京都でiPadスクールを開校 人気クリエイターamity_senseiにインタビュー
YouTubeでデジタルアートなどの情報を発信しながら子ども向けのクリエイティブスクール“iPadmate kids”を京都に開校し、ますます活躍の場を広げられているamity_sensei。
そんなamity_senseiに、学生時代のエピソードや京都で活動する理由、今後の目標などを伺ってきました。
もくじ
知られざる学生時代
――学生時代はどんな生活をされていましたか?
学生の頃は京都市立銅駝(どうだ)美術工芸高校(現在の京都市立美術工芸高校)に通っていて、3年間美術やデザインを学んでいました。
でも、当時は不登校だったんです。デザインとかは好きだったんですけど、あまり周りの環境に慣れなくて。3年生のときはほとんど学校に行っていなくて、行きたかった美術大学にも行けず、卒業してからはフリーターでした。
だけど、このまま一生アルバイトをして終わるのも嫌だな、と思って、そこからイギリスの大学に留学することにしました。
デジタルアートやメディアアートを学ぶ学科に入って、そこでiPadに出会いました。iPadを使って自分のアイデアを表現しようと思ったのは、それがきっかけです。
――そのときに大変だったことはありますか?
言語ですね。今はけっこうハキハキ話せるんですけど、当時は全然喋れなくて。
だから仲のいい友達もほとんどいなくて、家に引きこもっていました(笑)。相手は話しかけてくれたんですけど、私が拒んでいたんです。
留学先の学校はプレゼンが評価の対象になるんですが、結果しか見てくれないんですよ。だから、本番で全部発揮しなきゃいけない。英語が喋れないから絵で表現したり、動画を作ってそれを流したりして、プレゼンしていました。
――その経験が今の活動につながっているんでしょうか?
言葉を使わずに説明するビジュアルコミュニケーションの力がついたと思います。YouTubeでも、声は入っているけどビジュアルがメインじゃないですか。他にも、バナーとかWebサイトもそうですね。
活動を始めたきっかけ
――YouTubeで発信しようと思ったきっかけはなんですか?
大学を卒業したあと、就職した会社でiPadを導入しようと上司にかけ合ってみたんですけど、全然話を聞いてもらえなくて。
それなら自分で発信しようと思って、YouTubeを始めました。
もともとイギリスにいたときにブロガーをやっていて、発信するのは好きだったんです。それで、YouTubeのブームが来たときがあって、「ここだ!」と。そこからあれよあれよと登録者数が増えて、今は多くの人に見ていただいています。
――そこから“iPadmate kids”を開こうと思われたのはなぜですか?
YouTubeに専念するために会社を辞めたあと、しばらくは東京で暮らしていました。でも、当時の彼氏と別れちゃって東京にいる理由がなくなったので、ちょうどコロナ禍だったというのもあって、京都に帰ってきました。
帰りの新幹線の中で、京都で何かしようって思い立ったんです。東京にいたとき、京都というブランドの強さを感じていたので、それを活かして活動しようって。
それで、京都でiPadの教室を立ち上げることになって、物件もすぐに探しました。
最初は大人向けにしようと思っていたんですが、私のマネージャーに「子ども向けの教室の需要があるし、自分の子どもも通わせたい」ってアドバイスされて。
さらに、小学校などでiPadの授業をしたときに、子どもはすごくやる気があるのに、大人がスキルを持っていないという現状を目の当たりにして、そこをなんとかしたいと思って立ち上げました。
――授業はどんなふうに進めるんですか?
私が前に座って、モニターに映しながら絵の描き方などを教えています。
今はオンラインでも授業をしていて、配信用のスタジオを作って遠方の生徒さんでも授業を受けられるようにしています。
amity_sensei×京都
――京都という環境は、活動にどんな影響がありますか?
見た目は伝統的でも、中身はとてもデジタルでITやテクノロジーを活用しているこの教室の雰囲気を面白がってくれる人が多いですね。
あとは、私が京都の山科出身なので、親しみがあるところで活動できるというのも大きいですね。
京都は、特に教室を開くときは外から来た人が煙たがられることがあるらしいんです。でも、京都出身だし、京都の芸術大学で教えたこともあるので、ある程度信頼してもらえたかな、と思います。
――京都でお気に入りのスポットはありますか?
カフェによく行っていて、特に南禅寺の近くにあるブルーボトルコーヒーはお気に入りです。
他の都市に比べて、京都は開放感があっていいですね。そういうところに行くと、いいアイデアが出てきます。
amity_senseiからのメッセージ
――自分のやりたいことを叶えるために、どんなことが大切だと思いますか?
自分ができないことをできないと決めつけずに、とりあえず「これやります!」って宣言するんですよ。
自分にプレッシャーをかけて、やるしかないという状態にすると、全然自信がなくてもがむしゃらに取り組めるようになります。
あとは、若いうちにいろいろやってみるのはすごく大事だと思います。
体力があるときに自分を売り込む方法を知っているといいですね。自分の強みを理解して、まずは自分のことを知ってもらう。そのときにガンガン動けると、あとは自然に周りが寄ってくると思います。
――今後の目標を教えてください。
このクリエイティブスクールを東京にも開校したいです。2024年の4月に“iPadmate Studio東京”を作ろうと思っていて、そこでは大人向けにワーキングスペースを作って、体験型の教室にする予定なんです。
私は東京と京都の2拠点で活動しようと思っています。
――読者に向けて、メッセージをお願いします。
私が学生時代にやって良かったと思うことは、周りが遊んでいても私は一切遊ばなかったことです。もちろん同じことをやれとは言わないけれど、とりあえず暇だから遊んでいるようなら、自分が好きなことを極めておいた方がいいと思うんです。
そのときは周りが楽しそうに見えるけど、5年後、10年後どちらが楽しいかっていうと、好きなことをして活躍できるほうが圧倒的に楽しいと思うんですよ。
今は毎日が楽しいから休まなくてもずっと走り続けられる。
私は留学したとき、自分で学費を払っていたので、1日いくらっていうふうに換算して、この1日これで学べているのかな?と常に考えて生きていました。
大学に行けることは当たり前だと思うかもしれないけど、それってすごいことなんです。だから、そこで学べることは全部身につける、くらいの気持ちでやった方がいいと思っています。
社会人になったら勉強する時間がないんですよ。だから、あのときに努力しておいて良かったと、今でも思います。
○プロフィール
amity_sensei
iPad YouTuber / アートディレクター / 株式会社olio 代表
1993年京都生まれ。イギリスの美術大学にてデジタル&テクノロジーアートを学び、iPadでのデザイン制作活動を開始。学生のかたわら、ロンドンの日本人No.1ブロガーとしても活動。 帰国後、2017年に外資系広告代理店に入社。2019年に独立後、iPadのクリエイティブな使い方を紹介するYouTubeチャンネルを開設し、現在のチャンネル登録者は32万人を超える。 「iPadやデジタルアートの面白さを世界に伝えたい」 「絵心がない人でもiPadを使えば絵が描けることを知ってほしい」という想いで活動を続け、Adobe MAXやAppleイベントなどに出演し、京都芸術大学のイラストレーションコースの講師も担任。 現在は、日本初の小学生向けクリエイティブスクール「iPadmate kids」を2022年1月に立ち上げ、未来のクリエイターを育てる活動も行なうかたわら、話題のNFTにも積極的にチャレンジしており、2022年7月にNFTコレクション「iPadmate」をリリースし、活動の幅を広げている(公式HPより引用)
プロフィールURL:https://amitysensei.com/about/
○iPadmate kidsとは
amity_senseiが立ち上げた、日本初の子供向けiPad専用クリエイティブスクール。
iPadならではのお絵描きやデザインスキル、勉強ノートの書き方や自由研究など、学校では教わらないiPad体験を通して、子どものクリエイティビティを伸ばすことができます。上達すれば、アニメーションや動画編集まで、すべて“iPadだけ”で完成させることができます。
iPadmate kids:https://kids.ipadmate.jp
公式HP:https://amitysensei.com/
YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCcXtyjK8wagT5LWS5bBgPPQ
(取材・文:同志社大学 法学部 足立隼太郎)
(取材協力:京都大学 理学部 鳥羽重孝)