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くるりの岸田 繁さん1―京都づくし編―

岸田 繁さんは京都市北区の生まれで、立命館大学在学中はロックコミューンという音楽サークルに所属されていました。現在、ロックバンド、くるりでボーカル&ギターを務めるミュージシャンです。京都といえば、くるりでしょ!という方も多いのではないでしょうか。

今回は、そんな大の京都&阪急電車好きの岸田 繁さんのインタビューを2回に分けてお届けします。「なんでも聞いてくださいよ〜」と、ゆったりまったり親切な岸田さん。それでは、どうぞ!

阪急電車&京都音楽博覧会への想い

―阪急電車のエピソードについて

岸田 繁さん(以下略):母方のおばあちゃんが大阪の千里に住んでて、おばあちゃんの家に行く時に烏丸駅から阪急電車に乗って行ってたんです。それが小さい頃の自分にとっての遠出でした。大阪に行く時は阪急でした。

子どもの頃は、ずっと車窓から風景を見てましたね。よく特急に乗っていたので、嵐山線のようなローカルな電車に憧れがあって、いつも「あれに乗りたい」ってごねてました。いろんな車両を見ているうちに、電車が好きになりました。電車好きになったのは、阪急電車がきっかけですね。

くるりの岸田 繁さん―京都づくし編―

―去年に引き続き、今年も開催されている阪急電車×くるりスタンプラリーのきっかけはなんですか?

阪急電車のTwitterをフォローしていて。担当者の方が、たまにマニア心をくすぐるネタを投下しはるんです。けっこうマニアックな(笑)。
そこで、担当者の方と仲良くなって、メッセージのやり取りをするようになって、一緒に何かできないかって話になりました。僕は阪急電車の一利用者やったんですけど。
「始まりはSNSを通じて」っていう、非常に今っぽいきっかけですね。

あと小学校5、6年生くらいの時に阪急電車で夏休みに子ども向けのスタンプラリーがあったんですね。スタンプを集めると、新型車両の完成予想図が描かれた下敷きがもらえて嬉しかったことは小さい頃の良い思い出で、そういうのをしようと。この企画は、京都の阪急沿線の再発見を謳っていて。京都線って、中心部の河原町や烏丸以外の駅って、どちらかというと住宅街だったりで、観光地を通ってないんです。だからこそ実は穴場が多くて。京都音楽博覧会*(以下、音博)には、遠方から来はる人も多いので、ガイドブックに載っていない京都を知ってもらいたかったんです。
今年は、阪急電車と、京都で普通に生活してらっしゃる学生さんと、京都のいろんな穴場や魅力をこっそり知ってる私とでしかできないことをやろうと、そういう試みです。

*音博とは、くるり主催の音楽フェスティバル。2007年より京都市の梅小路公園で毎年開催され、今年で11年目を迎える。

くるりの岸田 繁さん―京都づくし編―

―今年の京都音楽博覧会で、特に学生に注目してもらいたいところはどの部分なのでしょうか?

僕らはCD世代で、学生の頃にCDを買って音楽を聴いてましたけど、今の学生さんは、例えばYouTubeとか、幅広いとこから集めて聴くことが出来るんですよね。色んなロックフェスティバルもありますし、僕らの時よりも楽しみ方が多くてとても羨ましいなと思います。

自分たちが主催するイベントは「誰もやってないことをやろう」、しかも「京都でやろう」というコンセプトでやっています。音博の魅力は、街の中でやっているということ。あと、今年は”懐かしい”というか、もしかしたら若い人たちが聴いたことがないかもしれない方々に出演して頂くんですけど、あえてそうしたっていうところがあります。若い人たちに聴いて欲しいし、好きかもしれないと思ったので。僕らと学生さんって、20歳ぐらい離れてるんですけど、僕らが学生の時に流行った曲が20年経った現在、90年代回帰と言われ再び注目されています。音博の面白いところとして、世代間をつなぐ感覚を大事にしています。

今、阪急電車にはちょっと懐かしいようなタイプの新しい車両が入って来ているんです。昔から阪急電車に乗っている人にも自然に受け入れられるようなスタイルで、でもよく見ると最新型なんです。そんな風に、今年の音博では、懐かしめの雰囲気がするけれども、新しい試みをしたいと思っています。オーケストラも入れて、昔の生演奏スタイルで。各アーティストの昔の代表曲と新しい曲を、僕らがアレンジして、歌ってもらおうと思っています。

――私たち学生世代には、新鮮に感じるのでしょうか。

そうだと思います。そこはもう自信があります。生演奏を生で体験するっていうのは、すごく贅沢なことだし、普段触れている音楽とちがうタイプのカタルシスがあるんじゃないかなと思ってます。
練習時間もお金もかかるから、だれもやってないんですけど、やろうと思っています。

さらなる京都のハナシ

―くるりは京都発のバンドですが、京都で聴いて欲しいくるりの曲はなんですか?

よく、遠方から京都に来られた方に、「京都でくるりの曲を聴いて、初めて意味が解りました」って言われることがあります。僕も好きな音楽って世界中にありますけど、例えばこの曲をニューヨークで聞くと、あーやっぱ全然ちがうんやなとか感じます。大阪行って、たこ焼き食うと美味いみたいな、そういうのってあるんですよね。くるりの曲は、京都で聴くと温度感がよりわかる曲が多いと思っていて。「春風」や「街」など、昔の曲は京都を感じられるものが多いですね。

―京都名物、鴨川カップル*は、岸田さんが学生の頃からいましたか?

*鴨川カップルとは、三条、四条あたりの鴨川のほとりに等間隔で座っているカップルのこと

そうですね、僕らの頃からなんとなく始まった感じですかね。

――岸田さんも座りましたか?

座りました(笑)。僕、高3の時に初めて彼女が出来たんです。当時、僕の通ってた高校は男子の方が多くて、僕は完全にあぶれる枠やったんです(笑)。一生彼女が出来んまま俺は死んでしまうんやろなって絶望感を抱えた人がいっぱいいて、僕もその1人やったんですけど、同級生と付き合うことが出来て。真っ先に鴨川行って、飲み物買うて、チョンと座りましたね。「やったあ!」って気持ちになったのを覚えてます(笑)。でも、そん時に「別れたい」と言われて、「ええ、もう!?ちょっと待ってよ」ってなりましたね(笑)。

くるりの岸田 繁さん―京都づくし編―

―コアな京都の楽しみ方について

ちょっと足を伸ばしてみて、山の方とか、川の上流の方に行くと、結構いいとこいっぱいあるんですよね。

僕がよく行ってたのは、雲ケ畑っていう、鴨川の上流の上流ですね。そこに蛍谷(ほたるだに)というところがあって、7月頃はプラネタリウムみたいに蛍が見れるんです。チャリで3時間くらいかかりましたけど(笑)。オオサンショウウオがいたりとか、すごく綺麗なところですよ。大原とかもバスで行けますし、静原とか、いいところが多いです。
立命館大学から近いところだと、沢ノ池っていうところがあって、ハイキングコースになってるんですけど、そこもいいですね。あとは、龍安寺や仁和寺も好きです。
1番お手軽なのは、大文字山に登るのがすごくいいんちゃうかなと思いますね。400メートルくらいの山やから小一時間で登れるんですけど、思ったより急で、ちょっとした登山なんですよね。登山道に雲母(うんも)っていう石がいっぱい落ちていて、それを拾ったりしながら、はあ~って思った時にちょうど”大”のところに着いて。市街を見下ろしながらお弁当を食べるという、いい休日の過ごし方がありますね。もう20年以上登ってないですけど、行きたいですね。
あと、右京区の奥の奥に廃村八丁ってところがあって、昔、廃村になった集落の後が残ってるんです。ハイキングコースになってて、小学校とか、城壁の跡もあって。ちょっとマニアックすぎる話ですけど(笑)。

くるりの岸田 繁さん―京都づくし編―

岸田さんはニコニコ、やわらかい雰囲気を醸しながらインタビューに応じてくださいました。岸田さんの音博への強い気持ちや、鴨川でのエピソードなど、京都トークは尽きません。
続いて後編では、大学時代のお話や、くるりの名曲「京都の大学生」について、ご紹介します。どうぞ!

(文、インタビュー:京都大学 文学部 角あかり)
(インタビュー:京都女子大学 現代社会学部 山本奈未)
(写真:立命館大学 国際関係学部 末本仁奈)

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