼らは相当な人気だったので、お客さんのパワーに圧倒されながら紐を持っていました。

京都学生祭典は長く続いてる大きなイベントですね。今では懐かしい思い出ですが、本祭当日に初めて平安神宮に行った時の、わちゃわちゃした感じを覚えています。

京都は大きなお祭が開催される一方で静かな日常生活があったりと、いろいろな表情を持っていると思います。

京都の大学生が中心になって作り上げるお祭を、スタッフの立場で経験することができて良かったなと思います。

京都学生祭典について知りたい方はこちらの記事をチェック!

 

――伝統文化を発信する活動をしようと思ったきっかけについて聞かせてください。

小さい時から世界的ベストセラーの『ハリーポッター』が好きで、本を読みながら、「私もいつか海外で活躍したい」という思いを抱いていました。すると、大学生の時に交換留学に行く機会があり、1年間フランスで過ごすことができました。当時は美術を専攻していたので、数多くの美術館を観て回りましたね。

フランス留学中に気づいたことは、フランス人は自分の国のことが好きで、自国の文化や伝統について話すことができるのに、京都出身の私は日本はおろか京都の文化や伝統についてすら話せないということ。このままでは海外で活躍できないと痛感しました。

そんな中、東日本大震災が発生しました。日本人留学生の私たちはインターネットを通じて悲惨な状況を知り、現地で日本のためにボランティア活動を始めました。

しかしヨーロッパでは、日本はアジアの国の中の1つとしか認識されていないようで……。私たちが「日本に募金をお願いします!」と言っても協力してくれる人はなかなかいませんでした。

まず「日本とはどんな国か」を知ってもらう必要があると思いました。

日本が「どこにあるのか」「どんな文化があるのか」などを伝えるため、日本から持参した着物を着て茶道のデモンストレーションのお手伝いに参加したり折り紙を見せたりしました。そうして出会った人に日本についてお話したうえで、「今この国が大変なので募金活動をしています」とお願いしました。

この留学経験から、「日本の魅力をもっと知ってもらいたい」「日本の伝統や、京都の良いところを勉強したい」という思いが強くなり、また、留学中の必須アイテムだった「着物」についてさらに知りたいと思い、帰国後「京都・ミスきもの」に応募しました。

――「京都・ミスきもの」にはご自身で応募されたのですか?

はい。インターネットで調べて自分で応募しました。

留学前から「京都・ミスきもの」というと“着物に詳しい人”というイメージがありましたが、私のような普通の大学生が気づいた魅力を、同世代の学生のみなさんにも伝えられるのでは思いました。

――大学在学中に「京都・ミスきもの」のグランプリに選ばれたということですが、どのような活動をされましたか?

京都と着物の魅力を広める活動をしました。全国の百貨店などで行われる物産展のキャンペーンガールのような活動や、京都市内のイベントで、花束を介添えしてステージに花を添えるような活動を1年間行いました。

テレビ番組に出演して伏見の酒蔵をめぐるナビゲーターを担当したりもしました。生放送の番組にも出演しましたね。『なまりうた』という番組で、全国の方言で名曲を歌唱するという企画に参加したこともあります。私は京都弁で「あんた」や 「~どすえ」みたいに変えて歌いました。

様々なところに着物姿で出演している私を見て、「着物って良いな」と感じた方が京都に来てくれるかもしれないと思うと、面白くてやりがいのある活動でした。

――大学との両立は大変でしたか?

スケジュールが1週間詰まり、番組収録や派遣活動が何本も重なる時期がありました。その時は忙しかったですね。例えば夏休み期間だと、午前中は夏期講習に行き、午後から伏見の酒蔵めぐりに行くといった日もありました。活動のない時は学生生活を楽しんでいましたよ。

着物モデルとしての活動

――着物モデルの活動について教えてください。

「京都・ミスきもの」の活動がきっかけとなり、大学卒業後も着物モデルやタレントとして活動を続けています。印象に残っているのは帯屋さんのモデルとしてフランスとモロッコに行った時のことです。

パリの展示会で、「どうやって帯ができるのか」という動画を見たのですが、その動画の中に京都府の金銀糸職人の方が出ていたんです。

小学生の頃学校で金銀糸の生産について学んだり工場見学に行ったりしましたが、当時はそれほど印象に残っていませんでした。ところが着物モデルになってパリでその動画を見て「京都で作られた金銀糸がこの帯に使われているのか!」と改めて知ると、とても嬉しくなりました。

他にも大阪万博の誘致活動にも参加しました。2017年にカザフスタン共和国で開催されたアスタナ国際博覧会のジャパンデーで、着物を着て大阪・関西の伝統や文化を紹介するパレードに参加したんです。現地の学生さんが担いでくれた籠に乗せてもらいました。

カザフスタンの方は日本のアニメや漫画が好きみたいで、携帯の画面に「ありがとう」と表示して見せてくれたりもしました。遠く離れた国でも日本の文化を知ろうとしてくれていてることが嬉しかったです。

・写真提供 イマジンワンワールドKIMONOプロジェクト

最近では、2019年に東京スタジアムで開催された「ラグビーワールドカップ2019日本大会」の開会式のセレモニーに参加しました。世界213箇所の国と地域それぞれをイメージした着物を用意し、決勝に残った20か国の着物を着用し、ショーを行いました。

例えば私が着用したカナダの着物であれば、カナダの国旗をイメージした赤と白の配色に楓や草花の絵が描かれていました。他の国もその国を連想させる世界遺産や名所がデザインされた着物で、スタジアムのピッチを歩いていると各国の方が自国の着物を見て喜んでくださるので、少しだけ日本代表のような誇らしい気持ちになりました。

――海外の方に着物を見て頂く機会が増えているのですね

そうですね。着物は日本の伝統技法が詰まっていて、海外の方にも一番わかりやすいと思っています。

特に振袖は長い袖が大きなキャンバスになるので描かれる絵の割合も大きいじゃないですか。日本の伝統的な技法やデザインを用いて仕立てられた着物を見て「綺麗だな」と感じるのだと思います。

世界規模の式典で着物を着用するシーンが多いのも、日本の文化や魅力を発信するときに効果的だからこそではないでしょうか。

前編はここまで

前編では荻野さんの学生時代、そしてモデルとしての活動について伺いました。

大学時代に京都学生祭典や留学、京都・ミスきものと様々な経験をされていてることに、皆さんも驚いたのではないでしょうか。

近年大きなイベントで海外の方に着物を見て頂ける機会が増えていることは、僕自身も嬉しく思います。この記事がきっかけで、着物と出会う方がいれば嬉しいです。

後編では京都と着物への想い、そして中高生へ伝えたいことを語っていただきます。

では後編でお待ちしております。

(取材・文)同志社大学 法学部 梅垣 里樹人

(撮影)  龍谷大学  政策学部 今西 賢

 

この記事を書いた学生

かれんちゃん

かれんちゃん

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