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映画『天気の子』物語の誕生まで 新海監督の思考過程とは

新海誠監督の最新作、映画『天気の子』。皆さんは見ましたか?私は京都学生広報部員の友達と一緒に見に行きました!

2016年に公開された映画『君の名は。』が歴史的大ヒットを記録し、待望の新作となった今作も歴代日本映画興収ランキングトップ10入りを果たすなど、新海監督の生み出す世界観は多くの人を魅了しています。

そんな新海監督が京都で『天気の子』―物語の起点―というテーマで講演されました!大ヒット映画の物語がどのように生まれたのか、講演の内容を記事で大公開しちゃいます!

KYOTO CMEX2019 第1回コンテンツクロスメディアセミナー

会場はANAクラウンプラザホテル京都。
「コンテンツクロスメディアセミナー」というKYOTO CMEX実行委員会、京都商工会議所主催の連続講演会に映画監督の新海誠監督が登壇されました。監督が現れると約400名の観客から盛大な拍手が!

「京都以外から来られた方?」と監督が尋ねると約4分の1の方が手を挙げ「自分が一番遠くから来た自信がある人?」という質問には、まさかの「サウジアラビア」という答えも(笑)。
男女、年齢、国籍を問わず幅広い方々から人気を集めた作品なのだと改めて実感しました。

インタビューで必ずと言っていいほど聞かれる質問として、“映画のテーマはどうやって思いついたんですか?”というのがあります。
『天気の子』の場合、“東京の100%の晴れ女というアイデアを思い付いたからです”などと答えているのですが、本当は簡単に一言で言えるものではありません。
映画はとても複雑な構造物で、インスピレーションが空から降ってきて、映画ができちゃったなんてことは一度もない。」

講演の冒頭にそう語る新海監督。
この質問の答えとなる、映画の出発点、『天気の子』の物語の起点について深いお話を聞くことが出来ました。

「”2016/03/26 ちょうど手すきになってしまった。次回作にぼんやりと想いを馳せてみる。”」

監督がほぼ毎日つけていたという映画の制作日誌。その日付を見て私は驚愕。なんと映画『君の名は。』公開の数カ月前から『天気の子』についてすでに考え始めていたのです……。

監督は映画の構想を考えるために、まずは数カ月~半年間、自宅などで一人考える時間を設けて映画の企画書を完成させ、その企画書を元にスタッフの方々との活動をスタートしているそう。
私たちのもとに映画が届くまでの日々をつづった日誌を公開してくださいました。

『天気の子』制作日誌・抄録

2016/04/14
・熊本地震発生

2016/06/06-30
・梅雨前線、九州で記録的大雨

 制作日誌の初めのほうに書いてあったのは、当時日本で被害の大きかった災害について。

映画のタイトルにもある「天気」に関するメモが多く残されていました。実際に映画の中でも東京で降り続く大雨とヒロインの陽菜(ひな)との関係性が描かれるなど、最近日本で見られる異常気象や災害は監督の作品にも影響を与えていることがわかります。

2016/08/26
・言葉に呪いをかけられた少女

 2016/12
・宇宙か空か海か。ならば、空だよなあ…。
・黄泉国神話
・山幸彦と海幸彦

二つの対照的な世界を映画にしようと考え始めていたそう。映画のテーマに近いワードもありますが、そうでないものも。
もしかするとテーマが天気じゃなかったり、陽菜は100%の晴れ女ではなかったかも!?

2016/12
・神さま、もうわたしに何も、足したり、引いたりしないでください

 まだ『天気の子』が公開されるまで約3年もあるにもかかわらず、映画で使われていたものとほとんど同じセリフが!

帆高(ほだか)の祈りの言葉であるこのセリフ。映画を見た人なら印象に残っているのではないでしょうか?ストーリーや登場人物よりも先にセリフを思い付くというのも不思議な感じですよね……。

このころの監督は、『君の名は。』でもタッグを組んだRADWIMPSのアルバムを聞いていたそうで、曲の歌詞から影響を受けてこのセリフが浮かんだと言います!え、エモい!

また、RADWIMPS以外にもMV(ミュージックビデオ)を見ることが好きで、今を生きる人々のムードや気持ちを知るきっかけになっているそうです。

2017/01/15
・現代日本が舞台で、ベースは民俗学+SF
・「世界の秘密=孤独の起源を知る物語」「恋する人を救う物語」

 2017/01
・「巫女の犠牲と引き換えに、世界の秩序をキープする」のではない話。カオスでいい、ということを選ぶ

 映画に民俗学の要素を取り入れようと、人身御供論に注目していた監督。

調和というハッピーエンドを迎えるために犠牲になるのが正しいとされてきた人身御供も、現代の日本では受け入れられないんじゃないか。そんな考えから「狂った天気、狂ったままの世界を選ぶ」というテーマを思い付いたそうです。

2017/02/02
・シカオの研究。彼は彼で、雲の魚について調べていく?

 日誌を見ていていると、映画を見た限りでは見覚えのないキャラクターの名前を発見。

このシカオというキャラクター、実は主人公の帆高よりも早くから日誌に登場しています。帆高が現れたのは映画について考え始めてからかなり後。一体、何者!?

主人公である帆高が家出先の東京で世話になることになったライターの須賀。声優は小栗旬さんが務め、映画の中でも重要な人物の一人であるこのキャラクター。

そう、シカオの正体はこの須賀だったのです!
二つの名前を合わせると……スガシカオさん!?

なんと、「ダ・ヴィンチ」(KADOKAWA)2017年4月号に掲載されたスガシカオさんとの対談が、物語を考えるうえで大きなヒントになり、シカオというキャラクターが生まれたそうです!
その事実を知った観客の方々は大爆笑。すでに作品を見ている方がほとんどであるが故に、シカオというキャラクターが、徐々に須賀へと変化する様子にクスっとなる場面が何度もありました(笑)。

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