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これからの旅行を考える。京大卒業生と現役生にインタビュー!

みなさん、旅行は好きですか?

京都にも旅行で訪れたい魅力的な場所がたくさんありますよね!

しかし、メタバース(インターネット上の仮想空間)が発達し、宇宙旅行さえも現実的になりつつあるいま、「旅行」って何だろうと思いませんか?

2023年8月6日に、京都大学百周年記念ホールで一般社団法人ツーリストシップが主催する第二回ツーリストシップサミット「マスクをしてたら、観光が変わってた」が開催されます。

今回は、一般社団法人ツーリストシップの代表理事で、京都大学の卒業生である田中千恵子さんと、このサミットの統括長である、京都大学2回生の小野寺一翔さんにお話を伺いました。

「ツーリストシップって何?」という疑問から、京都の大学生だからできることまでさまざまなお話を聞いてきました!

ツーリストシップとは?

―現在はどのような活動をされているのですか?

(田中)大学3年生のときに一般社団法人ツーリストシップを立ち上げ、「ツーリストシップ」を普及する活動を行っています。

ツーリストシップとは、観光地を訪れる人やそこで働く人など、観光地に関わるすべての人が意識したい心構えのことです。スポーツマンシップの観光版と考えてもらえればわかりやすいかもしれません。

具体的な活動は、修学旅行の事前学習や講演、観光地の一角で観光マナーやツーリストシップに関するクイズを行う「旅先クイズ会」のブースを出すことなどです。

―活動を始めたきっかけを教えてください。

(田中)私は大学進学を機に京都に住み始めたのですが、京都にはたくさんの魅力がある一方で、オーバーツーリズムの問題を抱えていると感じました。

いちばん気になったのが、観光客と住民の考えの違いです。観光客はもてなしを受けて当たり前だと思っている一方で、住民はそこに住んでいるんだから優先されて当たり前だと思っている。両者がこのように主張し合っている状態では、観光地は成り立たないと思ったんです。

この問題に取り組むにあたって、スポーツマンシップのようにツーリスト(旅行者)にもシップ(心構え)があるというスローガンを提唱し、旅先を良くするための文化づくりの活動を2021年に始めました。

―小野寺さんはどうやって田中さんの活動を知ったのですか?

(小野寺)旅先クイズ会のブースでのアルバイトの募集を知ったのがきっかけです。そのブースで話をするなかで、ツーリストシップという言葉を作ってオーバーツーリズムの問題に取り組まれていることに感銘を受けました。その後、田中さんに詳しく話を聞いて、僕もこの問題に取り組む必要性を感じ、活動をお手伝いさせていただいています。

僕は、ツーリストシップは思いやりの気持ちだと考えていて、ちょっとした人の温かさが誰かの幸せになって、観光の課題を解決することにもつながると思っています。

(田中)旅行のあとに思い出になるのは些細な出会いや小さな出来事ですが、旅行している間はそういうことに気づかないと思うんです。その一つ一つを大切にしていくようになると、より濃い旅行を作っていけると思っています。

今回のサミットについて

―今回のサミットについて教えてください。

(小野寺)今回は、京都で町家の宿泊施設を経営している方と、宇宙旅行に携わっている方、メタバースに携わっている方の三者に参加していただきます。そもそも人はなぜ旅行するのか、これからどのような旅行が行われていくのか、そして、そこでツーリストシップがどのように発揮されるのかといったことを考えるイベントにしようと思っています。去年行われた第一回のサミットには99人が来場しましたが、今年は300人ぐらい集めたいと思っています。

(田中)今回のサミットは、楽しい旅行の中でツーリストシップを考えることで、ツーリストシップをより身近に感じてもらいたいです。

そして、ぜひ京都の学生に来ていただきたいと思っています。というのも、京都の学生の多くは京都出身ではないと思うんですよ。京都の住民の意識も持っているけど、ビジターツーリスト的な要素もある学生が、どのように京都の文化を支えていくかというのは、せっかく京都という場所を選んで大学生活を送っているからこそ、見つめていきたいところです。

京都に来て、4年間の旅行期間を味わって刺激を得るということを、サミットを通して伝えていきたいですね。

これからの旅行とは

(田中)旅行とは何かって、なかなか考えたことがないと思うんですよ。

王族や貴族は古代から旅行していたんですが、一般人が旅行し始めたのは200年前ぐらいからなんですよね。

そして、どんどん安く旅行に行けるようになってきて、次の課題は多くの人が受け入れられる地域を作ることであり、それをツーリストの目線から考えていこうと思っています。

(小野寺)それだけ昔から続いてきたものが、コロナ禍で途絶えるかもしれないといわれましたよね。移動が大きく制限されて、それと同時に新しい旅行の形態がどんどん出てきました。

そして、それが本当にこれまでの流れを継ぐものなのか、それとも新しい別のものに変わったのかはわからないですが、今回のサミットはそういう3000年続いてきた旅行のことを3時間だけみんなで考えてみる、という感じになっています。

(田中)私は、旅行は見直されるものだと思っています。例えば、AIはとても賢いですが、実際の体験にもとづいたレビューができないんです。一方で、人間は体験した上でレビューができる。感情を込めたり間を作ったりして話すのは体験しているからこそできることなので、これからは知識を持っていることよりも「体験している」ということが重要になってくると感じています。

だからこそ、旅行という趣味や偶然性のある体験を作っていくことに対して、価値が見出されると思っています。

しかし、みんなが観光地を訪れ過ぎてしまうとパンクしてしまうので、最低限のルールやマナーが必要になってくる。そこにツーリストシップが入り込んで、みんなの意識付けをしていきたいです。

大学生がやることで刺激を与えたい

―サミットを準備していて、大変だったことはありますか?

(小野寺)いろんな意見をいただきながら話を進める中で、自分のやりたいことをちゃんと持ち続けるのは難しいですが、価値があると自分が思っているものを進めていく、形にしていくのは本当に大事だと思っています。

(田中)小野寺くんは、うちの理事である観光庁の元長官や、JTBの役員の方たちにプレゼンして意見をもらっていて、そうした大先輩たちの前で話をするのは大変だと思いますね。しかも今回は前例と違うことをしているので。

(小野寺)でも、僕が出したものに対して的確にアドバイスしてくださったことで、本当に自信のあるサミットになっています。サミットのタイトルも、コロナ禍での観光を象徴する「マスク」が一つのキーワードということで、「マスクをしてたら、観光が変わってた」というタイトルを提案していただきました。

プレゼンをすることで、大学だけでは学べないことがたくさん学べています。

(田中)会場としてこの京都大学百周年記念ホールを使うことや、宿泊施設の経営者、宇宙旅行、メタバースという一見異色な組み合わせの方々にお話をしていただくこと、そんなイベントを大学生が統括しているというのは他にないと思うんですね。

だから大学生にとっても、自分と同じ立場の人でもここまでできるというのを見るのは刺激になるし、自分も何かやってみようという次の一歩につながっていく気がするので、それを実際に見てほしいですね(笑)。

(小野寺)僕がイベントの統括長をやっているのは決して飛び抜けて優秀だからではなく、京都という場所が僕に勇気を与えてくれたからだと思います。このサミットを通して、僕も誰かにそういう勇気を与えたいと思います。

―このサミットにはどういう学生に来てほしいですか?

(小野寺)サミットのテーマである町家・メタバース・宇宙の三つは、角度が全く異なる旅行で、この三者の掛け合わせがすごく面白いと思っています。

このどれかに興味がある人でもいいですし、これからの旅行に興味がある人や、これから観光業に従事したい人にも参考になると思います。

そうやって将来のことを考えている方だけでなく、単に旅行がめちゃくちゃ好きという学生にも来ていただきたいですね。

ガイドブックにはない自分だけのスポット

―京都のどのようなところが魅力だと思いますか?

(小野寺)京都という街には魔性的な魅力があって、東京が最新の情報で溢れているのに対して、京都にはあまりそういう情報が来ないんですよ(笑)。自分のペースで好きなことをできるという意味では、とても恵まれた環境だと思っています。

あとは、少し足を伸ばせば神社仏閣や歴史的な遺産とか、カフェやバー、ジャズ喫茶など本当に何でもあって、ちょっと自転車を漕ぐだけでいろんなことを体験できるのも魅力だと思います。

(田中)大文字山から見る夜景はとても美しいんですが、結構険しい道を登るからガイドブックには載っていないと思うんです。だけど、私は個人的にいちばん好きなスポットなんですよね。

同じように、京都に通うみなさんにはお気に入りのスポットを見つけてほしいと思っています。世界の中でも京都はとても良い街で、そこに住んだり通ったりしているのに、ガイドブックに載っている場所しか知らないなんてもったいない。京都で過ごすことを選んだなら、世界に誇る街を堪能して、自分なりの味わい方を見つけてほしいと思います。

おわりに

田中さん、小野寺さん、ありがとうございました!

私も、今度旅行に行くときにツーリストシップを意識してみたいと思いました。

また、コロナ禍を経ていろんな旅行の形態がある今、改めて旅行について考えてみるのも面白そうだと感じました。

サミットは無料ですので、ぜひみなさんも参加してみてください!

 

第二回ツーリストシップサミット
「マスクをしてたら、観光が変わってた」

日時:2023年8月6日(日)14時~17時
場所:京都大学百周年記念ホール(京都大学吉田キャンパス本部構内正門正面)
参加費:無料(要申し込み)
定員:300名(先着順)

 

(同志社大学 政策学部 近藤拓未)
(立命館大学 産業社会学部 井上日菜里)

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