今話題の「働き方改革」って?先輩方から仕事と家庭の話を聞いてみた
女性は家事と育児を担当する、いわゆる専業主婦。
そして男性は社会に出て働く、というイメージがいまだにあるのでは?
2018年2月10日(土)、高校生×大学生×社会人交流企画「ワーク・ライフ・トーク」がキャンパスプラザ京都で開催されました。
この企画は、これから進路選択・就職活動をしていく学生と「いま」を働く社会の先輩が男性女性それぞれの働き方や生き方について対談し考えるという講演会です。
働きながら育児をする女性、社会に出てバリバリ働く女性、自営業をしながら主たる仕事は女性が、育児は男性が担当するご夫婦に、それぞれお話を聞くことができました。
皆さん、どんな風に仕事をして、毎日を楽しく過ごされているのでしょう。
今回のイベントで、きっと、仕事への価値観が変わるはず!
もくじ
楽しく暮らす。楽しく働く。その秘訣とは…?
円城新子さん
プロフィール:株式会社union.a(ユニオン・エー)代表取締役、フリーマガジン『ハンケイ500m』や求人誌『おっちゃんとおばちゃん』の編集長。
“ みなさんは何歳が人生のピークだと思いますか?10代でしょうか?20代でしょうか?
実は、世の中には、「おっちゃん、おばちゃん」と呼ばれる年齢になっても、「明日の仕事が楽しくてたまらない」「いまが人生のピークだ」と感じ、仕事を通じて人生を謳歌されている方々がたくさんいらっしゃいます。
例えばこんなことがありました。『ハンケイ500m』の取材をしている時、とあるバス停でコロッケ屋さんを営む70代の女性に出会いました。
そのおばちゃんが売っている1個70円の揚げたてコロッケは、とても美味しくて、一度に10個も買って行く客もいるほどです。おばちゃんは毎日コロッケを売るために、なんと朝の3時に起きて仕込みをされています。朝からポテトを蒸して、つぶし、小判型に成型してパン粉をつける。毎日多いときは1000個以上売れるコロッケ。早朝で眠いし、手はだるくてたまらないと思うのです。キツそうな仕事だな、とはじめ聞いた時、私は感じました。“
“ しかし、そのおばちゃんは、仕事を本気で楽しみながら取り組み、コロッケづくりが好きでたまらないと、目を輝かせておっしゃいます。”
“ 私は、皆さんのような学生時代、自分と同じ価値観を持った人たちばかりが、自分の周りにたくさんいたら、幸せに違いない!と思っていました。しかし、私と同じ価値観の人ばかりなら、このコロッケ屋さんは存在しないな、と思うのです。このおばちゃんが、この仕事を楽しい!と思っているから、毎朝早起きして、手がだるくてもコロッケを作ってくれるのです。色々な仕事をしている人たちが、それぞれ自分の仕事を楽しいと思ってくださっているので、私は美味しいコロッケを食べることができたり、他にもたくさん幸せになれることがある。だから今は、自分と違う価値観の人が周りにたくさんいたら、私は幸せになれるなぁ、と考えています。”
仕事に本気で取り組んで楽しむ人たちって、イキイキしていて、すごく輝いてみえます。今回来てくださっていた大人の方々も、一人一人輝いていて、充実している生活を送っておられることが自然と伝わってきました。
ロールモデルトーク
円城さんが、日ごろから働いている姿を見て「この人は素敵だ!」と尊敬する方々が、ロールモデルとして来てくださいました。就職のきっかけや今までの人生、現在のライフスタイルなど、これから進路を決定していく私たちに向け、働きがいや、困難なこと、またプライベートの話題まで、たくさんお話していただきました。家庭を持つ方の生活スタイル、子育てとの両立、日頃のお仕事の充実がとても伝わり、生き生きとされている姿に憧れました。それぞれまったく違った人生を歩んで楽しんでいらっしゃいました。最後に「その人が幸せなら、人生の選択は、すべて正解!人それぞれ正解は違う」と、円城さんはおっしゃっていました。
社会で活躍する女性、根來川 萌さん
根來川 萌さん
プロフィール:京都市山科区出身、大学のメディア学部系を卒業後、2011年、株式会社トヨタカローラ京都に入社。入社後は車の営業職に配属され、現在は円町店にあるショールームで受付スタッフとして働いている。
根來川さんは、在学中、映画や映像に携わる職に就こうと思っておられましたが、出身地である京都で働きたいということと、お客様と関わることの出来る接客業がしたいという希望を持っておられたため、カーディーラーである現在の会社に入社されました。車の知識はほとんど持っていない状態で働き始められましたが、営業やお客様サービス担当として今の仕事に対する誇りが生まれたそうです。生まれたときから慣れ親しんでいる京都で働くことにより、来店されたお客様と地元トークが弾み、共感したりすることが多々あり、日々、有意義に過ごしているとおっしゃっていました。
私が根來川さんから受けた印象は、とても優しくニコニコされていながらも、意識の高い真面目な雰囲気もお持ちでした。ロールモデルトーク後のグループ懇談の場では、プライベートやお休みの充実が仕事に良い影響を与えるということも教わりました。お仕事に誇りとやりがいを持つことの大切さもわかりました。
バリバリ働く人生も楽しそうですよね。
女性は育児や家事で、今まで続けていた仕事を辞めざるを得なくなると思っていませんか?結婚もして、お子さんもいて、社会に出てバリバリ働いている女性の方もいます!
育児もしながら、仕事と子育てを両立させる艸川(くさかわ)康代さん
艸川(くさかわ)康代さん
プロフィール:艸川さんの夫は単身赴任、小学生のお子さんが2人。
1社目では、企画、営業の担当をしていて、新しいことを考え、提案して、契約まで行う仕事をしていた。その後1人目を妊娠、産休・育休取得。その後退職し、ワコールの派遣社員として働く。その後2人目を妊娠。育児休暇を取って、復職する。今では、ワコールの正社員として広報・宣伝部で働いている。
ここから円城さんと艸川さんの会話の様子をご紹介します!
“円城さん:「なぜそこまで艸川さんは、仕事をしたいと思うのですか。」
艸川さん:「新しい出会いや人と接する仕事が好きですし、担当しているお客様の課題を解決することで喜んで頂けたり、関係性が深まることにやりがいを感じています。自分の成長のためにも、仕事を続けていきたいですね。」
円城さん:「2人目の出産のときも、仕事をやめようとは思わず?」
艸川さん:「思いませんでした。1人目の育休の時に、専業主婦も楽しいと感じましたが、一方で、私の性格には合わないとも思いました。社会に出て、また人と関わって仕事がしたい、という思いが強かったからです。1社目もやりがいのある仕事ができましたが、現在勤務するワコールも育休取得率が99%という働きやすい環境なので、今の仕事に出会えて感謝しています。」
円城さん:「艸川さんのこれからの課題は、何ですか?」
艸川さん:「上の子が、もうすぐ中学に入ります。成長期にも入り、男の子なので心の変化もあると思います。だからこそ、子どもたちと一緒に過ごす時間を大切にして、コミュニケーションを取りたいと思います。」“
育児休暇も取り、その後に復職をし、子育てとお仕事を両立させ、お子さんとのコミュニケーションも欠かさず行う、そんな艸川さんの姿はたくましく、輝いていました。
子育てと両立しながら夫婦でお店を営む、鵜野 友紀子さん 佐藤 直樹さん 鵜野 友紀子さん
鵜野 友紀子さん
プロフィール:2006年10月より一乗寺の洋菓子店「むしやしない」のオーナーパティシエを務め、世界で唯一無二の豆乳パティシエとして働いている。
鵜野さんは、17歳から調理に携わる仕事をされ、27歳の頃、フランス菓子の研修を受けるためにフランスへ。食べることは大好きだが、ケーキなどの甘いものはそれほど好きではなかったそう。そんな鵜野さんがパティシエになりたいと思ったきっかけは、フランスで、今まで見たこともない可愛く美味しいスウィーツの皿盛りに出会って感動し、自分も作ってみたい!と思われたからだそうです。30歳で独立して店舗を構えた際、美味しいだけでなく、健康的なものを作りたいと考え、豆乳パティシエに。その後はアレルギーを持つ方のために、卵、乳製品を除いた材料でつくるスウィーツについて、日々、研究されています。夫の佐藤さんと「食べることが好き」という共通点以外は正反対で、そのことが、刺激や驚き、新しい発見となり、結婚へ至ったとおっしゃっていました。
佐藤 直樹さん
プロフィール:広島県出身。妻で店長である鵜野友紀子さんと共に「むしやしない」でアシスタントマネージャーとして営業の裏方と販売促進に努めている。
佐藤さんは、2歳のお子さんの送り迎えや食事、子守全般の担当をする主夫でありながら、お店の在庫管理や鵜野さんのサポートもされています。家事や育児をしていることを一切苦と思っておられず、パティシエである鵜野さんのサポートをすることを結婚前に宣言。現在まで少しも育児を怠ったことはないとのことでした。
講演者の皆さんの集合写真
グループ懇談
この企画は、各ロールモデルの方が座られているコーナーへ行き、事前に高校生や大学生が付箋に書いた質問について、すべて目の前で答えて下さるといった内容でした。自分の聞きたい事やグループの中で挙がった質問に関しても知ることが出来たので、とても良いお話が聞けました。80分間があっと言う間で、皆さん、質問の内容以上にご自身についてお話して下さり、終始笑顔で落ち着いた雰囲気からも、普段から楽しく過ごされているのが伝わってきました。
参加していた高校生(鳥羽高校普通科1年生)の皆さんに
感想を伺いました!
「働く女性という身近な存在の方たちのお話を聞くことで結婚について、また働くことについて、視野や考え方が広がったので参加してよかった。」
「今、楽しんでお仕事をされている方のお話を聞いて、その仕事の出会い方もそれぞれ違い、今、夢を限定する必要もないし、大好きな事を仕事にする必要もないのだなと新しい視点でお仕事について考えることができた。」
「会社員、自営業の印象が大きく変わりました。今回子育てと仕事を両立されている方とのお話も聞けたのでとてもタメになった。」
との声がありました!高校生の時に、大人の方から人生の経験談を聞けるなんて羨ましい!高校生の皆さんにとっても、私たち大学生にとっても充実した時間を共に過ごすことができました!
さいごに
社会で活躍されている大人の方々に、様々なお話をお伺いし、とにかく毎日のお仕事を楽しみ、活気良く働かれていることが伝わってきました。職場の環境が整っていて、家庭での関係性が温和であるからこそ、仕事を全うできると思いました。ワーク・ライフ・トークに参加する前は、自分と価値観の合わない人ではなく、自分と価値観が合う人、自分に寄り添ってくれる人がいいなと思っていました。今回のお話を聞いたことによって、自分と価値観がちがう人と出会うことで、視野が広がり、面白さを感じましたし、人それぞれの考え方、個性があるからこそ、人生それぞれの楽しさがあるのだと思いました。将来の夢があるのは、もちろん良いことですが、夢は一つではないし、人生に正解はない、選択肢は山ほどあり、どの選択をしても正解であることも教えていただきました。将来について悩んでいたのですが、このワーク・ライフ・トークをきっかけに背中を押してもらい、自分の未来を見つめることもでき、良い刺激になりました。
(京都女子大学 現代社会学部 玉田野衣)
(京都女子大学 法学部 稲葉まい)