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安心安全な観光を楽しむために!~これからの京都観光を考えよう~

みなさんこんにちは!京都では少しずつ地方からの観光客・修学旅行生が増え、再び活気が戻ってきた兆しを感じます。4月・5月が観光シーズンだったからでしょうか。もしかしたら、京都の観光業界を支える人達の努力の結晶かもしれません。
実は、昨年11月11日、京都市と京都市観光協会、そして京都の観光事業者の方々が「新しい京都観光に向けた共同宣言」を発表しました!

そこで、宣言に携わった京都市産業観光局 観光MICE推進室の職員の横下さん・牧野さんに「新しい京都観光に向けた共同宣言」やコロナ禍での修学旅行の受け入れ等について、お話を伺いました!

「新しい京都観光に向けた共同宣言」って?

京都では、コロナ禍以前より、一部観光地の混雑や観光客のマナー違反、地元の人々が公共交通機関を十分に利用できない交通の混雑等、課題がありました。

そのため、京都市と京都市観光協会をはじめとする観光関連業界27団体が一体となり、市民生活と観光が調和し、SDGsの達成等にも貢献する持続可能な観光を実現できるよう、今一度観光のあり方を見つめなおし、「新しい京都観光に向けた共同宣言」を出しました。

宣言は以下の通りです。

引用元:京都市情報館:https://www.city.kyoto.lg.jp/sankan/page/0000291569.html

――「新しい京都観光に向けた宣言」後、何か影響はありましたか。
横下さん:宣言後、複数のメディアに取り上げていただくなど、様々な反響がありました。今回この宣言を行ったことは非常に大きな意義があると考えます。

また、この宣言をするだけで終わってしまうのではなく、観光の回復や、持続可能な観光の実現に向けて、宣言の内容を具体化していくことが重要です。

今回の宣言で、宿泊施設やタクシー・観光バスが集まっている協会、物産業界などの観光業界のみならず、京都市内に事業所をおく企業が集まった京都商工会議所という経済団体も一体となって「いよいよ新しい京都観光がやってきますよ!」という発信をすることで、想いを全員で共有できたことがとても大事だと思いました

安心安全な修学旅行に向けた取り組みについて

――コロナ禍での「安心安全な修学旅行に向けた取り組み」で特に力を入れたこと、苦労したことを教えてください。
牧野さん:力を入れたことは主に2点あります。

1点目は外部と連携して、修学旅行生の受け入れ体制を整えつつ、市民の安心安全を図れるような仕組みを考えたこと。2点目は「教育学習の一環として京都を訪れることに意義がある」と、修学旅行生に訴えかけたことです。

1点目に関しては、学校や保護者の方々の立場に立って、本当に必要な情報を速やかに、正確に、分かりやすく発信していかなければならないと同時に、市民の安心安全に配慮しなければならないと痛感したからです。
一昨年のことを振り返ると、4月・5月は学生の皆さんは緊急事態宣言で学校が休校になっていましたが、例年では修学旅行は5・6月の初夏と9・10・11月の秋にかけての実施が多いことから、全国の学校の先生や旅行会社、保護者の方々から我々に「京都は本当に修学旅行生を受け入れてくれますか?」、「行っても大丈夫ですか?」などのお問い合わせが1日に何十件もありました。
また、修学旅行は普段の遊びや買い物とは違い、学習指導要領に定められた教育活動に当たるので、できる限り実現させつつ、安心安全との両立を図ることをまず1番に考えていました。加えて、受け入れる京都市民にとってもやはり安心安全は大事です。特に、感染拡大が広がっている地域から修学旅行生が来て、市民の方に「なんで来るの?」と言われては修学旅行生も非常に悲しい思いをしますし、いつまでたっても観光客と市民生活が調和することができません。
そこで、私たちは宿泊施設やバス・タクシー会社をはじめとする観光関連事業者の皆様と連携をして感染症対策に取り組み、まず受け入れ環境を整えようと、修学旅行専用の「24時間感染電話相談窓口」を全国で最初に設置しました。万が一、京都滞在中に体調不良があった場合、いつでも電話をしてもらえるような専用電話です。

2点目に関しては、コロナの影響による修学旅行生の減少を目の当たりにしたからです。コロナ禍以前は、年間70万人の修学旅行生が京都に訪れていました。修学旅行生が年間で70万人も来る所は全国でも無く、ある修学旅行関係の団体が行っている調査ではやはり京都が1番人気なんです!!それが、コロナの影響で2020年は16万人まで減ってしまいました。
そこで、修学旅行の事前学習資料「修学旅行ハンドブック」の最後に 、修学旅行のためのガイドライン“ウィズコロナ社会における新しい修学旅行「京都スタイル」”を掲載しました。安心安全な修学旅行を実現させるために京都市が考案した様々な対策のほか、出発前・出発後・帰宅後の対応を細かく分け、修学旅行前後のコロナ感染を防ぐ方法を分かりやすい図を交えながら掲載し、修学旅行生のみならず、先生方・保護者の方々が「修学旅行先を京都にしよう」と十分納得・検討していただけるように感染対策の徹底を訴えました。修学旅行でお越しいただく皆さん全員に一度目を通してほしい部分です。
修学旅行で京都を訪れることは、「京都を知る=日本の文化を知る」1番の近道ですし、今後世界に羽ばたいていく子どもたちが更に増えていくと予想されます。その際に自分の国を紹介するツールとして京都に来た“思い出”や“考え”はすごく活かされるはずなんです。だから、京都に“遊び”ではなく“学校行事の一環”として学びに来るというのはすごく意義があることだと思っています。

特に苦労したことは、やはりひっ迫状況にある医療機関との連携でしょうか。
一昨年は京都市民の受け入れだけでも一杯いっぱいな状況でした。しかし、修学旅行生が万が一感染してしまってもスムーズに対応できるよう、修学旅行生専用の適切な相談対応の環境を作りました。どの医療機関も大変な状況だったにも関わらず、こちら側に寄り添って受け入れ体制の準備・協力をしていただきました。

修学旅行生必見!

――コロナ禍で時期をずらした修学旅行が目立っているように感じました。その中で、お二人の考える、修学旅行生に体感してほしいこと・おすすめの場所はありますか?
牧野さん:まず京都に来る前に、事前学習資料の「修学旅行ハンドブック」に目を通してほしいと思います。
この冊子は、修学旅行生が訪れやすいようにマップや施設が紹介されているだけではないんですよ。実は、いろんな仏像の種類とか、神社と寺院の違い、お寺のお庭などといったように京都の文化や歴史が分かりやすく紹介されているんです。

横下さん:10年以上前、私が観光振興課にいた時に修学旅行を担当しておりまして、1年かけて作成しました。私自身は歴史が好きで京都の大学に来て、在学中は修学旅行生を受け入れているバス会社で観光案内のアルバイトをしていたんです。
掲載している年表は主に中学校の歴史の教科書に載っているものです。例えば、源平合戦も室町幕府も、本能寺の変とか幕末も、歴史の転換期は全部京都が舞台になっていることが分かりますよね。京都に来るとそれら全部を見ることができるので、是非回っていただきたいです。「京都は都だったから必ず転換期には出てくる。そういった歴史をぜひ学んでほしい!」という思いで書いています。奈良時代の終わり・平安時代初期の時代がまず始めにあって、見ていくと「京都って1200年もの歴史が紡がれてきて今があるんやなぁ」と修学旅行生に実感してもらえるようなイメージで作りました。
こういった事前学習資料をどんどん充実させて、来る前から京都に興味を持ってもらい、滞在中に充実した修学旅行にしてほしいなと思っています。

(修学旅行の事前学習資料セット。ハンドブックだけでなく、京都の複雑な交通機関に対応した「地下鉄・バスなび」や「京都修学旅行アクセスガイド」のほか、様々なニーズに合わせた観光ガイドが豊富です!!)

牧野さん:我々としてはもちろん、京都のいろいろな場所を見て回ってもらうことが大前提ですが、それに加えて“自分自身が体験する”ということをしてほしいですね。
例えば、ハンドブックの文化体験の紹介ページで言うと、“焼き物・和菓子作り体験”や、“狂言や芸妓さん・舞妓さんの舞の鑑賞”などなど……。こういった、京都に来ないと味わえない体験というものをしてほしいと思います。事前学習資料の中には、クーポン・優待の付いた「京都MAP 楽しい観光施設」や「京都修学旅行パスポート」などがあるので是非活用していただきたいです!!
また、旅館・町家をはじめ、やっぱり京都って日本の文化や和の心みたいなものがあふれています。今の子供たちのお家の床はフローリング、という家庭が大半ではないでしょうか。畳の文化とか、季節ごとにお花を生け替えたり、掛け軸を楽しんだり。京都はそれが街中に溢れているので、そういった季節の移ろいなど、楽しみ方を自ら発見してもらえたらと思います。

少し話が変わってしまいますが、私が観光MICE推進室で修学旅行を担当してから、修学旅行を通じて「京都の大学を志望したい」、「将来は京都の伝統産業・文化に携わりたい」と思ってもらえることが、現在課題となっている、就労や人材育成・人材確保の解決にとって非常に重要なカギとなっているなと感じています。
特に、舞妓さんは修学旅行を機に憧れる子が多いので、花街の文化を維持継承していく為にも、身近に触れていただく機会って必要ですね。

――横下さんのおすすめポイントやおすすめの場所も教えてください。
横下さん:いっぱいありすぎて困りますね(笑)。最近だと、何かを体験できる施設が内容も含めて充実されていますよね。美術館とか博物館とか。修学旅行生向けのWebサイト、「きょうと修学旅行ナビ」に掲載されているものでも約400箇所ありますし。

「これ!」といったモノ・コトをお勧めするのは難しいのですが、京都は歴史文化財に溢れ、伝統文化や産業も学べて、それに国際交流もできることが強みです。私も牧野さんと同じ意見ですが、修学旅行生にはいろんな分野を幅広く見るだけじゃなく、是非“体験”をしてほしいと思います。

「きょうと修学旅行ナビ」

https://shugakuryoko.kyoto.travel/?msclkid=85c0dea6cf5d11ec821b02f49abf8185

おわりに

いかがでしたか? 私は昔から京都をよく訪れていましたが、小学校の修学旅行で様々な歴史文化や伝統文化に感化され、京都の魅力に惹かれ、京都愛がどんどん止まらなくなり、将来は京都に住みたい!と決心することができました。全国の中高生の皆さんが1人でも多く修学旅行を機に「京都へ進学したい!」と思ってもらえたら嬉しいです。
まだまだ油断のできない日々が続きますが、一人一人が感染防止を意識し、マナーを守り、訪問地や習慣を尊重して行動することによって、訪れる人も、迎える市民の皆さんも満足し、京都の観光が復活すると思います。そんな、これからの「新しい京都観光」を皆で楽しみましょう!!

次回は、「新しい京都観光」に向けて実際に取り組みをされている、ヤサカ観光バス株式会社のインタビュー記事をお送りします。そちらも是非チェックしてくださいね!!

 

 

(京都女子大学 文学部  内海万知子・田中澪弥渚)

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