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世界の若者が「犯罪防止」について議論!参加学生にインタビュー

みなさんは、国際会議と聞いて何を思い浮かべますか?「政治家の人が難しい話をする」「英語で会議が行われる」「海外で行われる会議」などではないでしょうか。
2021年3月7日(日)から12日(金)にかけて京都で、ある国際会議が開催されました。その会議の名称とは、「第14回国連犯罪防止刑事司法会議(通称:京都コングレス)」。
今回は、会議に先立ち前週の2月27日(土)から28日(日)に開催された「京都コングレス・ユースフォーラム」に参加した京都の大学生に取材をしました。

京都コングレス・ユースフォーラムとは?

コングレス(国連犯罪防止刑事司法会議)とは、犯罪防止・刑事司法分野における国連最大の国際会議です。専門家が議論を行い、様々な分野における国際協力を促進することで、より安全な世界を目指して協働することを目的に開催されています。
このコングレスは1955年以来、世界各国で5年に1度開催されており、日本では1970年に京都で行われた第4回コングレス以来51年ぶりの開催。新型コロナウイルス感染症の世界的流行を受けて、1年延期の、2021年3月に開催されました。
そして、ユースフォーラムとは、世界の若者たちがコングレスの議題に関連したテーマについて議論を行うもので、前回のコングレス(カタール・ドーハ)で初めて開催されました。京都コングレス・ユースフォーラムにおける議論の結果は「勧告」として採択され、京都コングレスの場に提出されました。

今回は、京都コングレス・ユースフォーラムに参加した、松岡巧さん(京都大学教育学部4回生)・永井涼介さん(龍谷大学法学部4回生)・三須愛子さん(龍谷大学法学部2回生)にお話を聞きました。

参加経緯

――フォーラムにはどのような経緯で参加されたのでしょうか?

松岡さん:私は「京都BBS連盟」というボランティア団体に所属していて、少年の非行防止を目的に、社会復帰に向けたサポートや少年院の子どもに対して勉強を教える活動をしています。その団体の考えとユースフォーラムの考えが似ていたこともあり、参加しました。

永井さん:私は法学部で犯罪学を学んでいるということもあり、犯罪防止の観点から興味がありました。また、大学1回生の時に行ったアメリカのカリフォルニア州バークレーへの短期留学で経験した、ホームレスの方への支援ボランティアを通じて、薬物依存などが社会復帰を妨げているという事実も学びました。そうした学びを深めたり、自ら発信したりする場に巡り合えたと思い、参加しました。参加にあたっては、私が所属している龍谷大学にある「犯罪学研究センター」の先生が、ユースフォーラムに参加するための勉強会を開いていたので、そこで学び直しました。

三須さん:私は、少年犯罪に関心があったので、世界の同世代の人たちがどのような気持ちを持っているのかを知りたいという思いで参加しました。1回生で参加したので、ユースフォーラムが1年延期になっていなければ、このようなフォーラムの存在について知る機会がなく、参加することが出来ていなかったと思います。私も永井さんと同じ勉強会に参加して事前準備をしたうえで、フォーラムに臨みました。

――みなさんは、「青少年犯罪の予防・罪を犯した青少年の社会復帰における若者の役割」というテーマの分科会に参加されたと聞いたのですが、そのテーマについてどのような考えをお持ちですか?

松岡さん:青少年の社会復帰については、海外ではプロフェッショナルがサポートを行い、日本では地域のボランティアや若者が関わりながら支援しています。海外のプロフェッショナルと日本のボランティアの違いは「青少年との心の距離」であり、その距離は日本の方が近いのではないかと考えています。

永井さん:青少年が犯罪を犯す理由としては、DV(家庭内暴力)やネグレクトといった外的環境要因と青少年の興味や無知が影響していると考えています。そのことから、興味に対して罰するのではなく、教育を行っていくことが大切だと考えています。

三須さん:私も青少年が犯罪を起こす理由は、育った環境などの外的要因が影響していると考えています。犯罪を犯した青少年をただ罰するだけでは、外的要因の影響で再犯してしまうかもしれない。そうならないためにも差別のない社会を作っていく必要があると考えます。

開催の地、京都について

――京都で開催されたことについてどう感じましたか?

松岡さん:京都は「大学のまち」と言われていることもあり、多くの留学生も京都で学び国際色が豊かです。また、学生の若い文化と伝統的な文化が混ざっている感じもします。コングレスの京都での開催が決まった頃から、京都BBS連盟として何か関われないかと、発表内容などを含めて様々な準備を進めてきました。今回は対面とオンラインの併用での開催でしたが、京都で開催されたため会場で参加することもでき、その点は良かったと考えています。

永井さん:私も京都で開催されたからこそ現地で学び、会場の雰囲気を味わうことができたことが良かったです。

三須さん:もし、フォーラムが東京で開催されていれば、コロナ禍で参加することができなかったと思います。「大学のまち」である京都で開催されて本当に良かったです。

参加して得たこと

――ユースフォーラムは世界から多くの方が来られ、議論には英語を使われたと思いますが、苦労したことはありますか?

松岡さん:オンラインで参加している方もいたので、ビデオオフの状態でその人が何を言いたいかを理解する点に難しさを感じました。話す時には事前にノートに書いておくなど、相手に伝わる英語表現を意識しました。

永井さん:原稿を作成しておくなど、事前準備は徹底しました。ネット環境から聴き取り辛いこともありましたが、相手の意図を読み取ることは日本語以上に意識しました。一方で、議論の場には進行や要約をしてくださる「モデレーター」と呼ばれる方たちがいたので、その方たちと積極的にコミュニケーションをとることも心掛けました。

三須さん:私は英語が苦手なので、当日思いついたこともうまく話せないことがありました。話をするときは英語の組み立てに気をつけるようにしましたが、自分の意見をしっかりと伝えるためにも英語の大切さを再認識しました。

――最後に、このフォーラムに参加して得たことはありますか?

松岡さん:このようなテーマについて同年代の人たちと話す機会を得られて良かったと思っています。また、自分から発信する大切さを学びました。私は4回生で卒業してしまうので、後輩に今回の経験を伝えたいですね。また、自分より若い中高生も参加していたので、そうしたチャレンジ精神を見習いたいなと感じました。

永井さん:価値観や背景が異なる世界の人々の考えや活動内容について知るいい機会だったと思います。また、事前に龍谷大学で行った勉強会を通しては、インプットのみでなく、アウトプットが重要だということに気づくことができ、とても有意義な経験でした。

三須さん:私は知識がないまま参加しましたが、日本と海外の取組を知ることができて良かったです。また、法学部以外の参加者も多く、いろいろな考えを聴くことができました。フォーラムの整理をしながら自分の意見についても深めたいですし、考えていきたいことが増えました!

最後に

京都で行われた、若者のための国際会議に参加した方から話を聞き、京都の大学生の大きな可能性を感じました。

「中高生の積極性によい刺激を受けた」という松岡さんのお話もありましたが、私たちも大学以外の新しいフィールドに自ら赴き、アクティブに学ぶみなさんの様子に刺激を受けました!

この記事が、今後新しい挑戦をしようと考える、みなさんの背中を押すきっかけになれば幸いです。最後に、取材に協力していただいた松岡さん・永井さん・三須さん、ありがとうございました。

京都コングレス・ユースフォーラムの実施結果は以下のHPからご覧いただけます。
[Website]
京都コングレス・ユースフォーラムの実施結果
https://www.moj.go.jp/KYOTOCONGRESS2020/news/news20210227.html

なお、京都コングレスの成果展開として、法務省では大学生等のユースを対象とした「法遵守の文化のためのグローバルユースフォーラム」を定期開催することとしています。第1回法遵守の文化のためのグローバルユースフォーラムについては、令和3年10月9日・10日に東京国際フォーラムで開催されました。

次回以降の開催案内や参加者募集等については、詳細が決まり次第、以下のHP等で案内予定ですので、よろしければご参照ください。
[Website]
法遵守の文化のためのグローバルユースフォーラム
https://www.moj.go.jp/Implementing_the_Kyoto_Declaration/col_yf/index.html

[Twitter]
(English)
https://twitter.com/congresskyoto

(Japanese)
https://twitter.com/MKyotocongress

(龍谷大学 政策学部 今西賢・立命館大学 産業社会学部 木村天音)

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