【未来のリーダー、必見】第15回京都学生祭典・実行委員長と井戸端会議してきた【後編】
京都の平安神宮前・岡崎プロムナード一帯で10月8日(日)に開催される「京都学生祭典」。前編の記事を読まれたみなさんは、きっとどんなお祭りか大体の雰囲気をつかんでもらえたかと思います!
後編でも、引き続き京都学生祭典・実行委員長の喜馬 爽(きば さやか)さん、広報部の稲垣知沙(いながき ちさ)さんにお話を聞いています。今回はより濃厚かつ具体的に、実行委員長、また実行委員のあれこれや、リーダーとして思うことについて聞いてきました。お堅そうなテーマに見えますが、終始ほがらかなムードに包まれながら様々なお話ができました。ぜひ、肩の力を抜いて読んでください。どうぞ!
もくじ
実行委員長への道のり
池垣:最近、私の実感として、イベントとか企画を運営するサークルに入ろうとしてる人が増えている気がするの。喜馬さんはなんで京都学生祭典に入ったんですか?
喜馬:私、たぶんめっちゃイレギュラーな理由なんやけど、小学校4年生ぐらいの時に学生祭典に来て、私の姉が踊ってるのを見て。そのあと、大学に入ってから実行委員を募集してるのを見つけたときに、「そういえば道路上に座り込んで見てたわ」って、思い出したんです。小学生って、そういう普段あまりできひんようなこと、好きじゃない? 道路に座ってるときの高揚感が、ね(笑) それで、その場の勢いで入った。ご縁ですわ(笑)
池垣:ああ、その言葉私も大好き(笑) そういえば、聞きたかったんやけど、実行委員長ってどうやってなるんですか?
喜馬:立候補制の選挙がある。
稲垣さん(以下、「稲垣」):結構物々しい雰囲気ですよね。
喜馬:うん、ちゃんとスーツも着て、所信表明もする。毎回、本祭の次の日から立候補が始まって、1週間後にはもう選挙がある。
池垣:ええ、全然休まらへん……お祭りが終わって、バ~っと脳内物質が出てる時期に、立て続けに選挙があるのね(笑)
喜馬:そう。実行委員のみんなの気持ちが冷めやらぬうちに、全部やってしまいたいからね。
池垣:鉄は熱いうちに打て、みたいな?
喜馬:そうそう、それ!(笑)
池垣:実行委員は何人ぐらいいるの?
喜馬:大体、250人ぐらいかな。当日運営の人たちも含めたら、300~400人ぐらいの人が協力してくれてる。
池垣:めっちゃ多いやん……そんなにたくさんの人を束ねてる実行委員長って、正直なところ結構大きな権限があるの? 実行委員長の役割ってどんなもの?
喜馬:まずは団体の責任者で、その次にみんなをまとめる役かな。なにか新しく始めたいこととか、決定しなければいけないことがあれば、細かいところはみんなを信用して「どうぞどうぞ、ご自由に」って任せちゃうねんけど、「これはヤバい」っていう大事なところは、大人も含めていろんな人の意見を聴いて回る。
池垣:自分だけで仕事をいっぱい抱え込むと、最終的に周りのみんなを困らせてしまうこと、あるからね。信用して誰かに仕事を任せるのは、そういう点で絶対に必要なこと。逆に、リーダーとして責任をもって成し遂げなければならない仕事は、周囲の意見を聞きながら綿密に調整する。それが出来る人は、ちゃんとメリハリがついていて、すごく尊敬できる。今の話を聞いてると、リーダーというよりは、頼れるみんなの「ドン」みたいな感じがする。「長」? 古墳時代のムラの「長」みたいな? なんか違うか(笑)
喜馬:なんか嫌や、それ!(笑) でも確かに、「ドン」みたいやな。
プレッシャーには、逆に燃える
8月27日(日)開催 15thアニバーサリーフェスタin京都駅ビル&ポルタにて、門川大作・京都市長と喜馬さん。
池垣:実行委員長の役割で、プレッシャーを感じることはないですか?
喜馬:普段はあんまりないけど、特に今年は「第15回」やから、「なんかすごいことせなあかん」っていう周囲からのプレッシャーは感じてた。
池垣:プレッシャーがかかると、「逆に燃えちゃう」タイプ?
喜馬:そうやね、なんだか楽しくなっちゃう(笑) 「私、今すごいこと話し合ってるわ~!」って感じかな。もともと精神的に落ち込むタイプじゃなくて、超ポジティブシンキングやねん(笑)
池垣:話してても、そんな感じがする(笑) でも、稲垣さん、そういう人の下で作業するのって良くない?
稲垣:そうですね! 不安なときも、喜馬さんが「いいよ、やっちゃえやっちゃえ!」って言うと、「じゃあいいか!」って思えます。リーダーが明るいと、私たちも元気が出るじゃないですか、「喜馬さんのためにも頑張ろうかな」って。本当は私たちの何百倍も大変なのに、笑顔で接してくださるからすごいんですよ。
喜馬:あげるのうまいな、稲垣さん(笑)
池垣:インタビューから、喜馬さんの人柄が垣間見えてくるよね。そんな喜馬さんでも、普段ストレスがたまることはありますか?
喜馬:あるある!(笑) やっぱりメンバーが250人もいると、主に関わるのは各部門のリーダーとはいえ、人を相手にしているわけやし、思うように動いてくれないこともあるじゃないですか。人の動かし方って教科書に載ってるわけじゃないし、去年のメンバーと今年のメンバーは違うから、去年のやり方と比べることもできないし。
池垣:確かに、去年のやり方と比べられない一面はあるよね。そういうときは、どうやってストレスを発散する?
喜馬:おしゃべりかな(笑)
怒る時は、怒る
池垣:それにしても、先輩として、後輩をほめるのは大事やなあ、と思う。
喜馬:そうやね。普段、ちゃんとほめられてるかな? でも、「怒らなあかん」と思った時には、怒るよ。1年計画の活動やから、どうしても中だるみが出てくるやん。けじめをつけなあかん時はつけなあかんし、いいことも言わなあかんと思う。みんなの前で言う「いいこと」のストックはそんなにないけど、まず、話す時の一発目は笑いをとろうって決めてる(笑)
池垣:みんなの前で怒った時、「みんなから反感買うかも……」って怖くなることはない?
喜馬:そういう気持ちがあるから、みんなに怒る前に、感情論をいかに言葉にするか、すごく考える。もともと嫌われてもおかしくない役職やから、「嫌われたくない」というよりは、「みんなに伝わったかな、次はちゃんとやってくれるかな」の気持ちの方が大きいかな。
池垣:それは、やっぱり愛情?
喜馬:そう、愛情、愛情。愛であふれる実行委員長(笑)
稲垣:絶対思ってないでしょ(笑)
イベントづくりは「楽しい」
池垣:さっきから様子見てるとすごく仲よさそうやね。
稲垣:喜馬さんがとてもフレンドリーなんですよ!本当に、頼りがいがある。
喜馬:「歩くコミュ力」やからな(一同笑)
池垣:みんなが楽しんで「成功」っていう目標に向かってて、すごくいいと思う。
喜馬:1年間も運営したら、やっぱり愛着がわくでしょ?
稲垣:お祭りの当日は丸1日朝から晩まで働くけれど、どれだけ嫌なことがあっても当日だけはすべて楽しいんです(笑)
池垣:わかる。全部の作業が終わったあとは、もうドーパミン出まくりやろうね(笑) イベントつながりで、私がすごく気になっているのが、「学園祭とは何が違うの?」っていうこと。まず、学園祭は、大学生が主体になって繰り広げられるよね。
喜馬:そうやねん! 学園祭は、参加者の学生はやりたいことを出来るけど、京都学生祭典は地域、大学、経済界、自治体……いろんな方々に支えてもらっている「お祭り」やから、地域の人にも知ってもらいたいし、周囲の方から求められるものも出てくる。社会の期待に応えながら、自分たちのアイデアを実現していかないといけない。それが、私は面白いなって思う! 周囲の方々に、自分たちのアイデアをどうやったら「面白い」って言ってもらえるか考えて、努力するのが面白い。あと、「いかに京都の学生を活躍させるか」を考える場やから、実行委員自体は基本的には土台であり、裏方かな。
池垣:それはどんなイベント・企画の実行委員も一緒やね。考え方、働き方も似てる気がする。
稲垣:でも、段々マヒしてきません? 他のサークルの友達と話して、初めて自分が「働きすぎ」っていうことがわかるんです(笑)
池垣:確かに(笑) でも、同じ実行委員の子とずっと一緒にいる分、すごく仲良くなれませんか?
喜馬:それがイベント運営の醍醐味よね。辛さも共有できるし、全部共有できる。
池垣:めちゃくちゃ忙しいし、「働きすぎやな」って思うこともあるけど、本当に楽しい。睡眠時間が「3・3・4・3・16」みたいになるのもお約束(笑)
稲垣:わかります! どこかで寝溜めちゃうの、すごくわかります(笑)
「幸せを運ぶ」
池垣:この3年間を通して、一番楽しかったことは何ですか?
喜馬:うーん、全部楽しかったからなあ、それはあかんかな?(笑)
池垣:辛さも含めて、全部楽しかったということ?
喜馬:私は、辛いことは全部忘れるねん(笑) 楽しかったのは、普通の人生を送ってたら一生出会わないかもしれないような大人の方に出会えたことかな。私はたぶん一生忘れないから、本当によかった。
稲垣:喜馬さん、目上の方にときめきがちですからね(笑)
喜馬:そうやねん! 私、この役職に本当に合ってると思うし、この役職が好き。それは、様々な目上の方々にお会いできるから。大人の方って、私たちよりも長い時間を生きてきた分、私たち学生が知らないようなことについてもたくさん知識があるよね。そういう方々にお会いして、そういう知識をお聞きするのはすごく面白い。
池垣:大人の方と話すとき、緊張したりしない?
喜馬:しない! 自分の飾り方も分からへんからね。でも、大人の方には自分から積極的にお話しするようにしてる。門川市長をはじめ、大人の方々には、いつもあたたかく受け入れていただいてるかな。
池垣:目上の方から積極的に知識を吸収する姿勢、私も見習いたいなあ。普段の生活でも、目上の方とお話する機会はたくさんあるし。
喜馬:でも、楽しさの物差しがめっちゃ短いから、やっぱり何をやっても楽しく感じる! だから、全部が楽しいって言っちゃう。
池垣:喜馬さんとお話ししてると、幸せになるね。
喜馬:じゃあ、私は「幸せを運ぶ」女やな!(笑)
リーダーとして、思うこと
池垣:京都学生祭典のリーダーとして、既存の枠を打ち破りたいと思いますか? それとも、今までの伝統を守っていきたいと思いますか?
喜馬:企画内容や外見は変えていけばいいと思うけど、これまでの実行委員が作ってきた内側の見えない部分、コンセプトや精神的な部分は絶対に変えたらあかんと思う。第1回(15年前)の時と今では、流行りも、例えば世間で流行ってるお化粧も全然違うし、目に見える部分は打ち破っていきたいと思ってる。京都学生祭典を、もっともっと「みんなから愛されるお祭り」にしたい。今は「学生が集まってうるさくやってるわ」っていう厳しい声をいただくこともあるけれど、いつかは「なんだか、いいんじゃない?」って言っていただけるようなお祭りになるといいな。
池垣:外側の装いだけ、時代に合わせて進化していく、ということかな。第15回に際して、何か思うことはありますか?
喜馬:最初は「第15回の節目や!」って気構えてたこともあったけれど、人間にたとえると「15歳」ってまだまだ青臭いなって。「まだまだ15年目なんで、私たちが目指してるのは四大祭なんで」って思ってます(笑) ただ、「第15回」は通過点やけど、大事な節目。本来の意義、学生が与えられる影響は節目じゃないと気づかないものが絶対にあるし、その意味ではすごく大きいものやと思う。私たちの時代を踏み台にして、これから20年、30年と続いていくお祭りやから、その時に振り返れる、胸を張れるような「第15回」にしたいな。
池垣:実行委員になってからの2年半で、得た教訓はありますか?
喜馬:うーん、なにより「言ったもん勝ち、ポジティブなことも言ったもん勝ち。学生らしさを活かす」ってことかな。これは間違いないと思う!
池垣:じゃあ、最後にメッセージを!
喜馬:来場してくれる方には、15回目の京都学生祭典なので、学生のパワーを感じてほしいですね。学生を通して京都の魅力も伝わるから、京都好きの方、それに京都に住んでる方は絶対に来てほしいです。イベントを企画・運営したいと思ってる人は、(京都学生祭典の実行委員会に)ほんとに来てほしいです! イベントを成功させるために一つの目標に向けて努力することは、自分自身得られることが大きいし、友達と一緒じゃないと得られないこともありますよね。人生に深みが出る・色々な知識が得られる・楽しい、この三つがそろったら、もう無敵じゃない?(笑)
池垣:自分から楽しもうとする姿勢ってほんとに大事。
喜馬:そういう姿勢も学べるから、「イベントの企画・運営って素晴らしいよ」っていうことを伝えたい。それと、これからリーダーになる人には、「深く考えすぎないこと」を伝えたいです。深く考えすぎたら楽しくないし、自分がまず楽しむことも大事やけど、一番その団体の将来を見据えられないといけないのはリーダー自身やからね。
池垣:リーダーが楽しそうやと、ほかのメンバーも、結果もついてくるもんね。
インタビューを終えて
泣く泣く削った部分もたくさんありますが、実行委員長の人柄がすこしでも見せられたでしょうか?さっぱりした底抜けの明るさ、ポジティブシンキング、積極的な姿勢、そのなかに包まれた人を慮る気持ち、そして京都学生祭典への情熱。リーダーに必要な素質がたくさん見えてくるような気がします。
そこでは、喜馬さんも学生代表として、未来の京都や今後の京都学生祭典に対する想いを語られています。そちらの記事も、ぜひお見逃しなく!
彼女を筆頭にたくさんの学生の手によって作られた、第15回京都学生祭典。時代の目撃者になるのはあなたです。
前編はこちら
第15回 京都学生祭典
本祭当日テーマ 「京都学生祭典のキセキを感じる日」
場所 : 平安神宮前・岡崎プロムナード一帯
(JR・近鉄「京都駅」から:市バス5・100系統「岡崎公園美術館・平安神宮前」下車すぐ, 阪急「四条河原町」から:市バス46 「岡崎公園美術館・平安神宮前」下車すぐ,地下鉄東西線「東山駅」から徒歩約10分)
(京都大学 文学部 池垣早苗)
(写真協力 山本 奈未(京都女子大学 現代社会学部))