インタビュー

京大出身・気象予報士 前田智宏さんが語る #1 学生時代編

京大出身・気象予報士 前田智宏さんが語る #1 学生時代編
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グライダー部で過ごした4年間

――大学では、グライダー部に所属されていたということですが、どういった部活なのでしょうか?

同志社大学や立命館大学にも「航空部」があると思いますが、まさにそれなんですよ。京都大学では「京都大学体育会グライダー部」という名称です。エンジンが付いていない飛行機(グライダー)に乗って、空を飛ぶことがグライダー部の主な活動です。

――もともと知っていたのですか?

知らなかったです。大学の新入生歓迎のイベントで「うちのブースを見ませんか?」と声をかけられて、面白そうだなと思ったんです。「実際に体験搭乗できるし、しかもタダですよ。」と言われたので、体験会に連れて行ってもらいました。

僕は絶叫マシンが好きなのですが、そのノリで実際に乗ってみると凄く気持ちよくて。これを操縦できるようになったら楽しいな、かっこいいなと思って……。割と軽い気持ちで入部を決めました。

――運命の出会いですね! 大学で初めて知ったということは、ゼロから始められる世界なのですか?

そうですね。一部の高校ではグライダー部があるのですが、ほとんどの人は大学生になってから始めます。競技だけどスタート地点がみんな一緒だから、どんどん入賞を狙えるという部活でもありました。

バレーボールや野球のように、経験のある人が集まったチームが強いというわけではないところも魅力でしたし、何よりゆるい雰囲気の部活だったんですよ。「体育会」という名前はついていますが、言うほどゴリゴリの体育会ではなかったところも、居心地がよかったですね。

――「空を飛ぶこと」がメインだと伺ったのですが、実際にどのような活動でしたか?

関西にはグライダーを飛ばせる場所がないので、岐阜の河川敷や福井の空港で練習をするんですよ。主に夏休みの一週間や土日を利用して、滑空場まで合宿に行って練習しました。

グライダーの機体は分解できるので、組み立てるところから毎日始めていましたね。練習中はインストラクターの方も監督をしてくれるのですが、基本的に運営は全て学生で行い、技術を磨いていました。

――実際に、どういった技術を競い合っているのですか?

試合は、全国大会や、「七大戦(ななだいせん)」といって旧帝国大学の七つの大学が集まる全国七大学総合体育大会があります。

グライダーはエンジンが無いので、飛び上がる時は凧揚げみたいに引っ張られて上がるんです。ある程度の高度までいくと、ワイヤーを切り離してあとは自力で飛ぶ。基本的には、その高さから降りてくるだけなのですが、上昇気流をつかまえられると、上昇気流にのって高度を上げることができます。

大会ではコースが決められていて、基本的にはそれをいかに早く回ってこれるかっていうのが、グライダーの試合です。高度を上げないとたどり着けないようなポイントがあるので、上昇気流をいかに上手く捕まえて、早く高度を稼ぐことができるかということを考えながら競っていました。

最初はインストラクターの方と二人で練習し、だんだん一人で乗れるようになっていくんですよ。空を自分の力だけで飛んでいるんだという感覚を味わえるのがとても魅力的で、空を独り占めしているような気持ちでした。

――想像するだけでも、気持ちよさそうですね!何回生まで続けられたのですか?

4回生まで続けました。全国大会が3月に行われるので、卒業するぎりぎりまで部活をやっていました。

ただ、大会期間中に東日本大震災が起き、大会は中止になりました。埼玉で開催していたので、現地は結構揺れました。最後は大変な幕切れでしたね。

――そうだったんですか……。でも、4回生のギリギリまで活動できるのは魅力的ですね!

「京炎 そでふれ!」で、京都学生祭典に出演

――大学時代に、他にやっていた活動はありますか?

実は1・2回生の時に、「京炎 そでふれ!」っていう踊りのサークルにも入っていたんですよ。それぞれの大学にサークルがあるのですが、「京都学生祭典」でみんなで踊ることを一つの活動の目的としていました。

同志社だったら「志舞踊(しぶよう)」というサークルがあるのですが、ご存知ないですか?

――すみません、初めて聞きました……。

あるんですよ。僕は、京都大学と京都府立大学が一緒にやっている「彩京前線(さいきょうぜんせん)」というサークルに入っていました。

1回生の頃にいろんなサークルや部活を見に行きましたが、練習会みたいなのがあって、そこで踊ってみて楽しかったのでやりたいなと思いました。高校の時もですが、一つの活動に集中するというよりはいろいろ兼部したいという思いがあったと思います。

――そうだったんですね! 本当にたくさんのことに挑戦されていたとことが伝わってきます。

#1はここまで

いかがだったでしょうか。中高生の頃から大学生までのお話を通して、本当に好奇心旺盛でたくさんの経験をされてきたことが伝わってきました。

「グライダー」と「京炎 そでふれ!」は大学生ならではの活動で、とても興味深いお話でした。次の記事では、就活とアナウンサー時代のお話をお届けします。

(同志社大学 法学部 梅垣里樹人)

(写真提供 前田智宏さん)

この記事を書いた学生

かれんちゃん

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