インタビュー

京都国際マンガミュージアムをアプデする?!PBL科目とは

京都国際マンガミュージアムをアプデする?!PBL科目とは
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京都ならではの学びへの単位互換制度?

京都には、文化遺産などの歴史を感じる文化から新たに生まれる文化まで、多様な文化が存在します。

そんな京都ならではの文化について、大学生である内に学ぶことができる単位互換制度をご存じですか?

これは、公益財団法人大学コンソーシアム京都に加盟する大学・短期大学に所属する学生であれば、誰でも他大学の科目を受講できる制度です。

なかでも、京都ミュージアムPBL科目や京都世界遺産PBL科目は、たくさんの大学生が集い、京都にゆかりのある施設で学びを深めることができる人気の科目です。

 

私は、京都ミュージアムPBL科目の一つである「コラボレーション概論A(京都ミュージアム企画デザイン演習)」を見学してきました。

科目の詳細はこちらをご参照ください。

 

今回見学した授業について

この科目は、京都国際マンガミュージアム×京都精華大学のコラボレーション科目です。「ミュージアムが抱える問題点を解決し、またミュージアムの魅力を高めるための企画を考える。」というテーマに沿って授業が進みます。

授業スケジュールは以下の通り

京都国際マンガミュージアムをじっくり見て、来場者集客へとつながるイベントや空間デザインを、グループワークを通じて考えていく、“京都” “文化” “大学生”と、まさに受講生の好奇心が刺激されるキーワードづくしの授業です。

今回は、第6回目の授業にお邪魔しました。

最終プレゼンテーションへのブラッシュアップに励む受講生のまなざしを見ることができました。

 

授業の雰囲気

見学した第6回目の授業では、京都国際マンガミュージアムの職員さんへのプレゼンが行われました。

プレゼンの直前まで、最も伝えたいことの確認や細かな修正などがグループごとに行われていました。中には、第4回の授業時の中間発表会からテーマを変更したグループもあったようです。

発表グループは、5組。

マンガのキャラクター分析を用いたワークショップの提案をする班、大学生の科目の一環としてミュージアムを活用したイベントを提案する班、原画を活用した空間づくりを提案する班、ミュージアム内のステージや椅子・スクリーンのリニューアルを提案する班、ミュージアムの新たなオリジナルキャラクターを提案する班がありました。

 

空間づくりやキャラクター提案など、クリエイティブな提案ができるだけあって、パワーポイントやレジュメも、イラストがついていたり、3Dモデルを用いていたり音楽を作っていたりと、個性が光る発表ばかりでした。

 

どのグループも、提案した案を授業内の仮想のものとは捉えておらず、本気で京都国際マンガミュージアムを良くするための現実的な提案をしていたことが、PBL科目らしさなのではないかと私には感じました。

それは、担当教員である葉山勉(はやまつとむ)先生がもっとも意識されている点でした。

 

葉山先生の教え方

担当教員の葉山勉先生は、この京都国際マンガミュージアムを、旧龍池(たついけ)小学校から改築した際、デザインを担当された方です。

受講生の構成やグループごとのテーマなど、たくさん話してくださった中で、特に印象に残っている点が2つあります。

 

講話の少ない、フィールドワークの多いPBL科目として、どのような指導をされたのか お聞きすると、

「特に指導らしいことはなく、類例や先行例を挙げるくらい。」とおっしゃっており、私はびっくりしました。

しかし、そのあと

「授業中の提案をただの案で終わらせようとはしていない。ミュージアムで実際に行うことを確実視しているからこそ、驚くような新しい視点がでてくるようにしている。」

「学生のアイデアはとんでもないものが多い。それを現実に落とし込んで考えるような手助けをする。」とおっしゃっていました。

 

また、京都ならではという点を意識しているか を伺うと、

「京都は伝統と新しい文化が融合している街。伝統や古いものを守るためには、新しいものを作っていかなければならない。だからこそ、若いアイデアを必要としている。そうして生まれた新しい文化に京都らしさを感じる。」

と、話してくださいました。

先生の話を伺って、“京都らしい”とはどういうことか と改めて考えさせられました。

 

何度も葉山先生がおっしゃっていたのは「教えることよりも教わることのほうが多い」ということです。

その言葉の通り、プレゼンを終えた後には、葉山先生とマンガミュージアムの職員、そして学生の全員が同じ課題に対して議論し、学びを深めていることがわかりました。

 

これからへの期待

京都国際マンガミュージアムは、「マンガ」というツールを通じて人々が笑顔で集う場であり、かつ、個々がマンガを読む場であること、また、ミュージアムとしての閲覧・保存の機能を保つことなど、様々な役割を担う場です。

また、コラボレーション概論A(京都ミュージアム企画デザイン演習)は、マンガ文化を守るために、大学生が体系的な学びを通して、空間づくりやイベント設営を本気で提案する科目です。

 

今回の取材では、授業の見学や葉山先生のお話を通して、京都ミュージアムPBL科目を受講することで得られる知見について知ることができました。

たくさんのマンガが短いスパンで連載されていくように、京都国際マンガミュージアムもたくさんの新しいアイデアで日々更新されていることがわかりました。

 

これからの京都国際マンガミュージアムと京都のPBL科目に注目していきましょう。

京都の大学生の活躍も反映されている京都国際マンガミュージアムの最新情報は、公式サイト

 

(京都橘大学 健康科学部 小池迪代)

 

この記事を書いた学生

小池迪代

小池迪代

京都橘大学 健康科学部

iPodTouchは5世代、カラーはイエロー。