大学の講義でイベント開催!?「ドヤ顔になろう」に参加してみた
12月5日土曜日。京都市動物園で、あるイベントが開催されました。
その名も、「ドヤ顔になろう」。
名前からしてとても面白そうなこのイベント。動物園内にいる大学生が、来園者のみなさんにクイズ形式で動物の豆知識を紹介するというものだそうです。
動物について詳しくなって、「ドヤ顔」になれる、ということですね!!
生物が大好きな私。動物の豆知識を知れるとあって興味津々です!
しかも、主催しているのは大学生。大学生が、京都市動物園という人気の施設でイベントをしているなんてすごいですよね?企画している大学生の皆さんはどんな方々なのでしょう?とにかく気になります!
そこで、「ドヤ顔になろう」に実際に参加してきました!!
この記事では、イベント内で出題されたクイズはもちろんのこと、企画した方々へのインタビューを通じて見えてきたことなど、盛りだくさんでお届けします!
もくじ
まずはイベントを全力で楽しんできた!
動物園の入場ゲート前から高まるテンション。動物園に入る前のわくわくは何歳になっても変わりませんね!
そんなわくわくした気持ちのまま、「ドヤ顔になろう」に参加!
キリンの前、ゴリラの前、ゾウの前の3か所で、それぞれの動物に関するクイズが行われました!
途中に掛け合いがあったり、かわいいイラスト入りのスケッチブックを使ったりと、観客を飽きさせない工夫も盛りだくさんで、動物について楽しく学ぶことができました!
当日出題されたクイズを3問ご紹介します!
1.「ゾウの歯の数は何本でしょうか?」
2.「キリンの網目模様はどんな役割を果たしているでしょうか?」
3.「ゴリラの血液型は何型でしょうか?」
ちなみに、正解は、
1. 4本
2.体温調節と、サバンナで敵から身を隠すため。
3.B型(ゴリラはみんなB型だと報告されているのです)
です!知っていましたか?
私はどれも知りませんでした。
キリンの体の模様が網目模様なのは知っていましたが、なぜ網目模様なのかについて考えたことはありませんでしたし、ゾウの歯の本数やゴリラの血液型など意識したこともありませんでした。
こんなにも知らないことがあったとは……。動物たちの生態の奥深さにとても驚きました。
「ドヤ顔になろう」は、動物について深く知ることができるだけでなく、「もっと動物たちについて知りたい!」という気持ちにさせてくれる、素敵なイベントでした!
では、素敵なイベントを企画された大学生のみなさんは、どういったつながりで集まったのでしょうか。
なんと、大学の講義なんです!
見出しの通り、「ドヤ顔になろう」は大学の講義の中で考えられたイベントだったのです!
企画した大学生のみなさんは、同じ講義の受講生同士というわけです。
この講義は、(公財)大学コンソーシアム京都で開講している「京都ミュージアムPBL科目」のうちの1科目です。
「……ミュージアム?PBL?一体どんな科目なの?」と、疑問だらけの科目名ですよね。
まず、「PBL」とは、「Project Based Learning」の略で、課題を発見し、その解決を目的として、学生が能動的に学ぶ科目を表す言葉です。
そして、京都ミュージアムPBL科目とは、京都だからこそできるPBL科目なのです。
文化都市京都には、多様な博物館(ミュージアム)が集まっています。
京都ミュージアムPBL科目では、これらの博物館を実際に訪れ、魅力的な京都の文化を学びながら、そこにある様々な課題の発見、解決に取り組むことができるのです。
京都でしかできない実践的な学びがあるなんて、とても素敵ですよね!
「ドヤ顔になろう」は、京都市動物園の課題を解決するために、学生の皆さんが考案したイベントだったというわけです。
では、このイベントの意図はどのようなものだったのでしょうか。
講義を担当していらっしゃった先生に詳しくお話を伺いました!
先生方に聞いた、イベントの意図とは?
取材させて頂いたのは、次のおふたりです。
服部篤子先生(同志社大学政策学部教授)
田中正之さん(京都市動物園 生き物・学び・研究センター長)
――「ドヤ顔になろう」を企画する上で、学生のみなさんにはどのようなことを考えてもらったのですか。
(服部先生)動物写真家の渡壁 大(わたかべ だい)さんに授業をしていただいた際、学生たちに、ある課題に取り組んでもらうことにしました。
それは、さまざまな動物園に行って、気になったシーンを撮影するというものです。
課題を通じて渡壁さんは、「大事なことは、感動すること。そして、その感動をどう伝えるかだ。」ということを教えてくださいました。
学生自身が感動を覚え、その伝え方について考えた上で、「大学生が京都市動物園にできることは何だろう」ということを考えてもらいました。
――どのような課題の解決を目的として、「ドヤ顔になろう」を企画したのですか?
(服部先生)動物園からは様々な情報が発信されていて、論文なども発表されているんです。
しかし、それらの情報は、来園している方々にはあまり伝わっていないように思います。
これが、授業の中で注目した課題です。
では、この課題の解決のために、大学生ができることはないだろうか。
そうして大学生が考えた企画が、「ドヤ顔になろう」だったのです。
大学生が、動物園と来園者とを繋ぐ架け橋となろう、つまり、動物園から発信されている情報を、クイズという親しみやすい形にして来園者に伝えよう。そうすればこの課題の解決につながるのではないか、ということです。
――「ドヤ顔になろう」をご覧になって、どのような感想をお持ちですか?
(服部先生)大学生の若い力を活かせていて、素晴らしかったと思います。
動物園から発信される情報を来園者に伝える上で、伝え方はとても重要になります。
例えば、印象的なイラストとともに紹介したり、掛け合いを入れたりと、学生一人ひとりが伝え方について考え、さまざまな工夫をしてくれたように思います。
また、総合的な発信ができたところはとても良かったと思っています。
近年、動物を人に見立てたりして、「なんとなくかわいい」と発信することが多くなりましたよね。でも、それが動物に関する情報の発信の仕方として、本当に良い形と言えるでしょうか。
「ドヤ顔になろう」では、そういったトレンドに左右されることなく総合的な情報を発信できたと感じており、その点についても良かったのではないかと思っています。
(田中さん)コロナ禍でも、こうして対面式のイベントをやり遂げたことは素晴らしいと思います。
お客さんとコミュニケ―ションを取りながら進めるイベントは、やはり練習や慣れが必要になってくるものだと思います。けれども、コロナの影響でそういった練習はできませんでした。
そんな苦しい状況にも負けず、大学生のみなさんはイベントを成功させてくれました。
本当によく頑張ったなと思っています。予想以上の出来です!
――講義を通じて、学生のみなさんに伝えたかったメッセージはありますか?
(服部先生)「いきもの、いのちと向き合い、何を考え、何を感じるのか」ということです。
いのちと向き合うからこそ感じられることは必ずあります。
この講義を通じて、ひとりひとりが様々なことを感じ、考えたことと思います。
こうしたことに、受講生全員に徹底的に向き合ってほしいと思っています。
また、この講義では、動物園と来園者を繋ぐ役割を学生自身が果たすことができました。
そのように、学生として自分自身が果たす役割に意識的になってほしいという願いもあります。
(田中さん)動物園の動物についてだけでなく、その先にいる野生動物たちについても知ってほしいなと思っています。
今回のクイズを作成してもらう中で、動物の本来の生態について知ることができるような内容にしてほしいとリクエストしていたんです。
講義を通じて、動物たちが、本来はどんなところに住んでいて、どんな暮らしをしているのかというところまで知識を広げてくれていたら嬉しいですね。
受講生のみなさんの生の声
動物園での実践的な学びを経験した受講生のみなさんは、どのようなことを感じたのでしょうか?
学生のみなさんにもインタビューを行いました!
――講義やイベントの感想を教えてください。
「コロナの影響で、オンラインでの講義が多かったです。しかし、先生方がZoomで動物園の様子を見せてくださったりして、オンラインでも動物たちに興味をもって学ぶことができました!」
動物園の様子をZoomで映して、受講生全員で共有していたのには驚きました!家にいながらも、実践的な学びができたようです!素晴らしいですよね!先生方の授業に対する熱意がひしひしと伝わるエピソードです!
「リモートでイベントの準備をするのが大変だった。」
「お客さんが楽しそうに参加してくれたのが嬉しかった!」
〇×クイズや選択式のクイズが多く、参加しやすい雰囲気で、年代問わずお客さん全員が楽しんでいる様子が印象的でした!
また、イベントが大成功したのは、コロナ禍で大変な中でも学生のみなさんが一生懸命準備されたからこそだということを改めて感じました。
――講義を通して学んだことはありますか。
「動物園に対する考えが変わった。今までは『娯楽』というイメージだけでしたが、動物を保護したり、研究したりという意味合いを強く感じるようになりました。」
「『動物園にいる動物』と『野生にいる動物』はどちらも幸せなんだという新たな視点を手に入れました。」
先生方が伝えたいとおっしゃっていたメッセージを、学生のみなさんがしっかりと受け止めた様子がインタビューから伝わってきました。受講生ひとりひとりが、動物たちのいのちと真剣に向き合ったからこそ、今日のような素敵なイベントが開催できたのだと強く感じました。
次に、『PBL科目』という特殊な講義を受けてみて感じたことをお聞きしました!
――PBL科目を受講してみて、どうでしたか。
「イベントの準備はやはり大変!でも、実践的な授業は、このコロナ禍は特に少なかったので、とても貴重な経験ができたと思います!」
「自分が主体となって、京都にアクションを起こせるところが大きな魅力だと感じました。」
「普通の授業では経験できないことが経験できるので、後輩や友達に受講を勧めたいです!」
動物園でイベントを企画するなんて、なかなかできる経験ではありませんよね。
「京都ミュージアムPBL科目」では、京都の博物館で実践的に学べる上に、学生の立場から京都に課題の解決方法を提案できます。
京都だからこそ、大学生だからこそ経験できる学びであり、とても魅力的な科目だと思いました!
2020年には、京都市動物園でのPBL科目以外にも、様々なPBL科目が展開されました。詳細を知りたい!という方は以下のURLをぜひチェックしてみてくださいね!
http://www.consortium.or.jp/special/kyotomuseum_pbl/
さいごに
「ドヤ顔になろう」は、参加者全員が、楽しみながら動物たちについて深く知るとともに、彼らの本来の生態について学べる素敵なイベントでした!
また、「京都ミュージアムPBL科目」は、大学生が京都において果たせる役割について考え実践できる科目で、大変貴重な経験ができるということが分かりました!
いかがでしたか?
大学では、魅力的な科目が多数開講されています。
大学生になったら、自分の興味のある講義を積極的に受講し、思う存分学んでくださいね!
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
最後まで読んでくださったみなさまへお得な情報!
京都市では、公益財団法人大学コンソーシアム京都に加盟する大学及び短期大学の学生なら、今回取材した京都市動物園や二条城、美術館などの文化施設が100円で入場できる「京都市キャンパス文化パートナーズ制度」を設けています。
利用方法は京都の学生のためのアプリKYO-DENT(キョーデント)をインストールし、登録するだけ!学びにも、遊びにも京都市の施設をお得に活用しましょう。
https://www.consortium.or.jp/conso/34597
(文・写真:京都大学 農学部 吉岡舞香)
(取材協力:同志社女子大学 現代社会学部 石黒裕理)