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#京都里山ぐらし ——音吹畑代表高田さんにインタビュー——

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お邪魔します、大原


地下鉄国際会館駅から車で15分。京都の市街地からほど近い場所に自然豊かでリフレッシュ出来るスポット「大原」があるのはご存じでしょうか。
これまでから家族や友達と遊びに行くくらい個人的に大好きな場所でしたが、「野菜農家」さんを取材できるという初めての機会に、前日はまるで遠足前日のようにわくわくしていました。

大原にはたくさんの野菜農家がありますが、全く同じ味の野菜はありません。たとえ同じ野菜を育てていても、農家ごとの個性がそのまま野菜に表れているからです。
今回は大原にて農薬・化成肥料を使用しない栽培方法で多品目の野菜とハーブを栽培していらっしゃる「音吹畑」代表の高田潤一郎さんにインタビューしてきました。

農家に滞在している、おばちゃんに言われた、運命のひとこと


(オクラの実のなり方を教えてくださっている高田さん)

――今日はよろしくお願いします!最初に、高田さんが大原で農家になるまでの経緯を教えていただけますか。

大学を卒業後、企業に勤めましたが1年で辞めました。
その後ふらふらしていると、農家さんと過ごすきっかけがあり農家の暮らしに憧れるようになりました。
いろんな農家さんを尋ね、九州の農家さんの元で1年間の修業。そして大原で就農しました。

――そのきっかけとはどのようなことでしょうか?

青森県の恐山に行って、全然来ないバスを待っている時に、農家に滞在している、おばちゃんに話しかけられたんです。「あんたも暇なら農業やってみなよ。」と(笑)。
今まで農業に全く興味がなかったのですが、その一言が理由で興味を持つようになりました。あと、当時の彼女(今の奥様)が農業をやってみたいと思っていたことも大きいですね。


(奥様が担当されているハーブティー)

――奇跡に近いきっかけですよね!
奥様がハーブを育てたり、加工品全般を担当されていることはHPで知りました。そういった分担をされているのには理由があるのですか?

船頭が2人いるとぶつかるからです(笑)。お互いの仕事にはあまり意見しないことが尊重し合うことに繋がるのではないでしょうか。

――なるほど!おふたりとも農業へのこだわりが強いということですよね。

そうですね。あと乾燥野菜などの加工品を取り扱っているのは、永くこの仕事を一緒にしたいからでもあります。
若いうちはいいのですが、子どものころから農業をやっているおじいちゃん、おばあちゃんに比べると体ができていません。その点、乾燥野菜やハーブは水分を飛ばしていて軽いので、体の負担になりにくいんです。

「大原」というブランドの戦い方

――では、大原で農業をする理由についてお聞きしたいです。

全国の大規模な農家さんに比べると、大原は畑1枚1枚が小さいです。
さらに獣も多いので、同じように勝負するにはしんどい場所だと思います。でも街の人が来やすい場所にあるので、レストランの人も直接買いに来てくれます。
お客さんとの距離感が近いところが都市近郊型農業の良さではないでしょうか。

――日曜日の朝市には私も家族でよく行きます!

そうなんですね!スーパーじゃ扱わないようなカラフルなお野菜も、どのように調理すれば美味しいかなどお話しながら販売できることが大原の強みですね。

――ちなみにこの記事が公開される時期(11月末から12月頭)に美味しいお野菜はありますか?

秋冬野菜の収穫が一番ピークの時期です。
大根や人参やかぶなどの根菜がとてもおいしいと思いますよ。大原は京都の街中よりも寒くなるのが早いので、野菜に甘味がのるのも早いです。
だから(記事が公開される)晩秋辺りはお客さんが多いですね。

(来週の朝市に絶対買いに行かなくては!)

「勢い」と「反動」が生み出すエネルギー


(雨のしずくがキラキラ光る大根の葉)

――再就職ではなく、就農という道を選ばれたのは相当なチャレンジだったのではないでしょうか。
何かをチャレンジするにあたって必要だと思うことはありますか?

勢いじゃないですか(笑)。
農業の世界を知らないからこそ出来たことだと思います。
あとは反動ですかね。子どものころは親の理想通りのレールに乗っている感覚でした。でも小中高大と社会が違いすぎて挫折を味わいました。
反動的に大きなエネルギーを得て新しく農業というレールを自分自身で作れたのだと思います。

――勢いや反動が生むエネルギーってすごく大きいですよね。私たちはSNSでなんでも知識を得られるからこそ、自らがエネルギーを生産することには慣れていないのかもしれません。

時代による変化もあると思います。
僕は社会に出てギャップを感じましたが、今の学生さんはインターンや学生団体などで学生時代から社会との接点を持つ人が多いから。決してみなさんが小さくまとまっているという訳じゃないけど、「熱意って意外と社会や人に受け入れられるんだ」ということはお伝えしたいです。

――社会人の方にそういってもらえると、自分の好きなことにもっと積極的になりたいと思いました!
最後に今回の記事を読んで大原という地域や農業に興味を持ったコトカレの読者へコメントをお願いします!

今は10年前よりも農家になることに対してハードルは下がっていると思います。
自営じゃなくても法人に勤めたり、週2回だけ農家として普段と全く違う環境で働いたり。そのようなフレキシブルな働き方が出来るのも大原の良さだと思います。
でも輸入品が増えると農業はやっていけません。農業を志してくれる人のためにも、自分自身のためにも、農業しやすい環境づくりをしてあげたいと思いますね。

おわりに


(採れたてのお野菜をいただいたので、サラダにしました!)

今回取材を通して、“なぜ私が大原の自然が好きなのか”、を改めて考えるきっかけになりました。都会に出ると看板や広告から嫌でもたくさんの情報が目に飛び込んできます。
しかし簡単に得られる情報より、少し苦労して得た知識の方が記憶に残りやすい、こうした経験はありませんか?
自然はただそこにあるだけでなにも教えてくれません。その魅力を知るためには、何回も足を運んだり、地域の方と会話したりすることがとても大切だと気付くことができた取材になりました。

大原好きの大学生の1人として、これからも朝市に通い、高田さんなど農家の方との会話を通してより深く大原の魅力を知りたいと思います。

(立命館大学 産業社会学部 山本菜摘)

 

この記事を書いた学生

かれんちゃん

かれんちゃん

卒業生が執筆した記事はかれんが紹介しているよ!