インタビュー

京都在住の陶芸職人とパリで活躍する箔職人のコラボに迫ってみた!

京都在住の陶芸職人とパリで活躍する箔職人のコラボに迫ってみた!
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いきなりですが、皆さんは京都市とフランスのパリ市が姉妹都市の関係にあることを知っていましたか?(私は、全然知らなかったです…)

それもなんと、協定の締結から今年で60周年!!

その記念すべき年に京都市内では様々なイベントが企画、開催されています。

今回、「京ものアート市場開拓支援事業」でコラボされている
京都市在住の陶芸職人 金井 悠さんとパリのアーティストHubert Jouzeau(呼び名 ユベール)さんのお2人に私たち京都学生広報部がお話を伺ってきました!

 

金井 悠さん

兵庫県出身の陶芸家。京都精華大学芸術学部陶芸専攻卒業。同大学修士課程陶芸専攻修了。

2008~2013年までアート/パフォーマンスユニット「contact Gonzo」のメンバーとして活動。2014年から自身の活動を開始。京都を拠点に,陶芸の伝統的技法を応用しながら独自の視点から技法の開発などを行い,現在に至る。

 

Hubert Jouzeauさん

アートと建築を学んだ後,箔の技法を習得。アクリル,蝋などを金箔と組み合わせたり,酸化などの表面処理も施しながら作品を制作。インテリアデザイナーと協働しながら,コミッションを受けて創作することもある。

京ものアート市場開拓支援事業とは??

この事業は、京都市、パリ市の両市それぞれ10人の職人やアーティストがペアとなり、コラボレーションして、新たな作品を創作し世界での市場を広げていこうという事業です。

詳しくはこちら↓

http://www.city.kyoto.lg.jp/sankan/page/0000238366.html

今年の6月には京都の職人やアーティストがパリ市を訪問し、コラボするパートナーを決定。
そして今回、作品発表に向けてさらに交流を深めるため、各々のパートナーが京都に来日されていました。

それぞれにインタビュー!

まずは金井さんから質問していきます!

――京都で学んで良かったことを教えてください

金井さん:いろんな人がいるところですかね。

大学が多くて学生も多いので、僕みたいに、そのまま卒業して京都に住んでいる人も多いと思います。どの大学にも様々な場所から多種多様な人が集まり、いろんな文化が集まって・・

そういった人たちが京都でさらに文化を作り上げていくので、いろんなタイプの人と出会えるのも良い所ですね。

京都は伝統的で歴史ある街というイメージがあるけど、それだけじゃなくて、新しいことを起こすことができる場所。

んーー、一言では言い表せないなぁ。それくらい京都で学生時代を過ごせたことが一番大きかったです。今思えば、学生時代に出会った人から受けている影響も大きいですね。

――京都の好きなところはありますか?

金井さん:具体的に何処というのは特にないです。

けれど、ごちゃごちゃした場所もあれば、木屋町や祇園のような大人の雰囲気のある街もあったり、竜安寺のように日本庭園ですごく静寂な空間の場所もあったりとか…。

そういういろんなものが混在しているところが京都の好きなところですね。

次にユベールさんに質問しました!

――Do you have any plan in Kyoto?(英語で質問してみました!ちなみに京都に来てやってみたいことを聞いています。)

ユベールさん:*フランス語で回答中*

(nnnnnnn…。)京都のお寺とか神社とかそういうところに行ったり、京都市内を歩いて散策したり巡ってみたい。今日が(10/9)初来日なので、新しい発見をしたいですね。

お二人にインタビュー!

――京都とパリの似ているところ・違うところはありますか?

ユベールさん:似ているところは、パリも京都も歴史に溢れているところですね。

伝統を大事にしながら、新しい未来に向かっていろんな活動・物事が行われているところが似ているのではないかな。

違いとしては、街中が京都の方がパリと比べてとても綺麗なところですね。

金井さん:僕も彼と同じで、京都もパリもすごく歴史のある街で、歴史を重んじているところが共通するところだと思っています。

老若男女問わず、いろんな人達がいますし。でも、パリのほうがさらに人種が様々で、それぞれのバックグラウンドを持った人がいて、京都よりカオスというか雑多な感じがしますね。

彼とも話していたのですが、やっぱり街の綺麗さは違いますね。

日本に住んでいたら全く意識していなかったのですが、彼に言われてから、そういえばゴミとか落ちていないし、臭いもしないしきれいだなって思いましたね。

でも、パリは生きている感じ、生活感がすごく溢れている印象を受けます。

歴史的建造物も多く、パリの全ての建造物が彫刻的な感じがしました。パリの方が重厚で、京都はいい意味で軽やかさがあるなという風にも思います。

――今回コラボしてみてどう思いましたか?お2人の印象など教えてください

金井さん:最初はすごくとっつきにくい感じがしましたね。

ユベールさん:ええええええ!!!

――なぜ、ユベールさんにそういった印象を受けられたのですか?

金井さん:雰囲気というか、あんまりフレンドリーではなさそうだったから。

でも、一緒に時間を重ねていく中ですごく喋りやすいし、考えていることとかも共感できるところが多々あり、割と似たような考えを持っているなという印象に変わりました。

彼は職人でもありアーティストでもあり、はっきりと自分の立ち位置を明確にしていなくて、いろんなものに興味をもちながら、いろんな技法を試している所が、僕と共通しているなと思いましたね。

なので、どのようなコラボレーションをするかの話し合いでも、トントントンと結構スムーズに決まりました。

ユベールさん:両国の職人10人が互いにプレゼンテーションを行う場で、僕は金井さんを初めて見たときに「この人だ!!」と、即決しましたね。

金井さんは伝統的な陶芸、技術をさらに発展させ、新しい技法とかいろいろご自身で工夫されて、新しいことをされている。

僕は箔(金箔・銀箔)を使って、壁紙とかウォールアップ・デコレーションをやっていて、これもフランスの古い伝統的な技法を使っているけど、全く新しいこと・新しいクリエーションをしているので、金井さんを見てコラボしたいと思いました。

また、伝統的なことをやっているアーティストの世界の中では、2人ともとても若い世代なんです。若い世代の僕たちが伝統的なものを扱う世界に、新しいものを持ち込んでいるところに、親近感を感じたんですよね。

最後に…

 

――コラボしたお2人のアート作品を見た人にどんなことを感じてほしいですか?

金井さん:コラボした作品は、“二つの文化の違い”を意識した作品です。

まず、西洋は左右対称、東洋は左右非対称の型があり、西洋の建築や海外でよく使われている黄金比、逆に日本には白銀比がよく使われているので、それぞれが作ったパーツを組み合わせてタワーにしようということになっています。

それぞれの文化的な違いを強調するのではなくて、タワーという世界中にある普遍的な形に落とし込もうという。

ただ、タワーは戦争の記念碑だったり軍人とかを象徴するようなものだったりしがちですが、僕たちはそういう意味合いにしたくはなくて。

んーー。もっとポップで、キャンディー・お菓子みたいなちょっと可愛らしさがあるものにしようと考えています。

でも、見る人には特別、今言ったことを意識してもらう必要はなくて、服を選ぶくらいの気持ちで見てもらえたら。その上で、作り手の考えていることに想いを巡らせていただけたら嬉しいですね。

――最後に、日本の中高生に一言メッセージをお願いします

金井さん:それは、難しいですね…。なんやろう、、、何をやっていい・悪いとかいうより、「やりたいと思ったことをやってみて」っていうことですかね。

若いうちは多少失敗しても痛いことになっても許されるし、特に京都はそういうことを受け入れてくれる土壌があると思いますね。

卒業して10年後にすごく恥ずかしい黒歴史になってもいいから、今はとりあえずやりたいことにチャレンジして!!ですね。

ユベールさん:1つは、日本の文化・日本人であるということを忘れてほしくない。

2つ目は、今はスマートフォンの普及で長い時間、スマホを見ているわけですから、もっと外の世界のことを知り、世界で何が起こっているのか注目してみてはいいのではないのでしょうか。

インタビューを終えて

京都在住の陶芸職人とパリで活躍する箔職人のコラボに迫ってみた!

緊張していた私たちでしたが、お2人の気さくな雰囲気で場を和ませていただき、インタビュー中は常に笑いがあって、息もぴったりで、本当に楽しく貴重なお話を伺うことができました。

京都とパリという離れた国のアーティスト同士なのに、お互いにそれぞれの活動の中で伝統的なモノづくりから新たなモノを作り出そうとチャレンジされていて、本当に運命的な出会いだと感じました。

そんなお2人が作る、コラボ作品(タワー)がとても楽しみです!!

ちなみに作品は、来年の2019年1月にパリで開催される国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」でお披露目されます。

また,2月と3月には、京都と東京日本橋の高島屋で展示される予定です。

金井さん、ユベールさん、インタビューに答えていただき、誠にありがとうございました!

 

(文:同志社大学 商学部 大橋寿咲)
(撮影:同志社大学 法学部 平井雅子 京都橘大学 国際英語学部 森信汀央)
(取材協力:京都女子大学 現代社会学部 辨野真美)

この記事を書いた学生

かれんちゃん

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