絶景プロデューサー詩歩さんに聞く絶景の魅力!

絶景を通じて人々に感動を与えるプロデューサーとして活動されている詩歩さん。今回は、実は、京都市在住という絶景プロデューサー詩歩さんにインタビューをさせていただきました!
もくじ
絶景プロデューサーとは?〜写真で伝える絶景の魅力〜
——絶景プロデューサーとして世界各地の絶景を旅する詩歩さんですが、絶景の魅力はどのように見つけられているでしょうか。独自の視点やポイントを教えていただきたいです。
詩歩さん:私はこれまでおよそ70か国を訪れました。初めて海外に行ったのは19歳の時で、子供の頃は旅行とは無縁の家庭だったので外の世界は全く知らなかったです。今こうやって旅行を始めてみると、行きたい場所がありすぎてウィッシュリストの中から一つずつ叶えていくという感じですね。
今だとSNSがすごく発達しているので、住んでいる場所や年齢に関係なく発信することができるし受け取ることもできるので、SNSを見て行き先を決めることが多いです。
あとは、歴史がすごく好きなので、教科書に載っている場所でずっと行きたかったところに行くこともあります。何千万年の歴史の中で作り上げられた砂漠みたいな情報を知ると、その何千万年の大地の力を実際に感じてみたいなと思います。
日頃からSNSでアンテナを張り巡らせ、新しいことを知るために本を買って読むようにしています。
行きたい場所がありすぎて人生が足りないですね。
——この絶景がいいとか、この絶景にはどのようなストーリーがあるかという詳細な情報はどこから収集されるのでしょうか。
詩歩さん:海外の場合だと、インターネット上の情報が基本になってくるので、まず日本語で探してみて見つからなかったら現地の言葉で頑張って検索をしてみるというのが行く前の情報収集ですね。
あとは実際に行ってから現地の人に話を聞いてみることもあります。例えば南米やアフリカは行ったことがある人が少ないので、日本語のネットの情報って結構間違っていることが多いんです。
2年前にアルゼンチンにある世界遺産のペリトモレノ氷河を見に行ったときに、日本語で調べたGoogleの情報によると、氷河が崩れる時期は夏ということだったのですが、私が行った冬シーズンでも結構崩れていたんですね。
あれ?と思ってガイドさんに聞いたら「全然違いますよ」と言われたので、やはり現地で聞かないとわからないこともたくさんあると知りました。
——地域振興アドバイザーとしても活躍されているとのことですが、観光業や地域活性化において、どのように地域と関わっていますか?
詩歩さん:現在独立して10年ぐらいになりますが、県庁や自治体からのお仕事がメインになってきています。
例えば愛媛県さんとのお仕事だと、私は外からの目線で「愛媛県のここがいいよ」「この風景みんなには普通かもしれないけど普通じゃないよ」みたいな、住んでいるからこそ逆に気付けない地域の魅力を写真で切り取って、お伝えするということをしています。
愛媛県で撮った写真や動画はテレビでもそのまま取り上げられるようになって、今ではたくさんの人が行ってくれるようになりました。
写真の力を使っていろんな地域を盛り上げていけたらと思っています。
私は静岡県出身なのですが、静岡に何があるの?って聞かれたら富士山以外は正直出てこないっていう感じでしたし、東京には何かあるだろうと東京に引っ越して10年住みましたが、東京って何もないなって思ってしまっていました。
でも海外に出てみると、「私の町にはこんな素敵なものがあるからみんなおいでよ!」という感じで、みんな自分の地元が本当に大好きなんです。実際行ってみると正直何もなかったりもするのですが、自分の地元に誇りを持っていることは素晴らしいことだなと思っています。
何もない所はなくて、静岡も実際に外へ出てから、外からの視点で見てみると素晴らしい場所がたくさんあるということに後から気づきました。
当たり前になっていて気づけないことがたくさんあると思うので、地域の人が自分たちの地域をもっと好きになってくれるきっかけ作りにもなれたらいいなと思っています。
——SNSでいろいろな活動をされていますが、何か意識していることはありますか?
詩歩さん:「死ぬまでに行きたい世界の絶景」というテーマで、インスタグラムを中心に自分が行った場所を紹介しています。実際に見た人が行きたくなるような写真と情報を載せるよう心がけて投稿しています。
写真の中に私が写り込んでいる写真や動画を投稿することも多いですけど、自分が映りたくて入れているわけではないです。やっぱり風景の中に人が写っている方が、このくらい広い場所だっていうのが伝わるし、ここまで近づくことができるのかみたいなことを伝えられたりもします。
海外の僻地のような場所だったら、こんな女性でもこんな砂漠や地球の裏側までいけるんだ!っていう親近感を感じてもらえたらなと思って、そういう写真を意識的に撮るようにしています。
なぜ京都に移住!?
——私たちは京都の魅力を学生に向けて発信しているのですが、詩歩さんが今京都に住み続けている理由は何ですか?
詩歩さん:引っ越したきっかけは、東京とは違うところに住んでみたいと思ったこと。その条件を考えた結果、京都になったという感じだったので、どのくらい滞在しようというのは本当に何も考えていませんでした。
最初の頃はもしかしたら1か月で引っ越すかもしれないと思い、家具も全部レンタルでした。しかし、住み始めたら心地よかったというのもあるし、ちょうど半年後からコロナ禍に入ったというのもあって身動きが取れなくなったという、二つの理由で長く住んでいますね。
私は地元が静岡県で、学生時代から社会人までは関東にいて、西日本に住んだことがなく親戚もいないので、京都のことを知らない。だから、同じ日本でも地域が違うだけで新しいことを知れるのが今でも新鮮で楽しくて、とうとう京都に住んで六年目になりました。
——京都に移住してから新しく知ったものや場所は何かありますか?
詩歩さん:たとえば京都って節分祭がすごく盛り上がるじゃないですか。今までは住んでいた場所で節分のお祭りに行こうなんて考えたことがなくて、「とりあえず恵方巻食べるか」くらいでした。
それが京都に来てからは毎年欠かさず吉田神社に行くようになりましたし、小規模なイベントも調べて新しい場所へ出かけるようにもなりました。節分祭を迎えることがとても楽しみになりましたね。
京都って他の町と比べてすごくコンパクトだと思うのですが、新しい情報が毎年更新されていて、こんなに文化がずっと残り密度が高い、魅力が詰まった町は他にはないなと思いましたね。
文化が地域とすごく紐づいているというところと節分祭ってこんなに楽しいんだというのは京都に来て初めて知ったことでしたね。
大学生に向けて
——大学生に向けて何か伝えたいことはありますか?
詩歩さん:自分自身を振り返ると、大学時代はすごく楽しかったですね。それは多分、やりたいことを全部やってきたからだと思います。
当時「すごく楽しい」と思ってやっていたかというとそういうわけではなかったんですけど、「やらない後悔よりやる後悔」という言葉を大事にしていました。
学生生活ってすごく限られた時間なので、興味を持ったことはとりあえず全部やってみようっていう意識で様々な活動に参加していました。
私の場合、会社に入ってしまうと、垣根を越えていろんな繋がりを持つ機会がとても少なかったですし、平日も自由に動き回れることはなかったので、やりたいことを全部やりきった学生時代の感覚が私はすごく楽しかったなと思います。
興味があることはとりあえずチャレンジしてみる、やってみて合わないなと思ったらやめればいいので、そうやって学生時代にやってみたら楽しいんじゃないかなと思います。
今後の展望
——今後はどのような活動をされたいとお考えですか?
今私ができることは、写真の目線で地域の風景の魅力を発掘することです。世界70カ国と日本の全都道府県を訪れた中で、全世界、他の地域と比べて「この地域の魅力はこういうところだよね」ということを実際に自分の感覚で見つけられるのが私の強みだと思っています。
日本は今オーバーツーリズムしているところと過疎化しているところで二極化してしまっています。過疎化している場所にこそすごくたくさんの魅力が眠っていると思うんですけど、その地域の人が気づいてない。
そういうところを私のこれまでの経験で見つけ出したいし、日本人はもちろん海外の人にももっと来てほしいなと思っています。これまでの延長線ではありますが、そういう過疎化した地域の魅力を発掘して発信していくことは続けていきたいです。
最後に
今回の取材では、詩歩さんに『京都の魅力』から『絶景プロデューサー』としてのこれからまで幅広いお話を聞くことができました。特に学生へのメッセージからは、興味があれば一度チャレンジすることの大切さを教わりました。本当に貴重なお話が聞けたと思います!
詩歩さん、貴重なお時間をありがとうございました。
詩歩さんプロフィール
「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」プロデューサー
静岡県出身。累計66万部を突破した書籍「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」著者で、SNSのフォロワー数は100万人以上。 昨今の”絶景”ブームを牽引し、流行語大賞にもノミネートされた。 現在はフリーランスで活動し、旅行商品のプロデュースや自治体等の地域振興のアドバイザーなどを行っている。静岡県・浜松市観光大使。
(取材・文:龍谷大学 社会学部 中矢柊成)
(取材:同志社大学 法学部 足立隼太郎)
(取材:龍谷大学 社会学部 永田藍梨)
(取材:大谷大学 文学部 宇野ヒカル)
(取材:京都府立大学 生命環境学部 井手上友香)