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きものと茶道のエキスパートに聞く!思いやりの心

きものと茶道のエキスパートに聞く!思いやりの心
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みなさんは「きもの」を着るとき、どのような視点で選んでいますか?

京都の大学に来たら一度は体験してみたい「きもの」。今では手軽にレンタルができるようになりましたが、どんなきものが良いか、迷うと思います。

今回、和装体験や文化体験を行っている「京ごころ」さんにて、西澤かずみ先生と塩崎かおり先生に、お茶会で着るきものや日常生活に生きる心遣いなどをお伺いしました!

自分に合う「きもの」を楽しむ

――今日着付けていただいた帯はどのような結び方ですか?

西澤先生:その場で考えた創作帯結びで、オリジナルです。帯は通常の幅の半分なので、半幅帯といいます。今日はテーブルでの茶道体験を楽しんでいただけるように結びました。

――どのようにしてきものや帯の合わせ方の感性を磨かれましたか?

西澤先生:きものや帯を見る機会が多いので自然に身に付いたのだと思います。例えば、色数が少ないとモダンな雰囲気になることなど、テレビや雑誌を通して目に止まり、そこから学んでいました。

――近年、レースを使ったきものやブーツと合わせて着るなどの変化がありますが、どう感じられていますか?

西澤先生:プライベートやカジュアルな場で楽しむのは良いと思います。平安時代はきものを何枚も重ねていましたし、明治時代の「はいからさん」は袴にブーツを組み合わせていたように、時代と共に変化していくものだと思います。自分に似合っているか、TPO(目的、場所、時間)で分けることが大切だと思います。

きものを着るときの心遣い

――茶道で着る「きもの」に決まりはありますか?

西澤先生:基本的には決まりはありません。お茶会のテーマ、趣向に合わせて選びます。ただ、帯はお太鼓結びが基本です。後ろの四角い形は、ふくさや懐紙(かいし)を帯の間に入れたりします。お茶席は帯結びを披露する場ではないので、お太鼓結びが良いと思います。


(お太鼓結び)

――茶道できものを着る際に、気をつける点はありますか?

西澤先生:お客様の心遣いとして、帯留めのブローチや指輪は、お道具を傷つけてしまう可能性があるので避けた方が良いです。格が高い茶会では、紋のついた染めきものがふさわしいです。一方、お友達と過ごすカジュアルな場面などでは小紋(普段着)で、お稽古の場合は、織のきものでも良いと思います。
また、お洋服で茶席にあがる場合は、足袋の代わりに白い靴下を履くと良いです。これは、町家の見学や家を訪問したときなど、日常生活にも活かせることだと思います。

――テーマに合わせて選ぶとのことですが、季節に合うきものを選ぶということですか?

西澤先生:はい。季節を少し先取りするよう意識します。亭主は、お道具も含めて季節を意識しています。季節に合った上品な着物を選ぶと良いと思います。

京ごころでの茶道体験

――きもののレンタルや茶道体験をされる方は、観光客や修学旅行生が多いですか?

西澤先生:茶道体験は外国人のツアーの方が多く、全体の9割以上です。
塩崎先生:修学旅行の自由行動で来る方もおられます。

――外国人観光客の方はどのようなお茶の体験をされますか?

塩崎先生:日本に来る前から茶道のことをよく知っている方は、本格的な体験をしたいということから、茶室に入られます。入門的な体験をしたい方は、畳の茶室ではなくテーブル席を希望されます。お客様のニーズに応じて、対応しています。

日常生活に活きる心構え

――茶道での心構えについて教えてください。

西澤先生:茶席では、亭主が自分の持っている知恵や力など、あらゆるものを総合して、最高のおもてなしをします。お客様のためを思うことから、「一期一会」というお茶の言葉があります。この瞬間は一生に一度だから大切にするという意味が込められています。
また「一座建立( いちざこんりゅう )」という言葉もあります。亭主は最高のおもてなしをしますが、亭主だけでなく、お客様も亭主の思いやりやおもてなしの心を感じとり、その瞬間、その場を最大限に楽しむという意味です。それは、お客様が亭主をおもてなしすることにもなります。

――茶道を通して得た感性が、日常生活に活きていることはありますか?

西澤先生:茶道では、その場にいらっしゃるお客様みんなでこのひと時を最高の出会いにしようという、相互に思いやる気持ちがあります。この気持ちはお茶だけではなく、日常生活や仕事、集まりなどの場でも同じです。自分自身も周りの方も笑顔で豊かな人生を送れるようになることが、お茶を学んで得たことです。

今も続く茶道の流派

――今回は表千家の流派でお茶をいただきましたが、他の流派もありますか?

西澤先生:お茶の流派は500ほどあります。その中で有名なのが、千利休を祖とした表千家、裏千家、武者小路千家の三千家で、千利休の子孫が作りました。心は同じですが、お茶のいただき方や使うお道具、所作が少し違います。

――流派がたくさんあるとのことですが、現在も三千家以外の流派は守られていますか?

西澤先生:はい。三千家より古い流派もあり、今も続いています。

――お茶を3回で飲むと教わったことがあるのですが、流派によって飲み方に決まりはありますか?

西澤先生:ある程度の規則はありますが、好きなように飲んでいただければ良いと思います。ただ、“みんなで楽しいひと時を”ということから外れないように、格の高い茶席では、所作をその場の雰囲気に合わせる必要があります。相手を思いやる気持ちを持つことが大切です。

インタビューを終えて

インタビューを通して、その場にふさわしい「きもの」、所作を意識することの大切さを学びました。先生方は何事も決まりではなく“心遣い” “思いやり”と捉えられていて、素晴らしいことだと思いました。
また、季節を先取りすることや素足のときに靴下を持っておくことなど、茶道の場だけでなく日常生活に生かしたいと感じました。

西澤先生、塩崎先生、貴重なお話をありがとうございました。

(同志社大学 文学部 井本真悠子)

 

この記事を書いた学生

井本真悠子

井本真悠子

同志社大学 文学部

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