大学の校歌を聴いてみよう!
大学の校歌って?
大学の校歌は、耳にする機会も少なく、小学校や中学校、高校の校歌よりも印象が薄いかもしれません。
さらに新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言等の影響を受け、歌う機会は以前よりも大幅に減少してしまっています。
でも、大学にも校歌はちゃんとあるんです!
大学には、校歌の他にも学生歌や寮歌・応援歌などがあり、一曲だけが大学の歌というわけではありません。
特に校歌は、その学校のポリシーや校舎の風景、学生像を言葉とメロディで映し出します。
今回は京都の大学に通う学生に、校歌の歌詞を見て、または校歌を聴いて、思い浮かぶ校舎の風景や、目指したいと思う学生像などを教えてもらいました。読者の皆さんが、校歌の歌詞の意味を知って、大学見学をする時の参考になったり、母校を改めて好きになったりしていただけると幸いです。
大学ごとに校歌の歌詞やyoutube動画のある公式WebサイトのURLも記載したので、気になった方は訪れてみてください。
※大学は「校歌」の名称より「学歌」の名称であることが多いですが、ここでは「校歌」と統一します。
京都橘大学
https://www.tachibana-u.ac.jp/about/vision/song.html
〇【時じくの花の香りに】の時じくの花=橘の花のことです。橘はミカン科の柑橘類の一種で、その花は恒久に香ることから、和歌などにもよく読まれています。京都橘大学の校名に象徴される「橘(たちばな)」の樹木と花の両面から大学の校舎と学生像を想起させられます。しなやかで健やかな学生になろう、のびやかでかろやかな学生生活を送ろうと意気込みたくなります。 (健康科学部 1回生)
同志社大学
https://www.doshisha.ac.jp/information/public/song/song3.html
〇1番では、【神を想う鐘】、2番では【神に出づる真】、3番では【神と通う智徳】と1番から3番まですべてに誰も「神」という言葉が入っているので、キリスト教の学校だなっぽいなと思います。(法学部 1回生)
〇歌詞の中にある【三つ葉のクローバー】はキリスト教の三位一体を象徴するそうで、ミッションスクールの同志社大学らしい歌詞だと思いました。毎年創立記念週に「クローバー祭」が開催されていることを考えると、創立者の新島襄の想いがこの歌詞に込められているのだと思います。また、歌詞には【矜れ(ほこれ)私学】という言葉もあり、自由を求めて私立の学校を作った、意志の固い新島襄の建学の精神がここからも分かり、とても誇らしく思います。(グローバル地域文化学部 2回生)
〇同志社大学には「カレッジソング」と「校歌」があります。「カレッジソング」は学園全体で歌われているため、同志社女子大学や小・中・高の付属校なども共通です。カレッジソングの方がよく歌われている印象があります。カレッジソングの歌詞からは、キリスト教主義や平和の大切さ、人類愛など同志社大学の「コンセプト」を感じました。なので風景はあまり出てきていないように感じます。 「世界のどこにいても繋がっている」という内容の歌詞があります。長い歴史を形成する一員であると考えさせられます。(社会学部 4回生)
同志社女子大学
https://www.dwc.doshisha.ac.jp/about/educational_ideal/emblem
〇1番の歌詞【赤いレンガ 山背の丘】という部分から、大学の門を入ったすぐのところにあるレンガ造りの校舎が思い浮かびます。また、校舎を背に広がる京田辺の地域の風景も思い浮かび、同志社女子大学がある場所が豊かに表されていると思います。 また、2番の歌詞の【世界に広げ 人と人との 胸に優しく】という歌詞から、大学の、世界の人とのつながりを大切にする精神が表されていると思いました。そして、私も世界の人と優しい気持ちを持って繋がりたいという思いが湧きました。(現代社会学部 3回生)
〇【赤いレンガ山背の丘】という歌詞は、校舎が赤レンガで揃えられていて、大文字山が向こうに見えるというロケーションが限られた文字数で表現されていると感じました。(表象文化学部 2回生)
立命館大学
https://alumni.ritsumei.jp/know/song/
〇【仰げば比叡】【鴨の流れの】など、今の衣笠キャンパスからはちょっと遠いものもあるのでは?がそれもそのはず、立命館大学はもともと広小路キャンパスにあり、今の場所ではないのです!いまだと「衣笠山」とか「金閣寺」などが入ってくるのかなと思います。立命館大学関連の歌だとやっぱり応援歌の『グレーター立命』の方が有名かもしれないですね!(文学部 3回生)
京都女子大学
https://www.kyoto-wu.ac.jp/daigaku/kyojo/koka.html
〇校歌に対しては、曲調が和やかで心地良い風が吹く感じがして聞いていて気持ちが良いと思いました。歌詞は古い言葉で理解が難しいですが、攻めの姿勢というよりは守ることを大事にしているように感じました。(現代社会学部 1回生)
京都芸術大学
https://www.kyoto-art.ac.jp/student/life/song/
〇単位互換授業で通った京都芸術大学を運営する「瓜生山学園」の学園歌『59段の架け橋』です。学園歌が制定された当時副学長であった秋元康さんが作詞された歌で、お披露目会にはAKB48の皆さんも来られたそうです。曲調もJ-POP的な感じがあって新しい感じがします。
【59段】とは学校の入口にある大階段のことで、山沿いにあるキャンパスの様子が表現されています。他にも大学のある【瓜生山】や近くを流れる【白川疏水】など京都の風景が登場します。友人と時に助け合い、時に切磋琢磨することの大切さがうたわれています。和気あいあいとした雰囲気がある京都芸術大学に似合っているような気がします。(同志社大学 社会学部 4回生)
京都府立大学
https://www.kpu.ac.jp/contents_detail.php?frmId=4931
〇2回生のゼミでお世話になった先生が、京都府立大学合唱団の顧問をされておられました。退官される際に最終講義を聴きにうかがったのですが、合唱部の学生たちが校歌『あけぼの』を歌っているのを聴きました。京都の四季の美しさと若者の志を歌った壮大な合唱曲です。
歌詞は1番から4番まであって京都の四季を歌っており、「比叡」といった地名や「若草」「紅葉」といったワードから京都、特に左京区の美しい自然が想起されます。 京都の美しい環境の中、頑張っていこうとする学生の若さやエネルギーを感じます。色々ある世の中ですが、ともかくも「生きている」ことは美しいことなのかもしれません。 (同志社大学 社会学部 4回生)
おわりに
校歌は大学の特徴を表すパンフレットのようなものです。
校内でも校外でも、校歌を演奏する機会が減っている今だから、じっくり聴いてみることで、大学の特色がわかると思います。
この記事で紹介できた校歌には、京都らしさが溢れていました。
ぜひ、みなさんも関心のある大学の校歌を聴いて、機会があれば訪ねてみてください。
(京都橘大学健康科学部 小池迪代)