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京都で着物を楽しもう。京友禅の染匠さんに話を聞いてきた。

日本有数の観光都市、京都はいつも観光客で賑わっています。街中では着物姿で歩いている人をしばしば見かけますね。

日常生活で着ることが少ない着物ですが、国内外を問わず「京都では気軽に着ることができる」という認識も広まっているようです。

私も京都に来て1年が経ち、京都の街で着物を着ている人を見て、私も着てみたい、着物について知りたい、と思い始めました。私は、今回は木村染匠株式会社 代表取締役 会長の木村信一さんに着物についてお話を伺って来ました。
木村さんは大学の教壇に立って大学生に着物についての講義をされており、私たち京都学生広報部員の中には大学コンソーシアム京都の単位互換制度を利用して講義を受けたことがある部員もいます。実際に着物に携わっている方の講義を受けられるのも、京都らしいですね。木村さんはとても気さくな方で、話を聞くと、本当に着物を着たいと思えてきました。
ぜひこの記事を読んで着物を楽しんでください。

染匠という仕事


まず、無知な私たちに着物について基本的なお話をしてくださいました。

京友禅の着物は、京都の文化を代表する伝統工芸の1つで、加賀友禅などと染色の技法は同じですが、最大の違いは各制作工程が分業であるところが特徴です。

1枚の手描の着物ができあがるのに下絵、地染めなど主立った工程が15以上あって、その工程ごとに専門の職人がおり、その匠(たくみ)の技(わざ)を活かしながらプロデュース、ディレクションして1枚の着物を染め上げる仕事を染匠(せんしょう)と呼ばれており、京友禅の最大の特徴です。

分業によって各工程を最高の技によって作り上げられる着物はまさに「唯一無二」。

「こんな着物はできないだろう。」「こんな柄は見たことがない。」といった固定観念にとらわれることなく、常に新たな可能性と価値を見出しながらものづくりをされているそうです。

 

着物を楽しむ

「着物を難しく考えないでほしい。楽しくしたい。」とおっしゃる木村さん。

着物を楽しんでもらうために行われた取組を教えていただきました。

これは子どもが描いたデザインです。いろんな下駄をモチーフにした柄なんですがわかりますか?
「私が着てみたいキモノデザインコンクール」という図案の作品展が開かれ、集まった作品はこれまで見たこともない斬新なデザインの数々だったそうです。
いろんなデザイン、イラストで溢れているこの時代。そんな今を生きる子どもたちが着物にしたいと考えたデザインならばぜひ作ろう。ということで仕立てられた振袖がこちら。

どうでしょうか。ちょっとずつ和柄を盛り込み、余白を作っていることで下駄が柄としてうまく取り入れられていますよね。

私がこの振袖を試着させていただきました。

確かに珍しい柄ですが意外と似合うかも……!?

袖を通してみると全体的にポップな雰囲気になってとても着やすいと思いました。こんな振袖を着て成人式やパーティーに出席すれば、きっと注目の的になるでしょう。本当に素敵です。


また、こちらはカラフルなジグソーパズルの柄。着物の柄としては例を見ない現代的な柄、これを着物にすると……。

元のデザインにお花や鶴などの絵も追加されていますがやはりこれはジグソーパズルの柄!しかし着物として自然に仕上がっています。


この着物を着てみたえりかちゃん。
とっても素敵ですよね。パズルという斬新な柄に鮮やかな色を使い、地色の黒の締まりとお花の華麗さで大人っぽく仕上がっています。うっとりです!

自分のデザインを着物にしてもらえるなんて本当に嬉しいですよね。こうやってどんなデザインでも形にできるのは、職人の特性を生かした染匠のディレクションがあるからこそ。

木村染匠さんは「カスタマイズふりそで」という、自分で生地、図柄、地色を自由に分組み合わせることができるオーダーメイドの振袖も作っておられます。HPにはイメージを作成することができるページもあるので、自分の着てみたい着物を一度考えてみてはいかがでしょうか。

カスタマイズふりそでシミュレーション
http://www.kimurasenshow.co.jp/simulator/

着物の新しい形


木村染匠さんは着物だけではなく、「京友禅硝子」というガラスも作っているそうです。
なぜガラス?と思ったかもしれませんが、ガラスに着物を挟むことで着物を見て楽しめるようにしたのです。

お部屋に飾られていたこれらのガラスには全て着物の生地が挟まれていました。
これは、着物をランチョンマットとして使っていた方から、「汚れないためにどうにかならないか」、という要望があり生まれたものだそう。着物を、着るためだけではなく、日常でもっと取り入れられるように工夫した素敵なアイデアです。

着物を着る機会が少なくなった現代では、家族で代々受け継ぐことが難しくなっています。しかしこうやってガラスに加工することができれば、捨てることなく、形に残すことができるのです。これは家族の中で着物を継承する新しい方法の1つになるのではないでしょうか。

ここで作られたガラスは、ホテルやマンションなど様々な場所に利用されています。もしかするとみなさんも一度は見たことがあるかもしれません。暮らしの中で着物文化に触れることは多くの人が着物を身近に感じ、興味を持つことにつながります。

これからは新しい形で着物を楽しむ時代です。ますます可能性が広がりますね。

京都で着物を着てみよう

いかがでしたか?何度見ても着物って素敵ですよね。

着物を着ることで心も仕草も変わります。そして何度も着て、着慣れて、自分なりの着こなしを見つけられると、もっと着物が好きになると思います。
みなさんにもそんな体験をしてほしいです。

京都に来て1年。今では京都の街中や神社仏閣を和装で歩いている人の様子を当たり前の風景と感じるようになってきました。
京都には着物を思う存分に楽しむことができる環境があります。京都の美しい街でたくさん着てみましょう!

(文:京都薬科大学 薬学部 齋藤千寿)
(写真:同志社大学 社会学部 西野洋史)
(取材協力:京都女子大学 現代社会学部 高岡英里華)

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