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くるりの岸田 繁さん2―大学生エトセトラ編―

大学生時代の話に移ろうとすると、「ロクな話出来ないと思いますよ(笑)」と岸田さん。くるりの楽曲「京都の大学生」のくだりは、ぜひ曲を聴きながら、歌詞を見ながら読んでみてください!スタンプラリーの台紙の裏にも歌詞が載っています。

気になる学生時代

バンド、バンド、バイト、バンド、バンド、バイト…みたいな生活でしたね。授業も出ていましたけど、とにかくバンド活動が楽しくて、バンドサークルにずっと入り浸っていました。

―学生時代にやり残したことはありますか?

勉強じゃないですか(笑)。とにかくバンドって楽器を買ったりとか、スタジオで練習したりとかお金かかるのでバイトをすごいしたんですよね。週6回はバイトでした。色々やりました。警備員とか、マンションの建設現場とか、あとホテルですかね。

―サークルについて

サークルは、立命館大学のロックコミューンっていう音楽サークルに入ってました。楽器の上手い先輩や、当時、京都で流行っていた黒人音楽やブルースが上手なこわい先輩とかいろいろな人がいましたね。いいバンドが多くて。学内で定期演奏会もやるんですけど、大人のバンドに混じって市内のライブハウスでもやったりして。僕らもそれで鍛えられたというか。

―将来は音楽でやっていくとその頃から決めていたのですか?

いや、その時は音楽がただただ楽しくてやっていただけです。将来どうすんやろって思った時、僕、全然適当でしたから、就職するという選択肢がなくって。バイトしながらバンドやれたらいいなくらいしか思ってなかったんですよね(笑)。京都にいた先輩方のバンドも、そんな感じだったんで。たまたまバンドが楽しくて続けていたら、対バンしませんかとか、CD出しませんかという話になったんで、ちょうどいいやって。ラッキーやったんですよね。それで仕事にすることが出来ました。仕事にすると大変なことはあるんですけど、でも基本的にはやっぱり音楽やって、作って、いろんな人の前でやるのが楽しいんで。それが楽しい限りはやれるんですよね。

―くるりのこの曲を聴くと、立命館大学での学生時代を思い出すものって、ありますか?

そうですねえ…「ワンダーフォーゲル」って曲を好きって言ってくださる方が多いんですけど、もともとサークルの部室でロックっぽい演奏で作ってこの曲を演奏してたんですよね。その時は同級生の間でも人気のある曲でもなかったし、ライブでも全然やらへんかったし。ちょっと歌詞はちがいましたけど、何となくいい曲やねってくらいで、僕らも忘れてた曲やったんですよ。デビューしてアルバム2枚出して、ネタが尽きてきた時に引っ張り出してきて、 全然別のアレンジでやってみようってやってできたのがあの曲なんです。よくよく思い出したら、部室で作ったなーっていう思い出がありますね。

くるりの岸田 繁さん―大学生エトセトラ編―

―「京都の大学生」について

この曲、実は、ストックホルムで散歩してる時に書きました(笑)。

――歌詞のストーリーに、モデルなどはありますか?

友達でフランス映画かぶれの女の子がいて、そういうことを思い出したりとか。あと僕は北区出身で、周りはやんちゃな人が多かったんです。原チャがとんがってて、ジャージ着ていて。高校出て、そのまま就職する人も多かったし。自分の知ってる日常の風景って言うんですかね、京都で僕が見てた景色というか、出会った人たちの中で、こういう奴おるわって。

――歌詞に出てくる喫茶店って、進々堂のことかなと思っていました。

(歌詞を見ながら)ああ~、せやねえ。女の子はみんな進々堂とかに行きたがるけど、でも男はスポーツ新聞が置いてある、タバコ吸えるとこ行くみたいな、そういうイメージがありました(笑)。歌詞にあるこの2人は、同じ高校に通ってたけど…みたいな感じかな?どうとでも想像できますけど。北区出身の僕は、左京区のオシャレな感じが羨ましかったですね。

★「206番来たから とりあえず後ろに座った」の歌詞についてのウラ話

実は、最初に歌詞を書いたときは、”206番のバスが団子になって来て、1番後ろの誰も乗ってへんバスの、1番後ろに座った”っていう歌詞がついてたんですよね。でも曲のサイズもあるし、語呂が合わへんし、全部はしょりました。

―今までの人生を振り返って、大学時代とは?

あ~。やっぱり、いい思い出って残るんだなと思います。ちょっとずつ忘れていくことや、美化することもありますけど。何かの拍子に振り返ってみると、基本に立ち戻れることもあると思うんですよね。僕は今40過ぎたとこで、ハタチの頃が折り返しなんですけども、いよいよ色んなことを忘れ始めてますね。

ただどの時期と比べても大学生って、何をやっても許されるところがあって。これは悪い意味じゃなくて、チャレンジができる、色んなことが試せる時期なんやなってすごく思います。僕の場合、大学時代は1番音楽をやることに没頭した時期でもありますね。仕事になってからも没頭はしてますけど。音楽のこと以外、まあバイトのことは覚えてるけど、あんまり記憶がないんですよね。チャリ漕いで、学校行って、直ぐに部室に入って先輩とだべりながらCDの貸し借りとかして。大学に“ゆんげ”っていうカフェがあるんですけど、そこでパン食べて、あとはひたすら練習してっていう、そんな生活してましたね。

くるりの岸田 繁さん―大学生エトセトラ編―

―京都で暮らす学生に感じ取ってもらいたいことはなんですか?

客観的に京都をみた時に、何が一番魅力かって、間違いなく自然が近いことです。人口が150万くらいいる大都市でこんなに自然が近いとこっていうのは他にありそうでないんですよね。三方を山に囲まれてて、どこに行っても山が見える、季節が分かる、故に圧迫感がないというか。東京や大阪や名古屋にいると忘れる感覚なんですよね。でも僕は、それが結構大事な感覚やと思っていて。
いっぺん、四条大橋の欄干のとこから川を見下ろしてみてください。こんなきれいな川が流れている大都市はないと思います。特に今からの時代は、大事なことなんちゃうかなって思います。

――「東京」という曲の歌詞に、「季節に敏感でいたい」とありますが、これはやっぱり京都の自然を感じて出て来た言葉なんですか?

そうやと思います。なんとなく書いた歌詞ですけど。僕、鈍感なんですよ。冬でも年中Tシャツみたいな男なんで(笑)。京都はよく暑くてさぶいって言いますけど、なんでかっていうと、季節が分かりやすいからやと思っていて。まあ夏は大分暑いけどね(笑)。例えば東京の暑さはビルから出た放射熱で暑いんですけど、京都は自然の暑さの方が大きいかもしれないですね。

―全国の中高生に向けて、京都で大学生活を送る魅力を教えてください。

街全体がキャンパスみたいなもんやと思うんです。歴史がある街ですから、学校以外にも楽しみながら、自然に勉強できる街というか。京都のどの大学に入っても、その街に住む、通うことがワンセットでwin-winになれる街ですね。京都は遊び場やったり、学生が集える場所もいっぱいあるんで、楽しみが多いと思います。

くるりの岸田 繁さん―大学生エトセトラ編―

インタビューを終えて

2部にわたってお送りした、くるりの岸田さんインタビューもこれにて終了です。
私は中学生の頃からくるりを聴き始めて、京都に行きたい気持ちも、京都の大学に入りたい気持ちも、くるりの曲が盛り上げてくれていました。今も鴨川でくるりの曲を聴くと、たまらなくいい気分になります。
そんな素敵な音楽を生み出している岸田さんは、優しい眼差しの、本当に温かい方でした。「京都の大学生」の206番バスのエピソードは、今回初めて話してくださったそうです!山盛りのエピソードをインタビューできて、しびれました。ありがとうございました!!

(文、インタビュー:京都大学 文学部 角あかり)
(インタビュー:京都女子大学 現代社会学部 山本奈未)
(写真:立命館大学 国際関係学部 末本仁奈)

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