インタビュー

【都をどり】151回目の伝統を京都で繋ぐ思い

【都をどり】151回目の伝統を京都で繋ぐ思い
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雪がしとしとと降る2月中旬、祇園では都をどりの記者発表会が行われました。
都をどりといえば、芸妓・舞妓さんが一同に会し、祇園甲部歌舞練場で4月いっぱい行われる京都の伝統的な舞台です。
今年で151回目となり、昨年大きな節目を経て気持ち新たに迎える4月。
今回はその記者発表会と、衣裳発表会の様子をお伝えします!

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伝統の舞台、都をどり

都をどりが行われる祇園甲部歌舞練場は、中に入ると舞台の奥行きや深みのある紅色でまとめられた観客席、格天井などに品の良さと趣を感じました。
都をどりについては、昨年取材した際の記事で詳しく説明されています。下のリンクから併せてご覧ください!

『【都をどり】記者発表会に潜入!&新成人の舞妓さんにインタビュー!』
https://kotocollege.jp/archives/

『都をどり開幕直前の総仕上げ!大ざらえに行ってきた』
https://kotocollege.jp/archives/31368

記者発表会では、まず学校法人八坂女紅学園の杉浦理事長、京舞井上流家元の井上八千代お家元、同志社大学前学長で文学部教授の植木先生の3人が登壇されました。
植木先生は2014年から作詞を担当していて、今年も全8景の演題『都風情四季彩(みやこのふぜいしきのいろどり)』の作詞・構成を行われました。
昨年に引き続き、ポスターの原画を描いたのは諫山宝樹さん。フィナーレで照明がついた時の華やかさをイメージしたそうです。

都をどりといえば、芸妓さん・舞妓さんが舞うという特別な舞台です。しかし、特徴的なのはそれだけではありません。1時間の上演時間の中で幕間は取らず、開幕から閉幕までノンストップで続く、まるで絵巻のような舞台です。振付、演出を担当した井上八千代お家元は、舞台を見て、みんなが京都にふと立ち戻るような気持ちになってほしい、1時間が夢のように過ぎたと感じてほしい、と語ります。

151回目の伝統を守りたい

続いた質疑応答では、京都の伝統としての祇園と、都をどりに対する誇りを強く感じました。

―――総をどりを舞う芸妓・舞妓が少ないなか、どのように人数を確保して舞台にのぞみますか?
杉浦理事長:花道を埋めるのはある程度若い芸妓・舞妓です。既に総をどりを卒業した大きいお姉さん(芸妓さん)も多くいますが、そういった芸妓さんがお囃子に戻って出演することで、お囃子に出ていた若い芸妓さんが花道を埋めることが可能になりました。
井上八千代お家元:卒業した芸妓さんが若い子に総をどりを任せたくれたことも大きいと思います。

―――最近は外国人観光客も年々増加していますが、外国人向けの演出などはありますか?
植木先生:数年前からイヤホンガイドを導入し、英語で場面を説明する工夫を取り入れて外国人観光客が観覧しやすくなるようにしています。一方で、外国人観光客に照準を合わせるような特別な演出は意識していません。明治から150回続いてきたという伝統の中で、これからも変わらず同じことをしていくことに意義があると思っています。
井上八千代お家元:都をどりは、解説を聞くというよりも、まず目で見てもらうことがより大事だと考えています。場面によって変わる色彩の違いなどを感じて欲しいです。
杉浦理事長:外国人だけに向けているものではありませんが、公演プログラムを販売しています。演目の紹介だけではなく各景の写真を取り入れて作成することで、公演を見ていない人がプログラムを手に取っても内容がわかるようにしました。最近はイヤホンガイドの影響もあり、プログラムを購入しない人も増えてきています。1つの読み物としても楽しめるよう工夫しているので、それ自体をお土産として渡しても1000円という価格とは思えないほど満足していただけるのではないかと思います。

―――インバウンドが増えている一方、京都に住む人、地元のお客さんはどのくらいいますか?
植木先生:京都に住んでいる人の中には、いつでも行けるからと思って足を運ばない人も多いと思いますが、都をどりの舞台である京都の背景を知ることも新鮮ではないでしょうか。京都の人が京都をもっと知るために見に来ていただけると嬉しいなと思います。
杉浦理事長:私自身は、小さい頃は家族で都をどりを見に行くようなことはありませんでしたが、今は毎年主催する側になり、本当にいいものだなと感じます。祇園のまちは常々敷居が高いと思われていますが、だれでも訪れることができるイベントの一つに都をどりがあります。ぜひこの機会に地元の方に見に来ていただきたいです。

―――伝統的な文化の継承に必ずしも肯定的ではない今の時代に対して、寄り添って変化させたい部分はありますか?
杉浦理事長:世の中が時代と共に変わっていく中で、変わらない良さ、変えない良さもあると思っています。都をどりは明治時代に行われた第一回からかたちを変えることなく続いてきたものです。マンネリだと感じる人も中にはいるかもしれませんが、周りがいくら変わっても都をどりは変えなくてもいい、変える必要がない良さがあるのが祇園の街でもあると思います。

今年初舞台!佳つ若さんへインタビュー

今年の都をどりで初舞台を踏む唯一の舞妓さん、佳つ若(かつわか)さんへのインタビュー。今年の抱負についても教えてくれました!

―――舞妓さんを志したきっかけはなんですか?
家族で旅行に来て舞妓さんを見たから、というような大きいきっかけは特にはありませんが、幼稚園の頃から舞妓さんやお着物がずっと大好きでした。小さい頃からの思いが舞妓さんになりたいという気持ちに変わっていき、志すようになりました。

―――初舞台を迎える気持ちを教えてください。
仕込みさんの間に都をどりを2回経験していましたが、舞台に出させていただくのは今年が初めてです。正直まだ実感は湧いていなくて、憧れの夢の世界に自分も立つことができるということがまだ想像できません。昨年はお茶席のおひかえだけさせていただく機会がありましたが、舞妓さんの白塗りはしていても舞台に立てなかった悔しさを感じました。去年はその悔しさとおひかえができる嬉しさを両方感じていたので、今年の初舞台は自分ができることを頑張ってお稽古していきたいです。

衣裳発表

最後は衣裳発表。今年は例年通り肩口から描かれた枝垂れ桜と、裾付近から広がる蛤模様の美しい衣裳です。蛤は平安時代から貝合わせに使われていて、夫婦円満を意味する縁起の良い紋様として用いられています。帯は桜と梅の紋様が取り入れられ、春らしい印象です!

おわりに

京都で明治時代から続く伝統の舞台、都をどりについてお伝えしました!
敷居が高く感じるかもしれませんが、なんと都をどりには学生用の割引席も存在します。学生証を提示すると、二等席を2000円で観覧することができ、とてもお得です!
京都でしか味わえない本場の雰囲気を、お得に楽しんでみては?

【令和7年 第151回都をどり】

会期:4月1日(火)~4月30日(水) ※4月15日は休演日となります
会場:祇園甲部歌舞練場(〒605-0074 京都府京都市東山区祇園町南側570-2)
観覧料:茶券付一等観覧席:7,000 円、一等観覧席 6,000 円、二等観覧席 4,000 円
二等学生観覧席:2,000円※二等学生観覧券は、中学校・高等学校・大学・専門学校・高等専門学校等に通われる学生・生徒の方に限ります。ご入場の際に学生証の提示が必要です。提示無き場合は差額を頂戴致します。
公式HP:https://miyako-odori.jp/miyako/

主催:学校法人八坂女紅場学園・祇園甲部歌舞会
協力:公益社団法人京都市観光協会
電話番号:075-541-3391

(佛教大学 歴史学部 直江和宣)
(同志社大学 文化情報学部 齊藤夏帆)

 

この記事を書いた学生

齊藤夏帆

齊藤夏帆

同志社大学 文化情報学部

かほじゃなくてなつほです。主食は音楽。