【京都大学生図鑑 vol.2】ここが私のアナザースカイ(京都工芸繊維大学 2回生 中西かほさん)

「京都で大学生活を送るって、実際どんな毎日なんだろう??」
出町桝形商店街の一角に、ガレージを改装して京都の大学生が話し合っている「Deまち」と呼ばれるスペースがあります。時計の針が20時を回っても、真剣に話し合う学生達、、彼らは一体何に取り組んでいるのでしょうか。

彼らが取り組んでいるのは京都と福井をつなぐ「福井学生キャンプ」。学生キャンプとは都市で暮らす大学生と地方に暮らす住民が協働し、新しい関係を築く活動です。学生達が福井と京都の2拠点を舞台に年間を通して地域課題の発見やプロジェクトの企画・運営に取り組んでいます。
その活動の一つが「河和田アートキャンプ」です。福井県鯖江市河和田地区を拠点に2005年から活動しています。地域が持つ様々な側面と学生自身の興味・関心を結びつけ、アート・デザイン的思考で切り込む「〇〇×アート」をテーマに活動するのが特徴です。昨年は「農業、学育、伝統、建築」など8つのテーマが活動。2026年は去年から引き継ぐ6テーマに「感覚」を加えた7プロジェクトで活動しています。
そんなアートキャンプ学生達による夏の企画会議が進められています!
福井学生キャンプについてはこちらから!
https://www.instagram.com/gakuseikakeruchiiki_2026/
大阪出身の中西さんは、建築を学びながらラーメン屋でアルバイトをし、福井学生キャンプでは「感覚×アート」プロジェクトディレクターとして活動に取り組んでいます。今回は、観光では見えない「学生だからこそ知る京都」と、さまざまな挑戦を通して自分の世界を広げていく中西さんの大学生活についてインタビューしました!
もくじ
京都で見つけた、自分らしい暮らし

―中西さん、今日はよろしくお願いします!まずは京都での日常生活について教えてください。現在は一人暮らしですか?
はい、工繊大すぐ近くのエリアで下宿をしています。私の出身は大阪で人が多い地域で育ったので、静かなところが好きなんです。今の家も、朝は鳥の鳴き声が聞こえるくらい穏やかで、自転車を漕ぐときに風が抜けていく感じがとても心地いいです。
―大学ではどんな勉強をされているんですか?
私は工繊大で建築学を勉強しており、京都の町並みは高い建物が少ないから歩いているといろんな建物と目が合って楽しいですね。京都には全国から学生が集まっているので、みんながある意味でよそもの同士だから自分を作らずに過ごせるというか。そんな空気感が自分と相性良いなって感じています。
―工繊大で建築を学んでらっしゃるのですね!どうして建築に興味を持たれたのですか?
昔から『大改造‼ 劇的ビフォーアフター』っていうテレビ番組を見るのが凄く好きだったんです!それにマンションに入ってくるいろんな物件の間取りチラシを見るのが大好きな子どもでした(笑)。だから将来は建築に関わる仕事がしたいなと思って、大学では絶対建築を学ぼうと決めていました。工繊大は建築の評判が良くて、デザインやインテリアも含めて包括的に勉強できそうだったのが決め手でしたね。
―京都ではどんなバイトをされているんですか?
実は、大学の近くのラーメン屋さんでバイトをしています。あえて自分がやらなさそう、似合わなさそうみたいなところのほうが、普段なら出会えない考え方とかに出会えると思っていて。
知らない世界に飛び込んで広がった興味

―中西さんは現在「福井学生キャンプ」に参加されているそうですが、こちらに参加しようと思ったきっかけを教えてください。
1回生の5月頃、大学の製図室に「新古民家アート」っていうチラシが貼ってあったんです。元々リノベーションに興味があったのと、純粋に建築の視点で面白そうだなって思って参加しました。アートと建築を組み合わせている奥深い活動だなって感じてから、自分の興味も広がっていきました。
―去年のプロジェクトってどんなことしたんですか?参加してみて実際どうでしたか?
去年は子ども達と一緒に廃材を使って屋台を作ったり、夏祭りをするプロジェクトに参加したりしました。やってみて、人は思ったとおりには動かないなって思いましたね。例えば、地域の子ども達に「自由にやっていいよ」っていいすぎると、逆にどうしていいか分からなくなって動けなくなっちゃうとか。その調整が本当に難しくて・・・でも去年はあまり得たものが自分の中で見つからなかったので、今年は積極的に色々拾いに行くつもりで動いています。
自分のものさしを探す「パン LAB」

―中西さんが担当するプロジェクトってどんなことされるんですか?それらの経験も踏まえ、今年度の福井学生キャンプではどのような取り組みにチャレンジされるのでしょうか?
今年は『パン LAB』というプロジェクトを企画しています。なぜパンのプロジェクトなのかというと、私は今の情報の受け取り方に危機感を持っているからです
―パンと情報ですか?
ちょっと話がそれるんですけど、SNS を見ていると『自分も何か特別なことをしなきゃ』、『自分は何者なのかを見つけなきゃ』と焦ることがあるってプロジェクトメンバーで話してて。今ってスマホで色んな情報を拾えるようになったじゃないですか。でも情報が多すぎるせいで、発信者の「ものさし」を自分のものさしとしてすり換えて処理してしまっている気がしました。例えば、SNS で『大学生ならこれをするべき』『成功する人はこうする』という情報を見ているうちに、本当に自分がしたいことなのか考える前にその考えを自分の基準にしてしまいがちじゃないですか。本来なら見た情報を自分なりに解釈して自分自身に還元させていくべきなのに、その「感覚」の部分が弱くなって自分が腐っていっているように感じたんです。自分で考えたり感じたりする前に、誰かの答えをそのまま受け取るようになる感覚です。
そんなときに、パン屋さんになるのが夢だという友達の話を聞いててハッとしました。パンはいい匂いするし、柔らかいし、ふわふわで美味しい・・・まさに「五感」をフルに使って感覚を浸透させるものだなって。だから「パン LAB」や「パンの美術館」という展示を通して、自分の感覚を一度自分の中に浸透させる楽しさや素敵さをみんなに経験してほしい。みんなが良いと言っているからではなく、自分はどう感じたのかを大切にできるようになること。それがこのプロジェクトのゴールになっています。
―深い・・・!ただの地域活性化プロジェクトではなく、自分自身のものさしを取り戻 すための挑戦にもなっているんですね!
泥臭く挑戦する、これからの働き方

―お話を聞いていると、中西さんは「大変なこと」にこそ価値を見いだしているように思えます。将来はどんな働き方をしたいと考えていますか?
将来は泥臭く働きたいなって思っています。
―泥臭く、ですか。
はい。器用に効率よく仕事をこなす感じではなくて、ちょっと苦しみながら努力して、何かを形にするような働き方がしたいです。要領よく稼ぎたい人間なら、福井の田舎に行ってこんな泥臭くて土着な活動は絶対にやらないと思うんです(笑)。でも私たちはそこにこそ意味があると思うし、泥臭く挑戦したい子が集まっている。だから凄く居心地が良いですね。
おわりに
「自分に似合わなそうなことのほうが、拾えるものがある」と語る中西さんの言葉には知らない世界に飛び込む挑戦を楽しんでいる姿勢が伝わってきました。福井学生キャンプでは、京都・出町柳の近くで定期的にミーティングを行っています。こ の記事を読んで「少し気になる」「自分も何か新しいことを始めてみたい」と思った方は、まずは一度、活動の様子をのぞいてみてはいかがでしょうか。
大学生活は様々なことに挑戦できる時間です。「何をしたいのかまだ分からない」、「自分に向いていることが分からない」、そんな人こそ京都という学生のまちで、あなただけのものさしを見つけるきっかけになるかもしれません。
(取材・文 龍谷大学 西村慶信)
(取材 京都工芸繊維大学 土生彩葉)
(取材 京都府立大学 森川綾子)












