観光ガイドに載らない京都駅のピアノ-ピアノ初心者が見つけたストリートピアノ-

もくじ
はじめに

皆さんは京都駅7階東広場に設置されているストリートピアノをご存じですか?
私は京都駅近くの大学に通っているので、このストリートピアノには通学の際に出会いました。東広場7階につながるエスカレーターに乗っていると聞こえてくる音色が、広場での時間を特別に彩ってくれる、そんな空間です。
小さな女の子が練習していたり、ライブ配信をしながらピアノを演奏されていたり。
京都駅のストリートピアノは、上手いかどうかではなく「弾いてみること」そのものを受け入れてくれる場所だと感じていました。誰もが音楽に触れて楽しめるこの場所は私のお気に入りです。
2025年最後の思い出作りとして、私も「自分の演奏で誰かと時間を共有したい!」という一心で、1ヶ月の練習の成果をクリスマスイブに披露することにしました。とはいえ、ピアノ経験はゼロ。しかも京都駅のクリスマスイブに演奏することに正直不安しかありませんでした。それでも1ヶ月だけ本気でやってみようと決めました。
演奏する曲は松任谷由実さんの「春よ、来い」です。春が早く来てほしい気持ちと、新年を迎えるにあたって新しい気持ちでスタートしたい一心からこの曲を選びました。
本稿ではストリートピアノ経験後に感じた京都駅のさらなる魅力をお伝えできればと思います!
未経験からの出発

1ヶ月の期間しかないなか、一刻も早く練習する環境を整えるためフリーマーケットで売られていた電子ピアノと初心者でも弾ける演奏本を購入し、12月1日から練習を始めました。
この練習期間の間、2つのことを諦めました。1つ目は読譜です。読譜とは楽譜に書かれた音楽情報を読みながら音に変換する能力ですが、練習を始めてから早1週間、音符が並ぶ五線の上で音の位置を把握することが大きな壁でした。五線の上に並ぶ「ソ」と「シ」を何度も見間違え、「これはもう音符を全部覚えた方が早いかもしれない」と思い始めました。
2つ目は左手で演奏することです。これは練習を始めてから2週間で諦めました。両手でピアノを演奏できる方を本当に尊敬します。練習不足もありますが、左手に鍵盤を弾かせる器用なことを求めても、どうしても反応が遅れてしまうのが苦しかったです。逆に、利き手である右手は愛らしく思えました。
通しで弾けるようになったのは本番1週間前でした。しかし、原曲通りのスピードでは弾くことができず、松任谷由実さん、親しみを込めてユーミンと呼称させていただきますが、彼女のすごさを改めて実感しました。ラスト1週間は、原曲通りのスピードで弾けるように頑張りました。
クリスマスイブ本番

迎えた当日、夕方4時頃の京都駅はクリスマスイブの影響もあってか人の流れが速く、多くの人が広場に集まっていました。国籍問わず様々な人がいる空間は一人の未経験者を目立たせず、誰も気にしていないかのような安心感さえ抱かせました。
私より先に演奏されていた方はクリスマスソングを弾き、その場に来ている方々と一緒に盛り上がっていました。私はこの後演奏するのに気が引けながら演奏席に座り、練習してきたユーミン「春よ、来い」を弾きました。
実際に演奏している様子はこちらのURLからご覧いただけます!
本番の1週間前にもストリートピアノで練習していたのですが、練習の時よりも音は小さく感じられ、未経験であろうがなかろうが、弾いていた曲が京都の音の一部として受け止められたように感じました。
電子ピアノとは異なり鍵盤の一つ一つが大きく、指が届かないことも多々あり演奏が途切れましたが、最後まで弾き終えることができました。そしてつたない演奏が終わった後びっくりしたのが拍手をいただいたことです。私にはこの拍手が、未完成さを否定しない京都の魅力的な一面だと感じられました。
おわりに
いかがでしでたしょうか?
私は、京都駅でストリートピアノを弾いてみて、“知らない人と静かにつながる京都らしさ”に出会いました。京都駅に来た際にはぜひ東広場にお越しください。きっといつもとは違う京都が見えてくるはずです。皆さんも京都のひと味違う一面を感じに来てください。
(龍谷大学 社会学部 西村慶信))

