北野天満宮の神主さんに聞いてみた!参拝する前に知っておきたい6つのこと
修学旅行で京都に来たらほとんどの確率で訪れる場所。それが学問の神様、北野天満宮。
「勉学の神様が祀られているから〜」「もうすぐ受験だからお願いしておかないと〜」と、意外と北野天満宮について知らないまま訪れていませんか!?
それはもったいないですよ!
ということで、実際に神主さんに北野天満宮に参拝する前に知っておきたいことを聞いてまとめました!
ぜひ修学旅行で訪ねる前に読んで詳しくなっちゃいましょう!
北野天満宮について
北野天満宮は、平安時代中期を代表する学者・政治家菅原道真公をお祀りした神社です。
学問・和歌・書道・芸能の神、至誠の神として信仰され、江戸時代には寺子屋の普及とともに全国に学問の神さま「天神さま」として信仰されました。
全国の天満宮、天神社の約12,000社の多くが北野天満宮により祀られたと云われています。北野天満宮は天神信仰発祥の地、全国天満宮の総本社です。
日本文化史上の大きな出来事が数多く行われた場所であり、豊臣秀吉・千利休らによって催された大茶会「北野大茶湯」、出雲阿国の歌舞伎踊上演なども歴史的な出来事の一つです。
今では修学旅行の聖地として多くの修学旅行生が参拝に訪れています。
北野天満宮の権禰宜さんにインタビューした記事はこちら
もくじ
①お参りってどのようにするのが正しいですか?
お参りの作法の基本として、二礼二拍手一礼があります。
その他にも、テレビや本で「お願いする前に住所と名前を言う」や「お賽銭は(御縁に掛けて)5円が良い」などと言われますが、必ずこうしなければならない!という形式はありません。
一番大切なのは「神様に対する感謝の気持ち」です。
神社に参拝するときは、願いごとを叶えてもらうためではなく、神様に感謝の気持ちを伝えることに意味があります。お願いごとをする前に、日々健康に過ごせていることや自然の恵みに対する感謝をしましょう。
お願いごとの内容は自由ですが、悪いことは願ってはいけません。前向きなことを願いましょう。
そして人のために願うことは尊いことです。
北野天満宮では受験を控えた方が多く参拝に来られます。そこで大切なのは「お礼参り」を忘れないこと。
神社に祈願をして、その後、感謝と報告のために再度参拝することをお礼参りといいます。
お礼参りで再び神様と縁を結ぶことで、これからの生活を新たにスタートさせることができるのです。
合格した人だけがお礼参りにくるわけではありません。結果を神様に報告することで完結し、次の願いにつなげていくことが重要です。
お礼参りは年々増えているものの、受験前に参拝する人の数に比べるとまだまだ少ないです。
心の中だけでお礼を伝えるだけでなく、実際に訪れてお礼参りをし、形に表しましょう。
形式に沿った正解はなく、なによりも「感謝」や「縁を結ぶ」という気持ちが大切。
特に、合格祈願では、願いが多すぎてたくさん伝えたくなりますが、まずは落ち着いて感謝の気持ちを伝えましょう!
②お守りやお札は効果があるのでしょうか?
お守りやお札はグッズ、商品ではありません。
神様の特や力、これを御神徳と言いますが、この御神徳を頂戴して形にしているものです。だから、粗末に扱ったり、捨てるようなことは絶対にやめましょう。
もしも受験祈願でお守りを受けたのであれば、役目を果たした後のお守りは神社に納めましょう。
見守ってくれたお守り、そして神社に感謝を伝えるという意味でこれも先ほどのお礼参りと繋がりますね。
また、お守りをたくさん持っていると「神様がケンカする」と聞いたことはありませんか?
そんなことはありません。ただ、たくさん持つと、ひとつひとつを丁寧に扱わなければいけないという点で大変ではあります。
また、長い間、同じお守りを大切にしたい人もいると思います。お守りの効果に期限はなく、長く持っていてもご利益は薄れないそうです。
験(げん)を担いでずっと同じものを持つという人もいると思います。長く持つことは決して悪いことではありません。
しかし、長年持っているとお守りやお札も痛み汚れてしまいますので、何かの節目(新年など)あるいは願いが成就した暁には新しいお守りやお札を受けるということをおすすめします。その際には古いお守りお札を神社に納めましょう。
北野天満宮にも効果に合わせてたくさんのお守りやお札があるのでぜひ自分に合ったものを選んでみてください。
受験祈願でたくさんお守りを受けることも、1つに願いを込めることもどちらでも良し。北野天満宮を訪ねる際には自分の願いを込めてお守りを受けてみましょう!そして大切に保管しましょう。
③どうして牛がたくさんいるのですか?
伏見稲荷大社では「狐」、春日大社では「鹿」のように、北野天満宮での神の使いとしてされているのが「牛」なんです。
なぜ牛なのかというと、まず、菅原道真の干支が丑年ということ。そして道真公のご遺体が牛車に乗せて運ばれたことなどが起因しています。
北野天満宮では名物として「なで牛」がありますよね。
なで牛とは、自分の体の悪い部分と、牛の同じ部分をなでると良くなると言われているものです。
実はこの「なで牛」、いつから、誰から始まったのかという記述は残されていません。つまり神社から発信したわけではなく、庶民の人々の信仰から始まったことだと考えられるのです。
民間の信仰があったということは、それほど昔から多くの人々に親しまれていたということ。
わらべ歌の「通りゃんせ」でも「天神さん」と歌われるように、昔も今も「天神さん」という名で親しまれています。
神社では、お寺に仏像があるのとは異なり、神様を見ることができません。神様を感じ取ることでありがたみを覚えるんです。
北野天満宮では神様が目に見えないからこそ、牛という目に見えるものを通して信仰が行われてきました。
学問の神様を祀っているため、勉学に勤しむ人が多く訪ねるイメージがあるかと思います。昔から広く地元の方々に親しまれているのです。
私は幼い頃から北野天満宮によく訪ね、その際は毎度牛の頭をなでて自分の頭に刷り込んでいました(笑)。みなさんも自分の良くしたいところをなで牛に気持ちを込めてみましょう!気持ちもスッキリするはずです。
④北野天満宮は梅とどんな御縁があるのでしょうか?
菅原道真公が一番好きだった花が梅の花でした。
そんな梅の花と道真公には「飛梅伝説」という信仰があります。
学者の血筋で、その中でもとびきり賢かった道真公は、平安時代の政治の中心にいました。しかし、当時実権を握っていた藤原氏はそれをよく思わず、道真公を陥れて太宰府へ流します。太宰府へ流されたとき、大切に育てていた梅も一緒に太宰府へ飛んでいったというのが伝説です。
「東風(こち)吹かば にほひおこせよ 梅の花 主(あるじ)なしとて 春を忘るな」。
こちらは道真公が京都の自邸の梅の花を想って読んだ有名な和歌です。
さらに、道真公の祥月命日である2月25日は、ちょうど梅の花が咲き始め、見頃となる時期でもあります。
そのような御縁から、北野天満宮での御神木は梅となっています。
毎年、祥月命日にあたる2月25日には道真公を偲び、お慰めする神事「梅花祭」が厳粛に執り行われます。
本殿のすぐ隣にある「飛梅」。ごく自然に存在するため、なかなか気づきませんでした。御神木を見ながら、道真公の好きだった梅であることを想うと、とても身近に感じることができました!
⑤毎月25日に行われている御縁日について教えてください
「25日」という日付と北野天満宮は多くの御縁があります。
まずは先ほども説明した道真公の御命日が2月25日であること。月命日として毎月25日には参拝者が多く来られます。
さらに、道真公の誕生日も6月25日!そのため古くより毎月25日には、北野天満宮へ参拝する人が後を絶なかったと伝えられています。
やがて神社の周りで伝統芸能や露店の出店が行われるようになり、現在のような御縁日が形作られました。
また、道真公は達筆であったとことから、1月25日の初天神では書き初めも行われています。
25日はいつもたくさんの露店が出店されていて、通学時に自転車で前を通るのが楽しみでした。
しかし、縁日というイメージしかなく、月命日ということを知りませんでした。こうやって少しでも前に知識を増やして訪ねると気持ちが新たになります。
25日に北野天満宮に参拝に来るといつもとは違う雰囲気を味わうことができるので、ぜひ参拝してみてください!
⑥おみくじは持って帰るべきでしょうか?
大吉だったら持って帰り、その他なら結んで帰るということのが一般的ですよね。それも間違いではないのですが、大吉も結んで帰って良いのです。
結ぶということは「神様と御縁を結ぶ」ことに繋がるんです!
大吉は縁起が良いものとされているため、持って帰る場合には、捨てたり粗末に扱ったりはせず大切に保管して、次におみくじを引くときに前に引いたものを結んで帰るという方法もあります!
また、大吉は良くて凶は悪いということはありません。自分の関わる項目が、どのように書かれているかもしっかりチェックしてみてくださいね。
項目によっては、凶にも良いことが書いてある場合があります。
おみくじはこれからの人生の道しるべになりますよ。
これまでは、新年におみくじを引いて大吉だったら喜び、凶だったらその1年を不安に思い、小吉や吉の場合には、どれほど良いのかわからず複雑な気持ちになっていました(笑)。しかし、大切なのは大吉や凶などの順番ではなく、どのようなことが書かれているかということ!もし凶が出てしまったとしても落ち込まないで。これからの自分を教えてくれる素敵なことが書かれています!
最後に
いかがでしたか?
私は神主さんのお話を聞いて、今まで知らなかったことや曖昧にしてしまっていたことを知ることができました。
これから修学旅行等で北野天満宮を参拝する方は、この記事を読んだ内容を考えながら行くと、見方が変わること間違いなし!
なで牛やおみくじなど、ぜひ実際に体験してみてください。
そして合格祈願で参拝した後は、お礼参りにも来てみてください。
北野天満宮とご縁を結ぶお礼参りが、これから京都で大学生活を送るみなさんにとっての新生活のスタートになりますように。
(同志社大学 政策学部 嶋倉万由子)