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学問の神様として知られる北野天満宮の魅力を大公開!!

梅枝(ずばい) “思いのまま”について

(私が大学受験の際に梅枝“思いのまま”を授かり、白梅を咲かせてくれた時の写真)

–北野天満宮様で毎年授与されている梅枝“思いのまま”(北野天満宮のお正月の縁起物の1つ)はいつから授与されていますか?

北野天満宮では、道真公が亡くなられてから50年ごとに、萬の光を灯して道真公をお慰めする“萬燈祭”というお祭りが昔からあり、その際にみなさまに授与していたのが“萬燈梅”でした。

それがいつの頃からか枝になり、現在授与している”思いのまま”になりました。

–珍しい名前ですが、由来はありますか?

梅には“思いのまま”という名前の品種があります。とても面白い品種で、1本の中に白梅と紅梅が混ざっています。
その木の赴くままに花が咲くという意味合いで、 “思いのまま”という名前がつきました。

そして、北野天満宮の授与品の“思いのまま”は、「人事を尽くして天命を待つ」という言葉に因んでいるではないかと考えられています。
神頼みをするためは、まず自分ができることを最大限尽くし、その上で、最後の一押しを神様にお願いをする。

例えば受験で言うと、北野天満宮に来て合格祈願をしたあとに何もしていなかったら、もちろんそれでは受かるわけはありません。

まずはみなさまが受験勉強を必死に頑張り、受験に対して向き合い、その上で最後の一押しを神様にお願いをする。これが「人事を尽くして天命を待つ」ことだと、私は思っています。
これは受験だけではなく、どんなお願いごとにも当てはまるのではないでしょうか。よって、この”思いのまま”という名前も、「人事を尽くして天命を待つ」という言葉を表しているのではないかと考えています。

ご神木の梅について

–梅の木をご神木とする上で、何か特別な行事や手入れを行っておられますか?

一般的な梅の樹齢は100~130年と言われていますが、北野天満宮の“飛梅” (とびうめ:ご本殿前の梅の木)は樹齢400年を軽く超えています。これは、代々接ぎ木を行って飛梅の種の保存を続けてきたからです。
しかし、近年は少しずつ色が薄れていたり、花のつきが悪くなっていたりします。
この飛梅を次の世代に繋いでいかなければならないという使命感から、数年前から住友林業さんにご協力いただき、組織培養に取り組みました。そして、2022年に初めて花が咲いたんです。

また、それとは別に、定期的に梅のお手入れや土壌改良も行っています。

我々は先代から当時の技術で繋いできた飛梅を、次世代に繋いでいきたいと思っています。

–北野天満宮と福岡の太宰府天満宮にある飛梅で、何か共通の行事や手入れはありますか?

北野天満宮と太宰府天満宮にはそれぞれ飛梅がありますが、共通の行事や手入れは特に行っていません。
もちろんそれぞれの場所で、飛梅はご神木として大事に扱われています。
全国にはたくさんの“飛梅伝説”がありますが、その中でも、北野天満宮のご神木の飛梅がさまざまな飛梅伝説の中で唯一の原種であると確信しています。

(干されている大福梅)

–北野天満宮では“大福梅(おおふくうめ)”が有名ですが、この大福梅はどのように作られるのでしょうか?

“大福梅”は、村上天皇が流行り病の頭痛にかかってしまったときに、お茶に梅を入れて召し上がったら、病から回復されたという故事からくる縁起物です。

元旦に、お茶や白湯に大福梅を入れて飲むと、その一年間無病息災で過ごせるといわれています。

境内にはたくさんの梅がありますが、それが春になると花を咲かせ、春を過ぎると実をつけるようになります。
5月中旬に実が大きくなってくるので、神職や巫女を含めた職員総出で、一つ一つ摘んでいきます。
2022年は2.2トンの梅を収穫しました。収穫した梅は、塩水で洗って消毒した後、樽に入れてそこに塩を大量にいれ、梅雨の間塩漬けにします。

梅雨が明けたら、すのこに莚(むしろ)をひいて天日干しを約4週間行います。その間、朝に莚へ出して、夜に片づけるという作業を毎日行っています。

–授与までの期間はどのように保管されていますか?

水分が入らないようにさらに塩に漬けて、11月まで樽の中に保管しています。11月になると、大福梅にするために塩を取り、その状態を懐紙で包んで、12月13日の“事始め”と呼ばれる日から、みなさまに授与しています。

“赤目牛”について

(北野天満宮にある赤目牛)

–北野天満宮様でお祀りされている“赤目牛”について教えてください。

 他の牛と違って、赤目牛は気軽に触れてはならないのではないかと個人的に感じるのですが、他の牛と同じく赤目牛も触れて良いのでしょうか?

結論から言うと、もちろん撫でていただいて結構です。
これらの牛は当宮が用意したものではなく、全て崇敬者の方から奉納いただいたものです。
親子の牛もいれば、角のある牛とない牛もいますし、さらには石の素材も様々で、一体ごとに違っています。

なので、修学旅行生や観光客に「この牛はなぜ目が赤いのですか」とよく聞かれます。バスガイドさんやタクシーの運転手さんは「道真公が帰ってくるのを眠らずに待っているので目が赤いんですよ。」とか「逆に道真公が太宰府へ流されてしまって、残された牛が何日もずっと泣き続けたから、目が赤いんですよ。」などと、いろいろな話をされています。

けれども、どれが正しいのか、なぜこの牛の目が赤いのかというのは、実際のところは分からないのです。
それはあくまで赤目牛を奉納された方のご意志であって、どういう思いで赤い目にされたのかというのはその方にしかわかりませんが、そこには何かしら奉納された方の思いはあるだろうと思っています。 

ただ、他の牛と同じように、赤目牛も当宮の撫で牛の1つであり、楼門に入ってすぐみなさまの目に触れるような場所にある牛なので、ぜひ気軽に撫でていただいたらと思います。

 

ということで、 “赤目牛”も他の撫で牛と同じように気軽に撫でても大丈夫なようです!みなさん、赤目牛を見つけた際は、この写真にある私のように優しく撫でてみてください(笑)。

受験生に向けて

–合格祈願の参拝客は、毎年どれくらい来られますか?

2022年の2月から7月中旬までで、修学旅行として来てくださった学校数は500校以上です。
お正月は特に多くの方がいらっしゃるので、御本殿がいっぱいになるほどの学生さんと親御さんがお参りに来られます。
合格祈願以外では、どのような祈願が多いですか?

合格祈願以外では、厄除けの祈願をされる方が多いです。

北野天満宮は厄除けの神社でもあり、厄除けの信仰とはとても深い関係にあります。
例えば、厄除け信仰の一例として、京都の節分祭における四方参りが挙げられます。これは、まず北東にある吉田神社、八坂神社、壬生寺、そして最後に北西にある北野天満宮を時計回りに回り、鬼を追いやって北野天満宮で封じ込め、良い神様に変えて世に放つというものです。

また、桃は厄除けを象徴する果物ですが、北野天満宮の御神前の対角には、大きな桃の彫刻があります。これは北野天満宮が厄除けの神社であることの象徴だといえます。

このような経緯があるため、学問成就だけでなく厄除けのためにご参拝される方も多くいらっしゃいます。

(一願成就のお牛様(左)と絵馬)

–たくさんの合格祈願絵馬は、どのようにお焚き上げしているのですか?

北野天満宮には毎年10万枚以上の合格祈願絵馬が奉納されています。それを定期的に回収するのですが、必ず一枚一枚確認して、絵馬所に置くようにしています。
そうして外した絵馬は、毎年4月上旬に祈願絵馬焼納式として焚き上げます。

絵馬を高さ約3mに積み上げて、それに祓い清めの言葉を奏上して、火打石でつけた浄火を灯して焚き上げています。
絵馬やお守りというのは中に神様がいらっしゃるので、そのままゴミと一緒に捨てるというのは絶対にやってはいけなくて、お焚き上げすることでお願いごとを神様に届けているのです。

–境内で修学旅行生や受験生に訪れてほしいスポットはどこですか?

ご本殿にお参りをされるなら、ご本殿の裏の一願成就のお牛様のところにも訪れていただきたいです。境内にはたくさん撫で牛がいるのですが、その牛の中で最も古いお牛様が、ご本殿の裏にあります。
そこで絵馬を書き、牛を撫でて、 何か一つお願い事をしていただければと思います。

さいごに

今回、大好きな北野天満宮で神主さんに詳しくお話をお聞きし、記事にすることができ大変嬉しいです。
この記事が、少しでも北野天満宮の魅力や歴史について知るきっかけになれば幸いです。
受験生のみなさん、諦めずに最後まで頑張ってください。応援しています。

最後に、取材を受けてくださった北野天満宮の堀川さん、本当にありがとうございました。

(取材・文:京都女子大学  文学部  田中澪弥渚)
(取材:同志社大学 心理学部 関口理紗子)
(取材:佛教大学 歴史学部 直江和宣)

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