【十夜フェス 龍岸寺】アイドルに会いにお寺まで行ってきた
もくじ
十夜フェスとは
毎年10月から11月にかけて、全国の浄土宗寺院で行われる「十夜法要※」という念仏会。
※…元々は十日十夜にわたり絶えず念仏を称える法要で、現在は期間を短縮して行われている。
その「十夜法要」をコンセプトに
「古来より脈々と受け継がれてきた慣わしや,無形文化継承のあり方を,今,表現したい。」
と考えた学生たちが作り上げたフェスが「十夜フェス」です。
初年度は、仏教とアートの融合が十分ではなかったという反省から、二年目の今回は、
「仏教とアートそのもののコラボレーション」を目指したとのことです。
今回は、「アイドル」と「法要」がコラボしたイベントが行われた龍岸寺に行ってきました。
アイドルプロジェクトリーダー 橋本さんに聞いてきた
「なぜ法要とアイドルなのか。」
龍岸寺で催された「法要×アイドルプロジェクト」のリーダーとして振り付けや衣装などを
プロデュースされている京都市立芸術大学の橋本千裕さんに伺ってきました。
「アイドルを創りたかった」と語る橋本さん。
大学受験の際にアイドルの歌を聴いて元気をもらい、のめりこんでいったそうです。
大学に進学後は、アイドルの同好会に所属。
そんな中、「十夜フェス」に参加することとなりアイドルを創る機会が巡って来たそうですが、
急きょリーダーに就任したことでとても大変だったと語る彼女。
一見、結びつきようもない「法要」と「アイドル」のコラボについて
宗教の受け取り方は人それぞれで、一概に言えるもではないものの
「笑顔や元気を与える点で、アイドルと仏は似ているのではないか」
と考えているそうです。
実際に、境内でのパフォーマンスで人々が笑顔になる様子を見て納得がいきました。
法要×アイドル
今回の十夜フェスでデビューを飾った
浄土系アイドルの「てら*ぱるむす」。
メンバーが全員学生ということで、今度の活動は未定とのことですが
とっても素敵なステージでした。
お寺の本堂をステージに、パフォーマンスそのものが法要になっています。
特に「サイコー浄土」のコールの際は、お客さんのテンションも最高潮でした。
可愛く、素敵な「アイドルのステージ」である一方で、仏教の要素も垣間見られ
まさしく「仏教とアートそのもののコラボレーション」ですね
十夜フェス代表の圓城(えんじょう)さんに聞く
なんと今回、橋本さんに加えて十夜フェス全体の統括をされている圓城史也さんにも話を聞くことができました。圓城さんは、京都造形芸術大学出身で十夜フェスの発起人です。
――十夜フェスへのこだわりは?
こだわっているところは、仏教の色を消さずにアートとコラボすることです。アートとコラボするイベントは、宗教の部分をわかりやすくしようとして省いてしまうことが多いと思うんです。例えばお寺の中でしているだけで、催し自体は仏教の要素が少なかったり。なので、お寺の関係者の方と密にやり取りしながら、仏教の側の意見も取り入れて、いかに仏教の部分を残していくのかに力を入れています。
――組織をまとめる上で苦労したことは?
1年生や2年生が入ってきたときなどに、お寺と学生の間をつなぐ作業が大変です。イベントの内容よりもその土台を作ることが役割だと思います。お寺の方も、意見の交換など好意的に協力してくださっています。
――中高生へメッセージをお願いします。
今、ボランティアや国際協力など評価される活動はたくさんありますが、こうした活動は課題解決のためのものだと思うんです。それに加えて、「既存の物もこうしたらよくなるでは」というようなポジティブな切り口も持てたらいいのかなと感じています。今回、アイドルと仏教のコラボで批判されたところもありましたが、そういったことを気にしていたら面白い活動にはなりません。やりたいことをする、という精神を大切にしています。
まとめ
取材中も、お寺の関係者のお子さんが話しかけてきてくれるなど、地域との距離の近さが印象的でした。つながりを感じるアットホームな雰囲気が、学生が作るイベントの醍醐味ですね。
(立命館大学 産業社会学部 岡嶋望)