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祇園の今昔物語 ―祇園会館の支配人に映画館時代の話を聞いてきた―

皆さんこんにちは!よしもと祇園花月さんとのコラボでお届けしてきた連載もいよいよ最後となります。
ここまでの記事はお楽しみいただけましたか?京都にゆかりのある芸人さんにもご協力いただいた楽しい記事ばかりですので、まだ読んでないという方は是非ご覧ください!

祇園花月を語る会(祇園編)URLはこちら!

よしもと祇園花月はいつからあるの?

さて、皆さんはよしもと祇園花月がいつから存在するかご存知ですか?
実は「よしもと祇園花月」という“劇場”として営業を開始したのは2011年7月で、昨年2021年で10周年と比較的新しい劇場なんです!

外観 からもっと古くからある劇場だと思われていた方も多いのではないでしょうか?私もその1人です。(笑)
それもそのはず、よしもと祇園花月になる前は、なんと“映画館”(「祇園会館」)として活躍していたんだそう!!現在も劇場には映写機が置かれているなど、当時の雰囲気を味わうことができます。
今回は、そんな歴史ある「祇園会館」について、管理をされている、株式会社祇園会館の支配人 北山智浩さんにお話を伺いました。それでは、昔の祇園を見にタイムスリップしましょう!!
※本取材は緊急事態宣言前に行いました。

祇園会館の“昔”

――映画館 だった頃の祇園会館はどんな風に親しまれていたのでしょう か?

映画館が開館した当初の客層は若い方が多かったようです。特に、映画館の上にボーリング場があった頃は、1日中楽しめるデートスポットとしても利用されていたみたいですが、私が支配人になった20年前には客層はお年寄りがメインになっていました。当時は2本立てで映画を上映していたため、皆さんゆっくり映画を楽しまれていました。

――当時上映していた映画のラインナップが気になります!

邦画も洋画も上映していましたが、時代劇を上映している日はお年寄りがたくさん来場してくれていました。その他、アニメ「エヴァンゲリオン」を上映した時には会館の前に多くの人が並ぶほどの盛況ぶりでした。

――今は2本続けて映画を観られる映画館少ないので、色々なジャンルに触れられて楽しそうですね!当時の祇園の街はどのような雰囲気だったのでしょうか?

「夜の街」という感じでしたね。特にバブルの頃はとても盛り上がっていました。昼間はほとんど人が歩いておらず、休日に地元の方が散歩しているくらいでしたが、10年ほど前からインバウンドの外国人観光客が増えて、昼間にも活気が出てきました。新型コロナウイルス感染症が流行する前は、お昼休みにオフィスから出ると海外からの観光客とよくすれ違っていました!街の若返りを感じますね。

祇園会館 の象徴!お客様を迎える「祇園をどり」のタイル画

――先ほど、祇園会館前の道路を挟んで向かい側から建物を見ると、壁面に大きく描かれた絵の迫力に圧倒されました。あれは開館当時からあるものなのでしょうか?

1958年の開館当時からあると聞いています。あのタイル壁画には、「祇園をどり」で上演される演目の一場面が描かれているんですよ。
祇園会館は、文化と芸術の都・京都で伝統と近代の融合の場を理想として建てられたので、「祇園らしさを感じられるもので正面玄関を飾りたい」という想いから「祇園をどり」が描かれたそうです。

――なるほど。祇園会館はまさに祇園を象徴する建物なのですね!「祇園をどり」は1952年から始まったと聞きました。京都を代表する華やかな舞台という印象があります。

そうですね。毎年11月1日から10日間は、祇園会館で「祇園をどり」を開催しており、たくさんのお客様に祇園会館へ足を運んでいただいています。
新型コロナウイルス感染症が流行する前までは、国内外から多くの方が「祇園をどり」を観に来られていました。中には、旅行ツアーのコースに組み込まれている方もいたそうです。
京都の大学でも、留学生を対象に、(芸舞妓のいる)お茶屋さんで京都の文化を体験したり「祇園をどり」を観たりするプログラムもあったみたいですね。

――京都ならではの花街の魅力について知ってもらえる舞台なのですね。2020年、2021年は新型コロナウイルス感染症の影響で「祇園をどり」も中止になったと新聞で知りました。これまでにも中止になったことはあるのですか?

昭和天皇が崩御された1989年の中止以外はありませんでしたね。
祇園東お茶屋組合さんも苦渋の決断をされたと思います。一日でも早くコロナ禍が収束して、「祇園をどり」が開催されるようになってほしいと思います。

「開館50周年イベント」実は51周年の時だった!?

――(ちらしを見て)2008年には開館50周年のイベントを開催されたのですね。

はい。当時の社長が、「お客様へ日頃の感謝を込めて開催したい」という話になって。入場料は500円、オープニングには舞妓さんに祝舞を踊ってもらって……。2日間の興行で、映画は1日に2本上映しましたね。

――すごく豪華な内容ですね。

そうですね。でも実は2008年は祇園会館の51年目なんです。51周年目だけど、キリがいいから50周年ということで開催させていただきました(笑)。
社長もふと「やりたい!」って思ったのだと思います。

――祇園会館や祇園の街がどのように発展することを期待しますか?

今年で63年目を迎えている当会館は、現在吉本さんに劇場としてお貸ししている状態です。コロナ禍前の「よしもと祇園花月」には中高生のお客様も多く来場されていました。新型コロナウイルス感染症の影響で大変な状況は続いていますが、会館だけでなく、祇園の街も幅広い年齢層の方に愛される場所になってほしいと思います。

最後に

今回初めて、祇園にある祇園会館の歴史について取材させていただきました。様々なエピソードを聞けて、とても興味深く楽しい1時間でした!過去のお話を聞くことで今の祇園会館がさらに楽しくなるのではないでしょうか?
建物の歴史だけじゃなく、「祇園をどり」のお話までしてくださったので、祇園の魅力もたくさん伝わったらいいなと思います。
祇園会館の北山支配人、ありがとうございました!!

※祇園会館、祇園をどり、よしもと祇園花月の正式表記は、しめすへん「示」ではなく「ネ」です。

(同志社大学政策学部 山口実由加)
(同志社大学政策学部 山越奈美)

 

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