【京都モダン建築祭 まち歩き編②】京都の近代建築をのんびりと巡ってみた!
皆さん、こんにちは!
2022年11月11日(金)~11月13日(日)にかけて行われた、京都モダン建築祭。私は、実行委員長である笠原一人さん(京都工芸繊維大学助教)の解説によるまち歩きツアー(三条通りから京都市役所)に参加しました。この記事では、そのツアーについてレポートしていきます!
京都モダン建築祭について笠原実行委員長に伺った記事はこちらをご覧ください。
もくじ
中京郵便局(旧京都郵便電信局)
はじめにご紹介するのは、中京郵便局(旧京都郵便電信局)。
こちらの建物、外観は竣工当時のものを残し、内部は鉄筋コンクリート造りにして、現在も郵便局として市民が利用しています。ネオ・ルネサンス様式で赤レンガの外壁が大きな特徴です。また、建物の淵にある白いコーナーストーンはヨーロッパの伝統的な建築のデザイン方法の一つで、額縁のような役割を果たしているそうです。スケールが大きく縦長の窓も印象的ですね。
家邊徳時計店
次にやってきたのは、家邊徳時計店。今は、服飾のお店として使われています。
この建物は竣工が1890年と、三条通りに現存する洋風建築物で最も古い建物です。
建物を設計した人は不詳で、ヨーロッパ流の建築の教育を受けていない日本の大工などがデザインしたのではないかと言われています。
そのようなこともあり、この建物は不思議なつくりになっているそう。例えば、画像中心部の3連アーチをはりが受けているところ(アーチは通常、柱や円柱で受けるそうです。)や建物の装飾などの「部分」と「全体」とのバランスなど…。西洋の技術やデザインを見よう見まねでつくっていたことが見て取れますね!
1928ビル(旧毎日新聞社京都支局)
建物の名前と同じ1928年に建てられたこのビル、以前は毎日新聞京都支局として使われていました。オレンジ色の建物と星形の窓(毎日新聞の旧社章)がかわいらしいですね!
現在1、2階には飲食店やギャラリーがあるほか、最上階のホールでは「ギア」という公演がロングラン上演されています。三階のベランダは、祇園祭の山鉾巡行を見るためにつくられたものだとか……。なんとも京都らしいですね。
加納洋品店
三条名店街を抜けてたどり着いたのは、加納洋品店。
こちらの建物は昭和初期に町家をリノベーションしたもので、正面と一階の内部は直線的でモダンなつくり、二階は立面の壁の裏側に町家がそのまま残されています。
京都の町家が洋風化していくプロセスがよく示されていますね!
京都市役所
最後に訪れたのは京都市役所。外観から威風堂々としたたたずまいに圧倒されますね。
外観は折衷様式のデザインになっています。建物の両端が前に突き出している=近世バロック時代特有の建物(ベルサイユ宮殿など)、分厚い壁面が目立ち最上部に半円アーチを持つ縦長窓=中世ロマネスク特有のもの。建物中央の突き出ている塔=中世ゴシック。真ん中のアーチの花びらのようなデザイン=多弁型アーチイスラム建築。多弁型アーチ下のベランダ=和風の木造の表現など。
このことから、京都市の象徴として幅広い世界性を表現していることがわかります。
中に入っていきましょう。まずは玄関ホール。
こちらの階段、両サイドに下がっている威厳ある階段が特徴になっています。この階段は、パリ・オペラ座のネオバロック様式の階段に似た華麗なもので、それは宝塚で大階段から出演者が降りてくるイメージに近いそうです。ステンドグラスには京都の四季折々の行事が表現されており、京都らしさを感じられる楽しいデザインになっています。
壁面アーチ 緩やかなアーチは四芯アーチといって、イスラム的なデザインになっています。丸い文様は菊のような和風のデザインになっています。こちらでも折衷様式がみられます。
市会議場に入らせていただきました。画像右側にある半円アーチは、インド建築のような細かな装飾で飾られています。また、天井は和風を感じさせる格子状にイスラム的造形の円花飾りになっています。
さらに壁面の装飾には、織物の裏に紙などを貼ることなく布のまま貼る「緞子張り」という伝統工法が用いられています。
こちらの正庁の間は、就任式などの儀式や来賓を招く際に利用されています。そのため自然と背筋が伸び、緊張感が高まりました。
創建当時の姿を復元し、ヨーロッパ由来の庁舎建築になっており、壁紙は伝統工芸の西陣織が使用されています。
さいごに
いかがでしたか?ツアーを通して、普段何気なく歩いている場所に、様々な背景を持ったモダン建築が点在しているとがわかりました。皆さんもこの記事を読んで、じっくり目を凝らしながら京都の街を歩いてみてはいかがでしょうか。
(京都女子大学 現代社会学部 菅尾彩夏)