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和食の本場、京都で開催!特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」に行ってきた!

和食の本場、京都で開催!特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」に行ってきた!
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2025年4月26日~7月6日まで京都文化博物館で開催されている、特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」の内覧会に参加してきました。

「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」は、ユネスコ無形文化遺産にも登録された「和食」の魅力を科学や歴史など多角的な視点から紹介する全国巡回展です。

今回は、特別展の監修をされた佐藤洋一郎先生と國府方吾郎先生に、展示の案内と解説をしていただきました。
写真と共にその様子をお伝えします!

列島が育む食材

・岩石

会場へと足を踏み入れ、少し進んだ先にはなんと岩石が!

和食文化の展覧会で岩石が置いてあるのは珍しいですよね。

実は、岩石は食において非常に重要な役割を担っており、これによって軟水、硬水が分けられます。
お酒や料理にも深い関わりがあり、和食においては岩石が作る水の硬度が非常に重要視されています。

このように、自然史学的なトリビアを来場者に伝えるためにこの岩石が展示してあるそうです。

・キノコ

こちらには、キノコのレプリカが展示されています。

キノコと一口に言っても、世界各地では趣向が異なります。

例えば、松茸はその独特な香りが海外で嫌われていました。しかし最近では、和食文化がグローバル化されてきたことにより、海外でも松茸を食べるようになっているそうです。

このように、自然史や生物の分布、人々の嗜好性といった観点から見るのも楽しいのではないでしょうか?

・植物

皆さんは、野菜は植物だと思いますか?

この質問に、多くの人が「はい、そうです」と答えるのではないでしょうか。
しかし、野菜を食べる時には植物として意識していないことが多いと思います。
そのため、ここでもう一度「野菜は植物である」ということを強く認識してもらうことを目的として、このコーナーを作ったそうです。

(野菜の実物標本)

私たちが普段食べている野菜。実はほぼ全てが外国から伝来されたもので、日本にもともと分布しているものはほとんどないそうです。
例えば、和食の代表的な野菜となっている白菜が日本に入ってきたのは、なんと明治時代になってから。
そこから急速に和食文化に日本人が白菜を取り入れ、代表的な和食の野菜となりました。

(多彩な地大根のレプリカ 国立科学博物館蔵)

大根は日本が世界で最も種類が多く、伝統的な大根を含めると約800種類もあるそうです。
そのうちの25種類をピックアップしたものがこちらに展示してあります。
栽培品種も世界で最も種類が多く、日本はよく「大根王国」と喩えられるそうです。

・魚介類

(魚介類のレプリカ)

今でこそお寿司の定番ネタとして有名なマグロですが、食材として存在感が強まっていったのは江戸時代末期以降からだそうです。
大きさにも注目して見てみると、楽しめる展示なのではないかと思います!

・海藻

(ナガコンブの標本)

こちらには海藻の展示が並んでいます。こちらの標本は本物です!
島国の日本では、昔から様々な種類の海藻が食用として利用されてきました。
目玉の展示の一つとなっているナガコンブの標本は、まるで海を漂っているかのような工夫がされており、長さはなんと16mもあります!

全国お雑煮マップ

こちらは全国のお雑煮マップです。

餅の形以外にも調理法、味の仕立てなどの地域性がマップにまとめられています。
どこの地域からお雑煮に変化が現れるのか、自分の出身地のお雑煮と絡めて見てみるのも面白いかもしれません!
広報部でお雑煮の調査を行った記事もぜひ読んでみてください!

“【全国お雑煮比較】使うのは角餅?丸餅?”

これって和食?洋食?

皆さんは、カレーライスやラーメンは和食だと思いますか?

答えは人によって異なると思います。

こちらの展示では年代や世代、地域別の意見を円グラフで視覚的に確認することができます。アンケートの結果はWEB上で集計され、どちらの意見が多いのかが一目で分かるようになっています。

自分の考えと比べてみると、新たな発見があるかもしれません。
ぜひ、あなたの意見も投票してみてください!

室町時代の料理を再現!京都展限定の展示

(足利将軍御膳再現模型 京都文化博物館蔵)

こちらがなんと、京都展オリジナルの展示となっています!

京都府立大学 和食文化学科の学生と大和学園 京都調理師専門学校の学生が行った研究プロジェクトで、室町幕府第12代将軍足利義晴が祇園祭を見物した際に出された献立を再現しています。

学生たちが研究に研究を重ね、「この器は何を使ったのか」「調味料は何だろう」など、非常に細かいところまで考え抜かれた展示となっています。

佐藤先生にインタビュー


「日本にもともと分布していた野菜はほとんどない」とおっしゃっていましたが、日本古来からあった野菜は何があるのでしょうか?

日本原産とされるものは本当に少ないですね。

人間が穀物の栽培を始めたのは1万年以前だと言われていますが、現在食用とされている野菜の多くは、縄文時代や弥生時代にはまだ存在していませんでした。

今回の展示でも取り上げられている大根は、弥生時代頃に日本に入ってきているのですが、いわゆる葉物野菜の多くは平安時代以降、物によっては明治時代になってから日本に入ってきています。

また、野菜には「他家受粉」という性質があります。

これは、他の個体の花粉で受粉し、種子を作ることを指します。自家受粉する植物は、何世代経っても同じ性質を保ちますが、他家受粉する植物は、遺伝子の組み合わせが多様化し世代を重ねるごとに異なる性質が現れます。

野菜の多くはこの他家受粉の性質を持っているため、何十年も経つと姿や味が変わっていくのです。そういった意味では、今私たちが食べている野菜は、現代のものとも言えるでしょう。

さいごに

先生方のお話を聞きながら展示を見ることで、より多角的な視点から和食の奥深さや魅力を知ることができ、貴重な時間となりました。
レプリカや標本が多く展示してあり、非常に見ごたえのある内容となっています。
皆さんもぜひ足を運んでみてください!

特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」公式HPはこちら!

(取材・文 京都女子大学 現代社会学部  竹原亜月)
(取材・写真 京都府立大学公共政策学部 遠藤彩花)

この記事を書いた学生

竹原亜月

竹原亜月

京都女子大学 現代社会学部

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