第22回京都国際学生映画祭に行ってきた!
もくじ
京都国際学生映画祭とは??
京都国際学生映画祭とは、京都を中心とする関西の大学生が主体となって企画・運営を行う日本最大の国際学生映画祭です。京都は,かつて大手映画製作会社が多くあり(「東洋のハリウッド」と呼ばれていたことも),東映太秦映画村があったり、映画・ドラマの撮影地としても使われたりすることから、「映画のまち」と言われています。今回で22回目の開催となる京都国際映画祭…、古くから「映画」が文化として根付いている京都だからこその取組で,現在も続いています。京都国際学生映画祭は、そんな「映画のまち」であり、「学生のまち」である京都で、世界中の学生が自主制作した映画を紹介することによって、国際交流や相互理解の場を創出し、京都の活性化を目指しています。
今回は、その京都国際学生映画祭へ取材に行ってきました!
いよいよ幕開け
学生が制作した映画ってどんなのだろう?と期待しながら待っていると、いよいよ開会式が始まりした!
実行委員長である丘澤絢音(おかざわあやね)さんが
『京都国際学生映画祭にお越しいただきありがとうございます。今年度は30の国と地域から277作品の応募をいただき、その中から16作品を選出しました。人種、宗教、労働問題など、さまざまなテーマを問題とした作品をご覧いただくことで、皆様の心を動かすことができたら幸いです。』
と挨拶されると、英語で通訳が!!!海外の方にもわかるように運営されており、さすが京都国際学生映画祭だなと感じました(笑)。
この映画祭では、受賞作品を4つのプログラムに分け、3日にわたって上映されました。また各プログラムの、上映後は監督を交えてのトークショーが行われるんです!豪華!!
映画を観た感想
今回、私たちが観たのはAプログラムの4作品!!!
NO.1 The Shepherd (ノルウェー)
NO.2 リベンジ! (日本)
NO.3 AFTER THE RAIN (フランス)
NO.4 TILL THE END OF THE WORLD (オランダ)
感想ですが……
とにかく感動!!!!めちゃくちゃ泣きました。
こんなに素晴らしく心を動かされる作品を私と同じ学生が作っているんだという驚きがあり、鳥肌がたちました!!私も人の心を動かせる人になりたいな……。
それぞれの映画を観た感想を語らせてください。
NO.1 「The Shepherd」 (ノルウェー) 映像時間17分 監督:Brwa Vahabpour
〈主なあらすじ〉※第22回京都国際学生映画祭公式カタログより抜粋
ノルウェーに難民として逃れてきたクルド人一家。
親族の結婚式に向かう道中、野生動物を轢いてしまう。
一面真っ白の雪景色の中で、交錯する家族の想いと葛藤が浮かび上がってくる。
<感想>
この物語を観たとき、内容が難しすぎてすぐには理解できませんでした。物語の流れもこの映画が何を意図するのか???も……(笑)。
ただ、一家のお父さんが野生動物に治療を受けさせ、その家族のもとに返してやりたいと必死になる姿に胸が苦しくなり、また、家族と言い争うシーンで、移民という立場の難しさを改めて知ることができました。
私たちにも日々解決しなければいけない問題があります。そんな時、その問題を通して見える自分自身の課題といかに向きあうかが大切なのだと感じました。
NO.2 「リベンジ!」(日本)映像時間74分 監督:河谷 忍
〈主なあらすじ〉※第22回京都国際学生映画祭公式カタログより抜粋
廃業寸前の私立探偵キリシマと、売れないバーマジシャン、キツネ。
2人を繋いだのは悩める美女サワコからのとある依頼。
「あの人から、携帯電話を回収してほしいの」
小さな偶然が大きな奇跡を呼ぶ…はずだった。
<感想>
この物語を観たとき、最初はスト―リーの流れがうまくつかめなかったのですが、映画を観続けていくうちに、「あ!そういうことか!!」と鳥肌がたちました!物語の伏線が多かったのです。
例えば、Aの場面とBの場面の意図が結末にならなるまで結びつかないというように。構成が面白く、飽きがこない。気がつけば作品にのめりこんでいました!映画のタイトル「リベンジ!」の通り、最後は完璧なリベンジが行われており、観終わった後、爽快な気分になりました。
この作品の監督、出演者の方はなんと京都造形芸術大学(2020年4月より京都芸術大学へ名称変更)の4回生!
このような素晴らしい映画を制作された方を身近に感じることができました!
きっとこの作品の監督である河谷さんは数年後ビッグな監督になってるんじゃないか、と勝手に想像しています。
NO.3 「AFTER THE RAIN」(フランス)映像時間8分 監督: Valérian DESTERNE, Rebecca BLACK, Céline COLLIN, Juan Olarte, Juan Pablo DE LA ROSA ZALAMEA, Carlos Osmar SALAZAR TORNERO, Lucile PALOMINO
〈主なあらすじ〉※第22回京都国際学生映画祭公式カタログより抜粋
ある谷あいで、犬が珍しい羊飼いの主人と幸せに暮らしている。この羊飼いは、羊の毛を刈るだけでなく、羊毛から雲を作り、雨を降らせることで生活サイクルを維持している。しかし、もし羊飼いがこの仕事を続けられなくなったら、谷あいはどうなってしまうだろうか。この世界を守るため、犬は思いも寄らぬアイディアを思いつき…。
<感想>
泣けました。セリフがなく映像のみの作品だったのですが、映像だけでこんなにも主人と犬の愛、犬の行動力が伝わるんだと感銘を受けました。アニメーションのクオリティが高いところもこの作品の見どころなのではないかと思います。そして何よりもこの作品の内容、羊飼いの主人が刈った羊毛を空にあげることで、その羊毛は雲となり雨を降らせる。そうすることによってその村の生活サイクルを維持し、枯渇を防いでいるというファンタジーなストーリーに面白さを感じました。そして、主人が死んだ後、枯渇してしまった村を再生するための犬の力強さにあふれた行動にもまた、私は感動してしまいました。
この作品を手掛けた監督は、地元の羊農家や彼らの飼っている犬、業界の専門家といった多くの素晴らしい人に出会い、助言をもらったとお話をされています。この作品は7人の監督だけじゃなく、多くの方の支えがあってできているんだと思います。
NO.4 「TILL THE END OF THE WORLD」(オランダ)映像時間27分 監督:Florence Bouvy
〈主なあらすじ〉※第22回京都国際学生映画祭公式カタログより抜粋
8才のマリーはお父さんが大好き。陽気な夢が、突如彼女が見たことのない死んだ魚の目に変わりうる世界の中で、マリーは自立しようとする。父親の無条件の愛情に立ち向かう少女の強さを描いた物語。
<感想>
これもまた号泣。先ほどの作品とはまた違い、こちらは親と子のそれぞれが抱く感情に胸が苦しくなってしまう作品でした。マリーのお父さんに求める愛情と、お父さんがマリーへ与える愛情が相反してしまうんです。この物語のキーポイントとなるのがマリーとお父さんの庭にある船です。マリーはこの船に乗っているとき、自分は冒険に出ている、新しい世界に行くんだという気持ちでいました。しかし、お父さんはマリーに喜んでもらおうとその船にイルミネーションをつけてしまったのです。するとマリーは船が動かなくなってしまった、オブジェになってしまったとお父さんにいら立ちと涙を見せます。喜んでもらおうと思ってやったことが娘を悲しませる結果になってしまい、お父さんの目からも涙が。その瞬間、私はお父さんとマリーの2人の感情を理解することができ、もう涙腺崩壊でした。
なぜマリーとお父さんの間に溝ができてしまったのか?それはお父さんのアルコール依存症が原因です。8歳の娘にとっては、アルコール依存症になったお父さんを見るのはつらいし、怖いですよね。そんな恐怖のなかでもマリーはお父さんの愛情を求めて行動に出るんです。お父さんの愛情を求めた幼いマリーの行動に感動しました。
4作品に感動!!久しぶりに映画で号泣してしまいました。
こんな素敵な映画祭に関わっている学生たちの思いを聞いてみたい!と、副実行委員長の築山さんにお話をうかがいました。
副実行委員長の築山さんにインタビュー!
--京都国際学生映画祭実行委員会に入ったきっかけを教えてください。
築山さん:幼いころから映画が好きで、観る機会が多かったので、大学生ではただ映画を観る側だけではなく、映画の持つ魅力を伝える側にも立てれば、と思っていました。
京都国際学生映画祭は、まさしく私が探していた団体であり、また会議を見学させていただいた際にきっちりとした良い雰囲気を感じたため、実行委員会に参加させていただきました。
--京都国際学生映画祭を通して、よかったことや学んだことってありますか?
築山さん:まず、よかったこととしては、貴重な体験を沢山させていただいたということです。
私は実行委員としては、今年で2年目なので、1年目の反省や経験を活かし、よりよい映画祭をつくれるように注力しました。このことは私の大学生生活においてとても貴重な体験となりました。事務作業であっても、海外の方々に英語でお金権利の連絡をするなど、この活動をしていなければなかなかすることのない体験をさせていただきました。
次に、学んだこととしては、チームワークの大切さが挙げられます。
私、個人としてではなく、団体として活動していくにあたり、日々の会議が重要であることや実行委員全体で助け合うことがいかに強力であるか、といったことなどを学びました。
--277作品の応募を審査して、築山さん自身の感想をお願いします。
築山さん:本映画祭に応募された作品は学生映画であり、また世界中の国々からご応募いただいているため、非常に多種多様な作品を観ることが出来ました。
そのため、作品を通して様々な文化や思いに触れることが出来て面白かったです。また、考えさせられることも多かったです。どれをとってみても映画祭として上映したい、と思えるような作品ばかりでした。
最後に
いかがでしょうか。
今回で22回目となる京都国際学生映画祭。初めて取材と作品を鑑賞させていただきましたが、行ってよかったと心から思います。今回私は4作品をみせていただきました。どれも監督の伝えたい思いが様々で、違った感情や考えを抱き、私自身成長できたと思います。そして、未来の映画界を担う監督が世界にはたくさんいるんだと思いました。まだ知られていない素晴らしい作品が世のなかの人に広まればいいなと思います。
映画って深いですね。
京都国際学生映画祭に興味のある方、自分の作った映画を応募してみたいという方はぜひ公式サイトを覗いてみてくださいね!!
(文章:同志社大学 政策学部 山口実由加)
(写真:同志社大学 政策学部 嶋倉万由子)