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突如出現したこのボックスは何? ―KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭2023を巡ってみた【二条城/八竹庵/京都文化博物館】―

最近、河原町の京都BALに上の写真のようなボックスが出現しましたね。

「これ何だろう?」と気になった人もいるのでは?

 

実はこれ、4月15日~5月14日まで京都で開催されている、KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭2023のもの。

京都の歴史的建造物などを会場に、国を越えたアーティストの写真展を開催しているんです。

 

11回目の開催を迎えた今年のテーマは《BORDER=境界線》。

このテーマに沿って、各アーティストの展示を見ることができます。

 

今回は学生パスポートを利用して、1日京都を歩いて巡りながら3つの展示を訪れた時の様子をレポート。

様々なアーティストの作品を通して、どんな《BORDER》を見つけることができるのでしょうか?

民族衣装とオートクチュール 異質な2つの衣装

まず訪れたのは、二条城。

高木由利子さんのプログラムが開催されている「二の丸御殿台所・御清所(にのまるごてんだいどころ・おきよどころ)」。普段は入ることのできない場所というのも魅力的ですね。

 

ここでは民族衣装の作品と、DIORのオートクチュールなど現代ファッションの作品が展示され、“ファッション”をテーマに「PARALLEL WORLD」というタイトルがつけられていました。

民族衣装は生活を送るために最適化された服。
オートクチュールは自分を着飾るための服。

確かに、この2つの服の意味を考えると、平行線で交わらない。

服って何だろう?

 

私たちの服に対する考え方に、疑問を投げかけている。

そんな展示にも感じられました。

 

心の糸が切れたとしても……

次に訪れたのは、二条城から東に15分ほど歩いたところにある、八竹庵(旧川崎家住宅)。

京都市指定有形文化財であり、1階はKYOTOGRAPHIEのインフォメーションにもなっています。

グッズ販売のほか、今年から新たに始まったボーダレスミュージックフェスティバル「KYOTOPHONIE」のエリアもあり、建物の趣を感じながら展示や音楽の視聴など楽しめるので、是非訪れてみてください。(こちらの会場は無料で見ることができます)

 

そして町家の2階で開催されていたのが、松村和彦さんの「心の糸」。
私が今回、一番心に残った展示でした。

扱っているテーマは“認知症”。

大学生の私には最初、身近に感じられないテーマでした。

それでも展示を見ていくうちに、認知症の人達が見ている世界が少しずつ感じられるよう、展示方法にも工夫が凝らされていて、見応えがありました。

 

2階に上るとすぐ、頭上には白い糸が。

「何だろう?」

と思ったのですが、この糸は人の記憶を辿るように作品に繋がっていて、その糸に導かれていきます。

 

大切な人が自分のことを忘れてしまったとき、私たちにはどんな選択があるんだろう?
誰にでも訪れる“老い”について考えさせられる展示でした。

キューバにとって“海”は、希望も恐ろしさも

最後に訪れたのは、京都文化博物館の別館。
レンガ造りの美しい建物は、訪れたことがある人も多いのではないでしょうか。

 

ここでは海外のアーティストであるマベル・ポブレットさんの作品が展示されていました。

テーマは、“水”と“海”。

マベル・ポブレットさんの出身であるキューバが、海に囲まれた島国であることに関係しているようです。

水の波紋のように映っているものの輪郭が歪んで見え、“見えそうで、見えない”。
トリックアートのような体験が作品の随所に散りばめられているのも魅力です。

こちらのアートは人の顔でしょうか?でも近くで見てみると…

何層にも重なって一枚の写真のように見えているんです!

 

しかし、この展示のテーマとして扱われている“水”は、ただ美しいものを表現しているだけではないようです。
キューバでは、夢を求めて海を渡るも、その道中で命を落とす人も多く、水の多義性を表現しているのがこの展示。

海に対する不安も、水の波紋として表現されているのかもしれないですね。

 

さいごに

いかがでしたか?

今回は、二条城からスタートして、東に向かって烏丸通まで歩くコースを紹介しました。

私は写真に詳しいわけではなかったのですが、展示全体を通して考えさせられるものが多く、今から来年のKYOTOGRAPHIEにもワクワクしています。

 

気になった人は、是非訪れてみてください。
誰かと一緒に語り合うもよし。1人でじっくりと浸るもよし。

きっと自分の心に響く展示に出会えると思いますよ。

他にも、こちらの記事では「ASPHODEL」「伊藤佑 町家跡地(いとうゆう まちやあとち)」「Sfera」の3会場についてレポートしているので、ぜひ読んでみてくださいね。

 

公式HP:https://www.kyotographie.jp/
公式Instagram:https://www.instagram.com/kyotographie/

 

KYOTOGRAPHIE大学生インターンにインタビューした記事はこちら(2022)↓

 

(同志社大学 グローバル地域文化学部 西村彩恵)

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