映画『天気の子』物語の誕生まで 新海監督の思考過程とは
もくじ
日誌に残された試行錯誤の跡
制作日誌に書かれていた内容は、完成した映画の約2時間の作品のうちのほんの断片的なものでしかありません。
まるでパズルのピースのようなアイデアを一つずつ集めることから始まり、多くのスタッフとの制作期間を経て一つの映画が誕生するのです。
監督が出会った人、好きな音楽や本、そして天気。ピースは監督の身近なものにあふれていて、監督が映画を作るために常にアンテナを張っているからこそ集まったものです。
最後まで残っていたピースも結果的に使われることはなかったり、突然形を変えたり。日誌からは監督が試行錯誤された様子や映画制作の奥深さを感じ取ることができました。
映画制作とは
映画に必要な要素は、
・テーマ
・キャラクター
・物語
の3つだと監督は言います。
実は、映画の出発点についてのお話の前に、天気の子におけるテーマ・キャラクター・物語がどのようなものだったのか監督が説明してくださいました。下の図は監督の講演資料をもとに、京都学生広報部員が作成したものです。天気の子の場合はこのような構図になるそうです。
制作日誌を見せていただいてからこの図を見返して私が感じたこと。それは、監督のことばをお借りして言えば、「映画は複雑な構造物」だということ。
一つの図にしてしまえば、スッキリ見えてしまうかもしれない。でも決してそうではなくて、私たち観客が見る完成された作品はもちろん、そこにたどり着くまでの道のりも含めて、映画の制作は本当に複雑でした。
講演の初めに話されていた「映画のテーマはどうやって思いついたんですか?」という質問に、ひとことやふたことで答えられるわけもなく、テーマも構成も、長い期間を経て、監督が様々なものからヒントを得ながら創り出したものです。
私は今、もう一度映画を見たい気持ちに駆られています(笑)監督のお話を聞く前と聞いた後では、天気の子という作品や映画自体に対する感じ方が、大きく変わった気がするからです。
見る人を涙させたり、笑顔にしたり、心の支えとして勇気をくれたり……。
映画は様々な形で私たちを楽しませてくれています。創り手について想いを馳せてみることで、もっと深く作品と向き合うことが出来るのかもしれません。私は、そんな映画を届け続けてくれる創り手の方々に感謝せずにはいられないのです!
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(文:立命館大学 産業社会学部 木村天音)
(写真:龍谷大学 政策学部 今西賢)
(資料:京都女子大学 渡邊結衣)
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