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#京都里山ぐらし ――四辻木材四辻さんにインタビュー――

#京都里山ぐらし ――四辻木材四辻さんにインタビュー――
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おじゃまします、京北


地下鉄「太秦天神川」駅から車での移動中、窓を開けると爽やかな森の香りが車中に広がりました。
今回,取材でおじゃましたのは右京区「京北(けいほく)」。京都市街から車で1時間程度で到着します。
京北地域は,古くから林業が盛んで,京都丹波高原国定公園にも含まれる自然豊かな地域です。
そんな京北で祖父の代から林業に携わっておられる、四辻木材の四辻誠悟(よつつじせいご)さんにお話を聞いてきました。

自分の地元、説明できますか?


(オレンジの作業服がお似合いの四辻さん)

――初歩的な質問になってしまいますが、四辻さんがどのようなお仕事をされているのか教えていただきたいです。

木こりとして、山から伐りだしてきた木を市場で販売しています。
山主(やまぬし)さんから成長した木を買い、それを伐採して市場で販売し,利益を得ます。また、伐るだけはなく、伐採したあとの山を次世代へ残すために苗木を植えています。
柵の中に見える苗木は「ポット苗」というもので、最近開発された少花粉杉と言って花粉が出にくい種類なんですよ。


(最近はネットで保護しないと、植えた苗木が鹿に食べられてしまって次の木が育たない。)

――(重度の花粉症なので)花粉が出にくい杉はめちゃくちゃありがたいです……。では四辻さんがこの世界に入られた経緯から教えていただきたいです。

京都のデザイン専門学校在学中はインドに行ったり、卒業後はフリーターをしながら貯めたお金でヨーロッパに行ったりもしてきました。
帰国後は京都の洛西で庭師として働きましたが、2年半で退職。その後、実家の仕事を手伝うようになって現在に至ります。

――海外にも行かれていたんですね!

そうですね。知り合いの勧めでインドに行ったはいいものの、事前知識はゼロでした(笑)。でも行ってから分かることが多かったですね。
現地の人はみんな楽しそうにしてるんですよ。「しょぼい仕事って無いんやな!」ということを学びました。
自分を変える!まではできなかったけど、そうした学びが旅の収穫だったと思います。
一方で、自分の無知に落ち込むことも多かったです。自分の地元の説明さえできないのか、みたいな。

――私も京都出身なのに京都の魅力をまだまだ分かっていないことを京都学生広報部の活動を通して実感しています。次にお仕事の大変な点ややりがいを教えていただけるしょうか。

大変な点は、自然を相手にしているので,天候に左右されやすいということです。雨や雪で作業が出来なくなることもあります。
やりがいは、植えた苗が育ってきたり、自分の関わったものをお客さんに見てもらえたりすることです。
学生の時はあまり感じられませんでしたが、大人になって自分が関わったものがお金になると改めて、「世の中に通用するものを提供しているんだ。」という喜びが生まれますね。

都市部と郊外での生活の差


(断面には産地や直径、伐採した人の名前などの情報が書かれています。これらの情報を元に6が付く日は、伐採された木材の「せり」が市場で開催されるそうです。)

――京都の中心部での生活と、京北での生活の違いは何でしょうか?

洛西に住んで庭師をしていた頃よりも、京北の方が生活コストが圧倒的に少ないことでしょうか。
コンビニに寄ろうとしてもこの辺りには1店舗しかないので無駄遣いしなくなりました(笑)。自分で使うお金が減った分、家族との生活を大切にすることができています。
また、私の実家がこの辺りということもあり、近所の人はみんな顔見知り。ご近所さんに関する情報はすぐに耳に入るので、リアル版のFacebookのようです(笑)。

人の流れを創る「木こり技能大会」


(2019年に開催された大会の様子)


(チェーンソーアートのコーナー。ぬいぐるみのクマみたいでかわいい!ぴえん!)

――今後の夢や目標があれば教えてください。

今は目の前のことをこなしている感覚ですが、今後も京北に根差した生活を続けていきたいです。
最近はここ京北で「木こり技能大会」を開催しており、他府県からも木こりが参加してくれるようになりました。この大会がきっかけとなって、周りの宿泊施設や飲食店なども一緒に地域全体が盛り上がればと思います。

――とっても面白そうですね!一体どんな大会なのですか?

ペアになり、林業用の機械で積み木をしたり木を倒したりします。
自然の木を使っているので迫力がすごいですよ。今年度はコロナのためオンライン上で動画を募ろうかと考えています。コロナが落ち着いたらまた対面で開催できたらいいですね。

おわりに


(ブログの画像はご自身で描かれているとのこと!思わずニヤッとしてしまうイラストです。)

取材終わりに「『学生時代の方が楽しかった』と語る大人は多いけど、俺は今が楽しいけどな~。」とボソッとおっしゃられていたのがすごく印象的でした。
イベント企画やSNSでの発信といった京北地域を盛り上げるための活動は、生業に直結するものではないかもしれませんが、「今が楽しい」と心から言える働き方をされている四辻さんはとても素敵です。
これからもチェーンソーとペンの二刀流で、京北から日本の林業を盛り上げていただきたいです!

四辻さんのユニークなイラストがたくさん!ぜひこちらもご覧ください。

(立命館大学 産業社会学部 山本菜摘)

 

この記事を書いた学生

かれんちゃん

かれんちゃん

卒業生が執筆した記事はかれんが紹介しているよ!