【学生がつなぐ!京の社長バトン】人を巻き込むエネルギーとは?京都ハンナリーズ・松島鴻太氏にインタビュー

こんにちは!皆さんは「人を巻き込む力」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?
「リーダーシップがある人」「カリスマ性がある人」など、特別な能力を持った人にだけ必要なものだと感じる人も多いのではないでしょうか。
京都に本社がある企業の社長にお話を伺う社長インタビュー企画。第4弾となる今回は、プロバスケットボールチーム「京都ハンナリーズ」代表の松島鴻太(まつしま・こうた)さんにお話を伺いました。スポーツ業界を志していたわけではない中で、突然チームを率いることになったという異例の経歴を持つ社長は、どのようにして人を巻き込み、組織を動かしてきたのでしょうか。
今回お話を聞いていく中で感じた「人を巻き込むエネルギーとは何か」という視点をもとに、その考え方や経験についてお話を伺いました。
もくじ
「やりたいこと」よりも、巡ってきたチャンスにどう向き合うか
(京都ハンナリーズ公式サイトより)
――高校から大学までラグビーをされていたとのことですが、もともとスポーツに関わる仕事を志していらっしゃったのでしょうか。
全くなかったですね。私は自動車販売の家業に勤めていて、家業を支えることしか考えていませんでした。そんな中、兄の会社がハンナリーズの株を一部取得してオーナーの一角になりました。そのとき、兄に「ラグビーやってたんやし、できるやろ」と言われまして、急遽でしたね(笑)。
最初は正直、大変なのが目に見えていましたので嫌でしたね。社長をするつもりで生きてこなかったので。ただ、こんな機会は普通はないなとそのとき考えたんです。しかも、スポーツチームの社長として日本一に挑戦できる立場になるなんて、人生で一度あるかないかの機会だと思ったんですよね。
自分が高校や大学でスポーツで日本一になれなかった悔しさもあったので、もう一度その挑戦ができるならやってみたいと思いました。やりたいことだったわけではないんですが、“挑戦したい”と思えたので、挑戦することを決めました。
うまくいかないときは、やり方を変え続ける
――大学時代の経験で、今に活きていることはありますか。
中学、高校でのキャプテンとしての経験です。
東海大仰星高校というラグビーで有名な学校で、部員は当時120人ぐらいいました。私が入学する前年に全国大会で優勝していた学校で、私は入部しても底辺からのスタート。あまりにもレベルが高く、全く通用せずに挫折を味わいました。しかし、この挑戦の背中を押してくれた両親や、応援してくれてる人の期待に応えたい一心で誰よりも努力を積み重ねました。そうした結果、チームからの信頼を得て、高校3年生でキャプテンになりました。
リーダーとして実践したことは、自分の熱量で部員を巻き込んで、学校を巻き込んで、先生たちを巻き込んで、地域を巻き込んで、みんなで日本一という目標に向かって邁進しましたことです。
当時は本当に勝ちたかったんで、自然と行動できていたんですよ。今振り返ってみたら、やっぱりそういう経験がすごく自分の糧になっていると感じますね。
ですが大学では同じやり方では通用しなかったんです。部員も多くて、それぞれ考え方や生活も違うので、高校の時みたいなやり方ではうまくいかなかったんです。
当時は自分が正しいと思っていた部分もあって、ラグビーに真面目に取り組まない人に対して『やる気ないならやめたらいい』と言ってしまったこともありました。
でもそれでは誰もついてこないし、チームとしても良くならないと気づきました。
そこからは、一人一人の状況を考えて接し方を変えるようにしました。なぜ頑張れないのか、何にモチベーションを感じるのか、を考えるようになって、自分のやり方を修正していったんです。
今も同じで、自分の考えが必ず正しいとは思わないようにしています。うまくいかなければやり方を変える、それを繰り返していくことが大事だと思っています。
人に頼る力が結果を変える
――人を巻き込む力は、どのようにして身につけてこられたのですか。
まず前提として、自分一人では何もできないと思っています。能力がある人ほど、自分でやった方が早いと思ってやってしまうと思うんですけど、僕はそういうプライドがあまりなくて、できないことはできないと認めるようにしています。
だからこそ、周りに頼ることを大事にしています。ただ何となく任せるのではなくて、『今これができていない』『ここを助けてほしい』と具体的に伝えるようにしていますね。そうやってコミュニケーションを取り続けることで、信頼関係ができていくと思っています。
あとは、目標をはっきりと示すこと。自分がどこを目指しているのかを言葉にして、それに対して誰よりも本気で取り組む。その姿勢があるからこそ、周りも『一緒にやろう』と思ってくれるんだと思います。
結局、人を巻き込むというのは特別なスキルではなくて、人に頼ることと、自分自身が本気でやることの積み重ねだと思っています。
熱量と正直さは周りを動かす
(京都ハンナリーズ公式サイトより)
――大切にしている考え方はありますか。
正直であることを一番大切にしています。
本音と建前で話すのがあまり好きではなくて、嬉しいなら嬉しい、悔しいなら悔しいと、そのまま伝えるようにしています。回りくどく伝えたり、気を遣いすぎたりすると逆に相手に伝わらないと思うんですよね。
リーダーとして大事なのは、感情を隠さずに出すことだと思っています。チームが勝ったときは一番喜びますし、負けたときは一番悔しがる。その姿を見て、周りも共感してくれると思うので。
それに熱量がないと見透かされますね。本気でやっているかどうかは、言葉よりも行動で伝わるので、自分が一番強い気持ちで取り組むことを意識しています。
本気でやっていない人の言葉は響かないし、人も動かない。だからこそ、自分がどれだけ本気で向き合えているか、が一番大事だと考えますね。
――チームのスローガンとして「ハンナリーズに 1秒でも関わる全ての人に夢と感動を」を掲げていらっしゃいますが、この言葉に込められた想いを教えてください。
試合に勝つこともそうですが、やっぱりハンナリーズがあってよかったな、って思ってもらいたいんです。
スポーツって究極なくてもいい存在なんですよ。ただ、やっぱり豊かさを生み出していくというか、スポーツでしか得られない感動や熱狂を生み出していくことができるので、スポーツにしかない価値がある。
それは勝ち負けじゃないところでも、私たちの存在が、関わる皆さんの幸せにつながり、応援して良かったなって思ってもらいたい。本当に少しのポジティブさかもしれないですが、そういったものを関わっている人全員に感じていただけるような存在でありたいです。
学生に向けて
――学生や、これから社会に出る人に向けてアドバイスはありますか。
特別なスキルを持っている人もいるとは思いますが、そうじゃない人の方が大半だと思っています。だからこそまず、自分一人で何でもできるわけではないということを理解することが大切だと思います。
仕事にしても、人生にしても、一人でできることには限界があります。友達や家族、恋人など、誰かと関わりながら何かを作っていくのが当たり前で、自分一人だけで生きているわけではない。
そう考えると、自分のやりたいことや自分の思いだけを通すのではなくて、組織やチーム、コミュニティの中でどう動くかを考えることが大切になってきます。周りとしっかりコミュニケーションを取りながら、協調性を持って動くことで、結果的に全体の成果も大きくなっていくのではないでしょうか。
自分一人で頑張っているとか、自分が一番大変だと思ってしまうと、そこで止まってしまうと思うんです。もちろん社会の中には、そういう状況を一人で突破できる特別な人もいるとは思いますが、多くの場合はそうではないですよね。
だからこそ、自分が組織の一員であるということをちゃんと理解すること。それだけでも、考え方や行動が変わって、より良い方向に進んでいけるんじゃないかなと思います。結果的に、それがより充実した人生につながるんじゃないかなと感じています。
さいごに
インタビュー中も、松島さんからはチームを成功させるのだという熱意が強く伝わってきました。
人と接するときには、優しそう、怖そうなど、無意識のうちに相手から何かを感じ取りますよね。「人を巻き込むエネルギー」とは、決して特別な才能やスピリチュアルなものではなく、そうした態度や話し方から伝わる感覚の積み重ねなのだと思いました。
やりたいことを見つけたい!と思っている人は、めぐってきた機会に向き合い、自分なりに意味を見出していく、その繰り返しの中で、進みたい方向が見えてくるのではないでしょうか。
人とのつながりは大切だとよく聞きますが、「人を巻き込む」ことはさらに難しいことだと思っていました。しかし、大切なのは意識であって、熱意をもって正直に接すれば伝わることもあると分かりました。
みなさんも松島社長のように、熱意持って相手に向き合い、伝えてみてはいかがでしょうか?
(立命館大学 産業社会学部 笹瀬明子)

