インタビュー

柚子の里「水尾」で 柚子しぼり体験してきた

柚子の里「水尾」で 柚子しぼり体験してきた
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実は日本の柚子栽培発祥の地は京都市右京区にある「水尾」なんです。皆さん知っていましたか?この土地は、清和天皇(850~880)が愛した地で、ここで隠遁生活を過ごしたともいわれています。
天皇を魅了した水尾の里。その魅力は一体どこにあるのでしょうか?

今回、私たちは柚子の里「水尾」で行われた「京の食文化を支える 柚子しぼり加工体験」を取材しました。この取材を通して知った水尾の魅力を、写真を交えてお届けします。ぜひ最後までご覧ください!!
(取材日:2022年11月12日)

電車を降りたら…

まず、京都駅からJR山陰本線(嵯峨野線)に乗って、保津峡駅まで向かいました。たった20分という近さにも関わらず、電車を降りると都会とは違う清々しい空気に取材班2人とも感動。

保津峡の景色もきれいです。
このJR保津峡駅から自治会が運営するバスに乗って水尾の里を目指します。

柚子農家が語る柚子の魅力

いよいよ、イベントの開始です!
はじめに、柚子農家の方から柚子畑でお話を伺いました。

柚子作りは肥料やり、枯れ枝の処理、収穫に至るまで全てが手作業です。収穫時期は11月下旬から12月で、収穫の際は手作りのはしごに登ります。

収穫した柚子はサイズごとに分けて出荷します。また、酒屋さんには果汁を、お菓子屋さんには果汁をしぼったあとの皮や種を出荷するなど、捨てるところがない柚子。無駄にすることのないよう大切に扱われているそうです。

お話を伺って、水尾の柚子が美味しい理由は、寒暖差がある気候と農薬を少なくしたり枯れ枝を取り除いたりする手作業によるものであることがよくわかりました。

一方で、水尾の里は人口40人にも満たない小さな集落で、若い年代の方が少なく、柚子農家の最年少は60代です。水尾の柚子を守り続けるためには人手不足が課題になっています。

農家の方は「通いでも育てられるからぜひ挑戦してほしい」とおっしゃっていました。

いざ!柚子しぼりへ

いよいよ柚子しぼりの体験です。
上の写真のような機械を使います。
力いっぱいしぼりすぎるとしぼり汁は苦くなってしまうので、力加減が重要。

柚子は機械の刃に食い込ませてセットします。セットする柚子の向きも、無駄なくしぼりきれるかに影響します。とても繊細な作業なんですね。

しぼりたての柚子

柚子しぼり体験のあとは、しぼった柚子を使って柚子ゼリー作りに挑戦!子どもたちも一所懸命お手伝いします。
とても簡単なレシピだったので、ぜひ家でも作ってみたいと思いました。

ゼリーの上には柚子のピールが乗っていて可愛らしいです。
取材班2名もちゃっかり食べさせてもらいました。お味は……最高でした‼︎

参加した子どもたちも身を乗り出して、自分の作った柚子ゼリーを探しています。

また、この日は柚子茶もいただきました。地元では、昔からお客様へのおもてなしとしても出されるそうです。材料は柚子と砂糖のみと伺いましたが、ほのかな酸味があり、優しい味でした。

再び散策へ

柚子しぼりの体験が終わってからは、水尾の里を案内してもらいます。
まずは、京都市北部山間かがやき隊員で、水尾で暮らしている鳥居亮太(とりいりょうた)さんの住宅に伺いました。
鳥居さんにお話を伺うと、

北部山間かがやき隊員として、水尾に住みながら地域おこしに関する活動を行っていて、今回のようなイベントの企画やサポートをされています。また、6日間で累計約1000人の方が訪れた10月のフジバカマ観賞会用にフジバカマを育てるなど、地域活動のお手伝いをされています。

鳥居さんが暮らす家は昔ながらの雰囲気が残っていて、黒電話やおくどさん、屏風といった昔から伝わる日本の家具・家電がたくさんありました。

次はフジバカマ畑へ!

次はフジバカマ畑へ移動します。
ところで、皆さんはフジバカマってご存知ですか?

フジバカマは万葉集で秋の七草として詠まれました。また、源氏物語にも登場するなど、昔から日本人に親しまれてきた花です。
しかし、現在では絶滅危惧種に指定されています。

そのフジバカマが、柚子に並ぶ新たな魅力づくりとして2009年から水尾の里で育てられています。そして、フジバカマを求めてある珍しい蝶が訪れるようになりました。
アサギマダラという渡り蝶で、沖縄や台湾からはるばる水尾の里まで飛んでくるそうです。

このような豊かな自然は住民やボランティア総出で取り組みが行われ、それが代々引き継がれることで保たれています。

最後に清和天皇社へ。
冒頭にも紹介したように、清和天皇は晩年を水尾の里で過ごしました。
階段を登って社に到着。毎年5月3日に行われる清和天皇社例大祭の際は御神輿を担いで階段を昇り降りするそうです。

自然を満喫した1日

取材目的で参加したものの、自然を肌に感じ、採れたての柚子を食べ……。お土産にも柚子をもらい、本当に至れり尽くせりのイベントでした。

また、都会の喧騒から離れることができ、新鮮で充実した1日を過ごすことができました。
帰るころには自然の力をもらえたような気がします。

水尾の里では、予約すると柚子風呂に入ったり鶏鍋を食べたりもできます。
少しでも気になったらぜひ水尾の里を訪れてみてはいかがでしょうか?

 

(取材・文:同志社大学 法学部 原田愛菜)
(取材協力:同志社大学 スポーツ健康科学部 早川茉美)

この記事を書いた学生

原田愛菜

原田愛菜

同志社大学 法学部

色んな人に京都や大学生活の良さを伝えていけたらと思います!