吉岡里帆さんインタビュー(前編)−とにかく難しい方に挑戦してみる−
ドラマや舞台、CMなどで大活躍の女優・吉岡里帆さんは京都のご出身!京都観光大使も務められており、なんと今回念願叶ってインタビューをさせていただくことができました。前編では学生時代のことから活動を始めたきっかけ、京都の魅力について詳しくお聞きします!
もくじ
京都での学生時代を振り返って
――京都ご出身の吉岡さんですが、なぜ大学も京都に進学されたのでしょうか?
生まれも育ちも京都でしたし、将来は書家やアート関連の仕事に就きたいと思って書道を専攻していたので、日本の伝統文化に対して意識が高い京都で学びたかったんです。
当時はまだ演劇や学生映画にも出会っていなかったので、京都が好きだし、京都で勉強したいと思っていました。
――なるほど。そこでどのような学生生活を送っておられましたか?
最近閉館した京都みなみ会館という映画館にはよく友達と行っていましたね。
そこでは当時、館長さんの趣味の映画が深夜から朝まで上映され続けることがあって、みんなで観ていたのは青春だったな、と思います。
――楽しそうですね!
あとは、友達と学生演劇や卒業制作をよく観に行っていました。それぞれの大学の個性を活かした卒展を観に行くのはすごくよかったな、と思っています。学生のうちでないとできないことをみんなで楽しんでいましたね。
――周りの友達も芸術が好きな人が多かったですか?
多かったですね。いろんな大学の人とコミュニティを作って、一緒に書道の活動もしていましたし、演劇をしたり映画を作ったり、それぞれの分野で一緒に過ごしていたので、みんな何かしら専門的なところに行きたいという人が多くいました。私が「好きなんだよね」と話しているうちにそのような友達が自然と増えていったのもありますね。
――では、お気に入りの京都のスポットなどはありますか?
御幸町通りにある古着屋さんは、かわいい古着が多くあったのでお気に入りでした。また、「INDÉPENDANTS(アンデパンダン)」というカフェも大好きです。京都のアーティストさんが地下で演奏してくれたり、一階でいろんな作家さんが期間限定で展示会を開いてくれたり、二階で劇の公演をしていたりととても楽しむことができ、学生時代はよく行っていました。
演劇を始めたきっかけ
――演劇を始められたきっかけについて教えてください。
当時、エキストラとして参加した現場で、演者として声をかけてくれたのがきっかけでした。声をかけてくれたのは映像監督志望の方だったのですが、学校の課題か何かで「映画を作りたいのですが出ていただけませんか」と言われて出演したんです。
それがなかったらおそらく女優の道を進んでいなかったと思うので、いろんな偶然が重なって今がありますね。
――それはすごい出会いですね!演劇を始めてから大変だったことは何かありますか?
とにかく時間が足りなかったです。両親から「自分で決めた夢は、自分で資金を貯めて、自分で切り拓いていかないと力強くやっていけないよ」と言われていたので、アルバイトにオーディションに、と忙しかったですね。
――多忙ですね。演劇を始められてからはどんな生活を送っておられましたか?
大学に行かないと単位が足りないので大学へ行き、講義が終わったらアルバイトをしていました。
夜の11時にアルバイトが終わったらその足で1時の深夜バスに乗って、朝に東京に着いて、漫画喫茶などでシャワーを浴び、東京でしかやっていないワークショップやオーディションなどを受けて、また京都に帰ってすぐアルバイトをするといった生活をずっと続けていましたね。
――そこまで頑張れたモチベーションはなんでしたか?
すぐに成果が出るような仕事ではないので、初めから時間がかかることだと思っていましたし、夢を追いかけることはとても楽しいことだと認識していたこともモチベーションになったと思います。
――映画に出会ってからは、女優の道を進むことをすぐに決められましたか?
18歳で大学に通っていたときはまだお芝居にも出会ったばかりで、演劇も映画も自分が作り手になるなんて思ってもいなかったので、どうしようかな、と悩んでいました。
東京に通っていることもあったので、大学に行けないときは、友達や大学の先生から「どうするの」や「仕事にしていくのか趣味でやっているのか、どこかで自分の気持ちを決めたほうがいいんじゃないの」と言われ、迷いながら東京へ通っていました。
――では、どのようにして女優への道に進むことを決断されたのでしょうか?
一番は、自分が好きなことと今すべきこと、今しかできないことにこだわったほうがいいと思ったことですね。周りからもらったアドバイスもそうでしたし、年齢的に就職するという手もあったかもしれないですけど、夢を追いかけられる、躍動している今を大事にしたいと思って、難しい方に挑戦してみようと思いました。
もしも今大学生に戻れたら?
――もしも今大学生に戻れるとしたら何がしたいですか?
たぶん大学生に戻っても同じ道を辿るんですけど、私が10代のときに京都で演劇をさせてもらっていた小さな劇場が今はもうなくなっているところも多く、なくなるものだとわかっているので、やりたいことに挑戦したいと思います。
また、周りに挑戦するかどうか迷っている人も多くいたので、そこは有効活用したほうがいいよ、と周囲の人に言うと思います。そして、飛び火させて一緒に一生懸命やるのかなって思います。京都は特に学生にそのような文化交流の場を提供しているところが多いので、そこは有効活用してほしいですね。
――実際の大学生活で後悔はありませんでしたか?
周りが遊んでいるのを見て楽しそうだな、とは思ってはいましたが、全然後悔はないですね。その時間が今自分の糧になっているので、当時頑張ってよかったと思います。
――では、今自由な時間があれば何をしますか?
海外を旅したいです。学生時代に友達がヨーロッパを横断する旅をしていたんですが、その自慢話を聞かされてすごく楽しそうで。「こんなに自由な時間があるのに、なんでずっと国内にいるの?」と言われて「悔しい~」と思っていたので、今時間があれば旅をしてみたいです。
さいごに
忙しい中、インタビューを受けていただき本当にありがとうございました!
前編では、学生時代のことから、女優を目指したきっかけなどたくさんお話を伺いました。決断されたお話を聞いて自分も好きな事、今しかできないことに挑戦しようと思いました。
後編では、吉岡さんの現在のお仕事についてお聞きしています。ぜひご覧ください!
吉岡里帆(よしおか・りほ)さんプロフィール
1993年1月15日生まれ、京都府出身。
NHK連続テレビ小説『あさが来た』やドラマ『カルテット』など多くの話題作品に出演。
2023年、『ハケンアニメ!』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。
現在京都観光大使を務め、ドラマや映画、舞台やラジオなど幅広く活躍している。
(取材・文:立命館大学 文学部 吉田玲音)
(取材:京都女子大学 文学部 吉田妃那)
(取材・撮影:同志社大学 法学部 足立隼太郎)
(取材協力:京都女子大学 文学部 内海万知子)
(取材協力:同志社大学 社会学部 成田萌)