京都の大学生のリアルなライフスタイル紹介メディア



【講義レポート】奥深い芸の世界へ―惠美華さんに聞く

 京都市と大学コンソーシアム京都が主催している京都学講座。今年は“復活の京都”をメインテーマに開講しています。コロナ禍からの制限が解除され復活のきざしが見えはじめている昨今の京都を、「復活の京都」の歴史から専門家とともに読み解きます。今回は、基本講座の1つである祇園甲部芸妓・地方の惠美華(えみか)さんの講義に出席してきました。この記事では、その講義についてご紹介します。

惠美華さんプロフィール

京都市伏見区出身。花街(かがい、はなまち:お茶屋などが集まっている町)文化に興味があり大学2年時に芸妓になることを決意。大学3年の春から中居見習いのアルバイトとしてのお稽古を始める。
京都産業大学文化学部京都文化学科を卒業後、祇園甲部芸妓・地方(じかた:芸舞妓の舞に三味線を用いて伴奏する人)に。

芸妓さんの日常


(お座敷での曲を演奏する惠美華さん)

 普段の惠美華さんは、午前中にお稽古があり、15時ごろからはお座敷(おざしき:芸妓などが呼ばれる酒宴の席)の準備。18時から24時までお座敷にあがる……と、とても忙しい日々を送られています。

京都の風物詩である“都をどり”が開催されている時期は、さらに忙しくなるとのこと。早朝から“都をどり”の準備を行い、午後からはお座敷に向けての準備があります。そのため、早朝に家を出て夜中に家に帰ってくることもあり、睡眠時間を削ることもしばしば。さらに“都をどり”がある4月はお休みはないそうです!
 芸妓さん・舞妓さんは忙しいだろうなとは思っていましたが、まさかここまで忙しいとは思ってもみませんでした。そんな忙しさの中、美しさを保っている芸妓さん・舞妓さんには尊敬の念しかありません。

この講義では特別に“舞台やお座敷”で惠美華さんが演奏されている三味線を聴くことができました。三味線は温度や湿気によって音が変わるため丁寧に音の調整をしている様子が印象的でした。惠美華さんの歌声と三味線の音でとても心地良く聴くことができました。大学生にとって、芸妓さんが演奏してくださる三味線を生で聞く機会はなかなかないので、非常に良い体験ができました。

修業時代


(惠美華さんとます音さん)

 芸舞妓さんには、現役でいる限り生涯“姉さん”という公私にわたり指導される先輩格の芸妓さんがおられるそうです。惠美華さんの姉さんは惠美二(えみじ)さん。惠美華さんの同期のます音さんの姉さんはます穂さん。先生の稽古の時間以外は姉さんが稽古をつけてくださるそうで、それぞれ「惠美筋(えみすじ)」「ます筋」と呼ばれるのだとか。姉さんの筋によって三味線の音や歌の間合いが異なると伺い、ますます興味深く感じました!!

 また、惠美華さんとます音さんは同年齢の同期です。同じ年齢の同期がいることは舞妓ではよくありますが、地方(じかた)では本当に珍しいそうですよ。

惠美華さんからは「妹の不始末は姉の責任、その代わり、妹にとっては姉さんが言うことが絶対なんです。例え白いものでも姉さんが“黒だ”と言えば“黒”なんです」とお話があり、厳しいながらもつながりの強い花街の世界を垣間見ることができました。

惠美華さんの将来の夢

 前述したように惠美華さんは、大学2年生の時に「芸妓さんになりたい」と決意されました。そんな高い志を持っている惠美華さんの将来の夢を聞くと「まだ未熟な部分もあるので、芸事(げいごと:歌・三味線など、遊芸に関する事柄)や接客に磨きをかけて、座持ち(ざもち:客のもてなしが巧み)の良い芸妓になりたい」と話されていました。
惠美華さんだったらきっとなれると思います!!応援しています。

最後に

 京都といえば舞妓・芸妓を思い浮かべる人も多いと思います。京都の文化の1つになっている京・花街の文化。この記事を通して、その魅力を少しでもお伝えすることができれば幸いです。

京都学講座が終わった後、惠美華さんには京都学生広報部のインタビューに応えていただいています!こちらの記事もお楽しみに!

https://kotocollege.jp/archives/27802

 この京都学講座は大学コンソーシアム京都加盟校の正規学生なら、なんと無料で基本講座の受講が可能です!!京都の大学生の皆さん、機会があれば自分の興味がある講義をぜひ受けてみてください!また、京都の文化に関心のある高校生の皆さんも京都について深く学べる大学で学んでみるのはいいかがですか?

大学コンソーシアム京都 京都学講座
https://www.consortium.or.jp/project/sg/original

(京都女子大学  文学部  田中 澪弥渚)

合わせて読んでみては?

ソーシャルメディア

ソーシャルメディアでも最新情報をゲットしよう!