京都に来た理由~心の片隅で気になっていたまちへ~
もくじ
古い歴史を持つ洗練された町並みに魅せられて
私自身が小学生の頃関西に住んでいたことや、父親が京都の大学出身であることなどから京都に足を運ぶ機会が多く、そのたびに京都の有名な寺社仏閣やお店を回っていました。
そんな中で同じ場所に2回、3回と行っても、行くたびに違った景色を見せてくれる京都の町並みに幼いながらもいつしかあこがれを抱くようになっていました。特に夕暮れ時の京都の町並みは一日の観光を終えて帰る際のさみしさともあいまって、とても幻想的できれいでした。そんな魅力的な町並みをもっとじっくりと見てみたい、もっとまちの魅力を発見して楽しみたい。そんな思いがあり、高校時代にどの大学に進学するかを決める際に自分の中で「京都」という存在は他のどの場所よりも大きな存在になっていました。
「観光地」の中の「住民の普段通りの生活」
京都といえばまち全体が言わずと知れた観光地であり、国内はもちろん、様々な国と地域からも老若男女の観光客が訪れます。
私自身も京都に来て外国人観光客や修学旅行生の多さに驚きました。観光地周辺は日中、人の流れの絶えない所が多いです。しかし、そのような観光地のすぐそばには地元住民のいつも通りの生活があります。日本のみならず世界中から観光客が訪れる観光地のすぐそばに地元住民の利用するスーパーやドラッグストア、地元の小さなお店まであり、それらは今、京都に住んでいる私たち学生にとっても重要な生活の一部になっています。そのように文化レベルの高い町並みの中に、地元住民の「普段通りの生活」がある。この融合こそが京都を世界的に見ても魅力的なまちにしている要因であるのかもしれないと思うようになりました。
小さな名店 和菓子屋からパン屋、カフェまで
私自身が和菓子好きということもあり、大学に入学してから早速京都の和菓子屋さん巡りを始めています。ガイドブックに載っているような有名なお店から地元で親しまれているお店までいろいろなお店があり、大学在学中にできる限り多くのお店を回ってみたいと考えています。
また意外に思う人もいるかもしれませんが、京都の人はパン好きだそうで、町を歩いているといろんなところでパン屋さんを目にします。さらにこれは僕にとっても意外だったのですが、イマドキな感じのおしゃれなカフェもしばしば目にします。実は京都の人は歴史がある環境で育っていながら、新しいもの好きともいわれています。一見「和」のイメージが強い京都でも、そのような理由でパン屋やおしゃれなカフェなどが多いのでしょう。
お店の規模としては比較的小さいものが多いのですが、そのようなお店の横を通るたびにどんなところなのか気になってしまいます。行きたいお店を決めて自転車で出かけたのに途中で新しく気になるお店をいくつも見つけてしまい、帰ってきたときには
「次は今日見つけたあそこへ行こう」
と思うことが何度もあります。
特に和菓子屋さんなどは古い歴史を持っていることが多いです。どのお店にもそれぞれの魅力があります。そんな京都の「小さな名店」を学生生活の空き時間に回るのもとても面白いですよ。
「学生さん」が主役のまちで
京都は学生のまちでもあります。私自身もなんとなく京都は学生が多い、というイメージは持っていましたが、実際に大学生活を始めてから夜に京都を自転車で走っていた時に、いろんなところで学生の集団を目にして、改めて学生の多さを実感しました。そんな大学生のことを京都の人々は親しみを込めて「学生さん」と呼びます。このことからもわかるように、京都の人々は学生に対して親切で、学生が何かにチャレンジすることなどにも寛容です。地域振興のプロジェクトやイベントなども学生が主体的にやっているものが多く、学生という存在が京都のまちに溶け込み、大学生以外の地元住民にとっても学生の力が生活の支えとなっている場面も多いです。
また大学の数が多く学生の人数も多いので、自分がやりたいことや、やってみたいことについて熱く共感してくれる人や、自分の知らなかった新たな世界を生み出してくれる学生の仲間がおり、自分の通っている大学の枠を超えて京都全体が一つのフィールドになっています。これだけ学生が主役になって何かに打ち込み、学生生活を充実させることのできる環境はこの京都のまち以外にはありません。ぜひみなさんも日本に、いや世界にも類を見ない特別な「京都のまち」で人生の中で自分がやりたいことに一番打ち込める「学生」生活を送ってみてはいかかでしょうか。
(立命館大学 産業社会学部 児玉邦宏)