在住4年目にして考える ~京都ってどんな場所?~
京都で大学生活を送り、早4年が経とうとしています。
この記事にある通り、「卒業間近に慌てて始まる観光スポット巡り」が“京都の大学生あるある”だったことは本当だったようで、現在筆者も、まさしく同じ道を辿っている最中です。(コロナ禍なので停滞しておりますが……(笑)。)
でも、それはある意味、京都への名残惜しさの表れかもしれません。
幼い頃に経験した幾度かの転校と引っ越しのおかげで、自分が生活する場所に執着がなく、大学が京都にあることも入学直前まで知らなかった筆者にとって、その心情の変化は凄まじいものです。
場所への執着が薄い筆者のような人間にも、郷愁に似た何らかの感情を抱かせる京都。
でも、実を言うと自発的にそのような感情を抱いたわけではありません。
この京都学生広報部で取材に応じてくださった方々が、私に京都の良さを教え、言葉を残してくれたのです。
もくじ
どこに行っても「まち」を楽しめる街
京都に来て、1ヵ月足らずで何となく入部した京都学生広報部。
そんな京都学生広報部での取材ミッションは、一貫して「京都の良さを全国の中高生へ」というものでした。
そんなもの、自分が一番知りたい……と思いつつ、初めて取材をさせていただいたのは京都精華大学出身、京都在住の音楽バンド、Homecomingsさんでした。
当時筆者は、京都在住4か月目。
京都の良さなどなにも分かっていないも同然の頃です。
そんな筆者の「バンドの聖地東京ではなく、地方の京都を活動拠点に選んだ理由は何ですか」と、今考えたら若干失礼に値するような本気の質問に当時のおふたりは強烈な言葉を残してくださいました。(以下ご本人たちの言葉を引用し要約しています。)
「京都は、自転車でどこへでも行けるし、新しいものを受け入れつつも、古くからある良いものが残っていく『まち』」
「個人で経営しているお店や京都にしかないようなお店が多く、どこに行っても『まち』としてきちんと成立しているのが京都の良さ。それに、場所によって立ち並ぶお店の雰囲気が違うのも魅力だよ」
※全編が気になる方はこちら
聞いた当初は全くもってピンと来ず、「そうなんですね」と申し訳ないほどの曖昧な相槌で終わってしまいましたが、耳に残ったその言葉たちは、後々筆者を大きく頷かせることになりました。
特に京都市内は、自転車で何処を走っても、全国チェーンの大きなお店だけでなく、昔からある小さなお店や新たにできた個人経営のお店が立ち並び、様々な顔を見せてくれます。
「たしかに、どこに行っても新鮮で楽しいって珍しい」
7、8キロ先まで自転車を走らせながら街並を見て味わうことがいつしか楽しみになっていました。
いい意味でコンパクトな街
さて、それから月日は経ち、筆者の京都在住歴も1年と半年を過ぎた頃。
京都府文化観光大使を務めていらっしゃる、おいでやす小田さんに京都の良さについて取材させていただく機会がありました。
と言っても筆者はまだその頃、京都の良さを実感することはなく、「たしかに自転車でいろんなところに行けるのは便利だけど、自分の地元(田舎)も行こうと思えば行けるし……。京都の何がそんなに良いのだろう」と頭にはてなマークを浮かべるばかり。
そんな中行われた取材では、例え上手のおいでやす小田さんは、「コンパクト」な「ジオラマの街」という印象的な言葉で京都を表してくださいました。
(以下ご本人の言葉を引用しています。)
「京都は街そのものがいい意味でコンパクトですよね。中心部に学校・観光スポット・繁華街を兼ね備えていながら、山が近くにあったりして自然を身近に感じることもできる。
僕にとって京都は、自分の好きなところを集めた『ジオラマの街』だよ」
※全編が気になる方はこちら
こちらも、聞いた当初は全くピンと来ず、それ田舎全般的なことでは……と思いつつ、知ったかぶりをして頷いていましたが。
最近、他県に引っ越すことが決まり、様々な土地の街並をよく観察するようになってようやく、その意味が分かりました。
全国チェーンのような大きなお店、個人経営の小さなお店、観光地にもなっている寺社仏閣、街全体を流れる大きな鴨川、街全体を取り囲むように聳え立つ山。
その全てのバランスが丁度良く、どこに行っても全てを感じ取ることのできるのが京都という街の素晴らしさなのだと。
さいごに
さて、みなさんは京都についてどのような印象をお持ちですか。
もし、今これを読んでいるあなたが、修学旅行などの旅行でしか京都を訪れたことがないのなら、筆者が今挙げた二つの京都の良さはピンと来ないかもしれません。
筆者が今挙げた京都の良さは、住んだことのある人にしかわからない良さですから。
京都は「学生のまち」という名にふさわしく、全国からさまざまな学生が集まる地です。様々な文化や方言が交じり合い、それら全てが個を保ったまま共生しています。何にも染まることなく、個を尊重してくれる場所、筆者にとって京都はそんな場所です。
この記事に触れ、少しでも「京都に住む」ということに興味を持ってくれる方がいらっしゃったら幸いです。そして、京都の魅力を多方面から見つけることのできるヒントが散らばっている、この京都学生広報部の活動に少しでも興味を持ってくださる方々がいらっしゃったら幸いです。
(立命館大学文学部 山下杏子)