京都発・日本最長ロングランの秘密に迫る!ノンバーバルシアター『ギア-GEAR-』現地レポート&インタビュー

ここからは、『ギア』の制作に携わられているアートコンプレックスの小原悠路(こはら・ゆうじ)さんへのインタビューをお届けします。
制作にあたってのこだわりや制作のウラ側はもちろん、12月7日に開催される「京都ヒューマンフェスタ」での特別公演についてもお聞きしてきました!
もくじ
ロングランの原動力は「夜のエンタメ」としての存在価値

――公演回数5000回突破、35万人来場という偉業を達成された『ギア』の原動力は何だとお考えですか?
ロングランになったのはいろんな理由があります。一つは、『ギア』が夜でも楽しめるエンターテイメントだということ。
京都には観光スポットはたくさんあるんですが、海外にはよくある夜に楽しめる場所がなかなかないんです。お寺とかも大体夕方で閉まっちゃいますし。
映画とかもいいけど、生で何かを見たり、体験したりすることの楽しさを知ってもらいたい。『ギア』を通して、夜も楽しめる体験を京都の魅力の一つとして提案しました。
実際に、昼公演は日本のお客さんが多く、夜は主に海外のお客さんに楽しんでいただいているんですよ。
また、『ギア』は演劇を楽しむ入り口になる作品として作っています。
普段演劇を観ない人は、舞台を観に行くハードルが高いと思うんです。その点、いつでも上演しているから気軽に入れるのが『ギア』の良さです。
――『ギア』は京都を拠点にロングランを続けていますが、京都という街で活動されることは、作品にどのような影響を与えていると感じますか?
京都は観光客が多く、観光資源もたくさんあるポテンシャルの高い街ですよね。その一方で、歴史的な観光資源に頼りすぎている部分があるとも思っていました。昔から伝統文化が育まれてきた街ですが、それにすがり続けるだけじゃなくて新しいものを発信していかないと、文化は発展していかないですし。
ロングラン公演を成功させるためには、観光客の観光プランに『ギア』の鑑賞を組み込む必要がありました。
短期間の公演だと人々は急いで行こうと思うんですが、無期限ロングランだと「ずっとやってるならそのうち観に行くわ」と考えて、なかなか来てもらえないんです。
しかし、観光客をターゲットにすることで、来る人側がこの期間しか京都にいないという理由が働く。
「じゃあ京都に行った時には観ないといけない」となるので、このロングランのデメリットを解消できるんです。
だから、観光客が多い京都で公演するのは、すごく意味のあることなんです。
――海外のお客さんを多く呼び込めるのも、ノンバーバルという形式だからこそですね。
そうですね。ロングラン上演するうえで、観光プランに組みこまないといけない。
その意味で、日本語が分からなくても楽しめるノンバーバル作品を、立ち上げ当初から目指していました。
セリフを排除してこそ生まれる感動

――セリフを排除することで、観客に何を一番伝えたいですか?
ノンバーバルの作品は海外にも色々あるんですが、興奮や笑いといった要素で構成されたものが圧倒的に多いんです。
そんな中で僕たちが目指しているのが、感動してもらえる作品づくりです。
ただ笑って大興奮するだけではなくて、「あれはどういう意味やったんやろ」と、何かしら考えてもらえるような、お客さんの心に引っかかりを残すような作品を目指しています。そういう作品作りって繊細で難しいんですが。
――『ギア』を実際に観ると、演出で全てのメッセージを伝えるのではなく、観客の解釈の余地が大きい作品だと思いました。
例えば水墨画など、日本には余白に美を感じる文化があるので、この作品を作る上でも、面白い・楽しいだけじゃなくて、余白の部分に何かを感じてもらえる、いろんな意味にとれる作品づくりをあえてやっているんですね。
また、日本人はノーと言えない、白黒はっきりしないと言われることがあるんですけど、それが必ずしも悪いことではないというのが僕たちの考え方です。
これが善でこれが悪だと決めつけちゃうと争いや戦争が生まれるんですが、そうじゃなくて、お互いのいいところを探して調和させていくのが得意なのが日本人だと思っていて。作品の中にもそういうものが現れたらいいなと思って作っています。
12月7日(日)、ギアが京都テルサにやってくる!
そんな『ギア』ですが、12月7日(日)に京都テルサで開催される「京都ヒューマンフェスタ2025」で出張公演されるそうです。
――ヒューマンフェスタは「参加者が人権問題について気づき、考え、行動につなげる」ことを目的としています。『ギア』の公演は、このテーマにどう関係すると思われますか?
元々この作品のテーマが「バランスと調和」で、『ギア』という作品タイトルにも想いが込められています。
「ギア」は、歯車という意味ですよね。歯車というワードだけ聞くと、例えば「社会の歯車」みたいなネガティブなイメージで使われることが多いんですが、僕らはそういう意味では捉えていません。

作品に登場するロボットたちは、いろんな色・形・サイズがあって、それぞれの歯車がバランスを取りながら調和して噛み合っていくことで、1人では動かすことができないものを動かせるというのが、この『ギア』という作品に込められた思いなんですね。それぞれの個性を認め合いながら、みんなが調和して、より豊かな社会にしていこうよ、というのがこの作品に込めたメッセージでもあるので、『ギア』を通して人権を身近に感じてもらえるんじゃないかと思います。
――今後『ギア』をどのように発展させていきたいですか?
この作品を通して、バランスや調和の大切さに少しでも目を向けてもらえればいいなと思っているので、なるべく多くの人にこの作品が届けられるようにしたいです。
そのために、他の拠点への展開や、新しい技術を用いて試行錯誤しています。
ロングランで上演しているからといって作品に完成はなくて、常に変わっていく時代の中で常に求められる作品であるために『ギア』は常に変わり続けていく、そういう視点を欠かしてはいけないと思っています。
――今回の「京都ヒューマンフェスタ2025」でギアのパフォーマンスを楽しみにされている方に、メッセージをお願いします!
普段は劇場でやっている作品なので、一部しか持っていけないのですが、ノンバーバルのストーリーやスゴ技のパフォーマンスといった『ギア』の要素は極力詰め込むようにしています。
京都ヒューマンフェスタに来て「面白い」って思ってもらえたら、本編はもっとすごいものが観られるので、そのきっかけとして楽しんでもらいたいです。
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【京都ヒューマンフェスタ2025 開催決定!】
日本最長ロングランの感動舞台『ギア-GEAR-』の特別パフォーマンスが、京都テルサにやってきます!「いのちの輝き ~あなたの想いが、明日をつなぐ~」をテーマに、誰もが人権問題について気づき、考え、行動するきっかけを作る参加体験型イベントです。12月7日(日)に京都テルサにて開催! 詳しくは公式HPをご覧ください。
京都ヒューマンフェスタ2025の詳しい情報はコチラ!
https://kyoto-jinken.net/informations/informations-7425/
『ギア-GEAR-』のHPはコチラ!
https://www.gear.ac/
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