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大学生がクラフトビールを作る⁈ 大谷大学・志藤ゼミの活動を取材しました!

みなさんこんにちは。もうすぐ春ですね!!筆者は早く桜が満開にならないかとワクワクしております(笑)。
突然ですが、これから京都の大学を目指す受験生の皆さん、志望校や大学で研究したい分野は見つかりましたか⁇
実は、大谷大学社会学部・コミュニティデザイン学科の志藤修史(しどうしゅうし)教授のゼミでは地域創生の一環として、2015年から「まんま茶」と名付けた中川に伝わる古来の茶葉のお茶摘みと茶葉の製造を、2019年からは茶葉を使ったビール「京都・中川まんまビーア!」の製造・販売を行っているのです‼
学生がクラフトビール製造⁉これは興味深いお話が色々伺えそう!ということで、大谷大学・社会学部の志藤教授、そしてゼミ生の方々に取材をしました!

そもそも、「まんまビーア!」って?

「京都・中川まんまビーア!(以下、「まんまビーア!」という)」とは、京都の銘木・北山杉が生い茂る自然豊かでのどかな地域・京都市北区の中川学区で採れる、少し苦みのある味わい深いお茶「まんま茶」を使用した、香り高いクラフトビールのこと。
この「まんま茶」、なんと日本古来の茶葉と言われているとのこと。つまり、“昔のまんま”のお茶だから「まんま茶」なんです‼

 

志藤ゼミってどんなゼミ?

志藤教授:このゼミでは、社会学を学ぶ1回生から4回生まで幅広い学年の学生が集まり、「“過疎問題”などの地域課題の解決」をコンセプトに日々活動を行っています。主に過疎や自治会など、地域が抱えている問題・課題に目を向け、それらを学生という立場で何ができるのか、解決に向けて実際に現地へ出向いて、地元の人々と交流する過程で自ら考えていく、行動することを重視しています。
また、大谷大学では地域との関係を持ち、課題解決に向けて取り組みながら自分の研究テーマを決めていきます。フィールドワークで学びが終わってしまうのではなく、個人の専攻や研究と最終的に結びつけるために、ゼミの学生は論文(5000字~20000字)を毎年1人1本ずつ書きます。
言うなれば、志藤ゼミの学生は1回生から「動いて・調べて・書く」を徹底して行っています。そのゼミに所属する約30名の受講生が、まんま茶を用いたビールづくりに携わっています。

志藤ゼミに入ろうと思ったきっかけは?

【徳山佳哉(とくやまよしや)さん】

徳山さん:志藤ゼミでは、福祉や町内交通など地域に根付いた課題解決の取組がされていて。それらの活動1つ1つに面白さを覚えたことがきっかけです。特に「まんまビーア!」の、ビールとお茶の組み合わせはとてもインパクトがありましたね。

【左・有澤紫織(ありさわしおり)さん 右・百田侑加(ももたゆか)さん】

百田さん:1回生の授業で「買い物弱者」(地方での過疎化・少子高齢化や公共交通機関の弱体化などの理由から、買い物が困難になっている人のこと)の問題を知り、実際に現地に赴いて交通問題のヒアリングをしていく中で、志藤ゼミがクラフトビール製造をしていることを耳にして、次第に興味を持つようになりました。

有澤さん:高校時代に進路について悩んでいた時に、TVで地域活性化の特集が放送されていたことがきっかけで、大学での研究分野にしようと思いました。進路選択の中で大谷大学や志藤ゼミの存在、研究内容を知り、大谷大学を志望しました。

ビール販売までの道のり

ビール販売にいたるまで具体的にどのようなことを行ったのか、教えていただきました。

主な作業は上図の4つです。

①の「茶葉の収穫」では、新型コロナウイルス感染症の感染予防対策の関係で、少数の学生に絞って参加したそうです。しかし、②の「加工」では手作業で出来るものは学生自ら行い、③の「備品購入」においては今までは地域の方々に借りていたものを、今年は「学まちコラボ事業」(京都市と(公財)大学コンソーシアム京都が実施する「大学地域連携創造・支援事業」のこと)の認定を受け、その支援金で購入することができたとのこと。また、④の「広報活動」ではInstagramやTwitter、Facebookを活用し、Instagramではストーリーを毎日投稿するほど力をいれていたそうです。
「感染症対策の観点から、限られた時間内に終わらせる必要があるため大変だった」というお話が印象的でした。

地域との懸け橋に

お茶×ビールというインパクトの強い組み合わせに注目しがちですが、この活動の趣旨は住民との交流を通じた「地域の活性化」。そこで、学生さんに活動で行った交流についてお聞きしました。

徳山さん:お茶の木を育てるための敷地やお茶を乾燥させるための敷地を貸していただきました。

有澤さん:お茶づくりでの中でも地域の方々との交流はありますが、それ以外にも「健康ふれあいクラブ」という活動があります。それぞれの活動を通じて、繋がりができた地域との関わりがさらに深くなると感じます。

お茶×ビールの組み合わせは如何に……?

志藤教授:今は改良されてまろやかな風味ですが、昔は苦くてピリピリした風味でした。「まんま茶」自体が古い品種ということもあり、本当にできるのか最初は半信半疑でした。しかし、調べたところ、お茶を使ったビールがあることが判明。「1度挑戦してみよう」と西陣麦酒さんに試作を依頼しました。できあがった試作品を飲んでみたら、偶然ですが美味しかったので、今に至ります(笑)。

徳山さん:そもそも、お茶×ビールの組み合わせ自体が意外ですし、味が未知なので、興味を持ってもらいやすいですよね。先生も仰るように、「まんま茶」は苦みと渋みが他の茶葉よりも強いのですが、ビールにするとあっさりした味わいになります。
組み合わせとしては非常に適しているんですよ。今後更に「学生×お茶×ビール」を発信していきたいです。

百田さん:言葉だけでも興味が湧く組み合わせなので、多くの人に知ってもらえるものになると思います。より多くの人に「まんまビーア!」の存在を知ってもらいたいですね。

有澤さん:「まんまビーア!」がきっかけで「京都市にはのどかな中川学区がある」ということが広まったら良いなと思います。

今年で3年目を迎える「まんまビーア!」。前回との変化は??

志藤教授:収穫時期と制作時間、そして風味が違います。前回は10月31日に収穫からお茶葉にする工程を全て1日で終わらせたのですが、今回は10月2日に収穫し、3日に蒸したり煎ったりしました。時間を置くことに直接因果関係があるかどうかはわかりませんが、今回は若干ウーロン茶の様な、発酵によるまろやかさが感じられましたし、風味は個人的に今回>前回でしたね。

お茶づくりを行った受講生に感想を聞きました

――茶葉の収穫を通じて学んだことはありますか?

徳山さん:去年も参加していて、時間や手間がとてもかかると感じましたが、“お茶づくり”という体験を通じてもっと多くの地域の人と関わりたいと思いました。また、この体験で昔は林業の合間にお茶づくりを行っていたということを知り、そうした地域の人の生活により興味を持つことができました。他にも、お茶づくりでは枝、葉や実などビールづくりに使わず捨てるところが多くあり、その捨てる部分を用いたお茶を作ってみるなど、自分が疑問に思うことに挑戦することもでき、それが魅力的だと思います。

有澤さん:時間のかかる工程も多くて、なかなか次の作業に移れないことがありました。具体的には、茶葉の量が多くてお茶の葉を蒸すのに時間がかかり、大変でした。

――クラフトビール製造・販売を通じて学んだことや苦労したことはありますか?

徳山さん:西陣麦酒を製造されている「HEROES」の皆さん、京都・中川の地域の皆さん、我々学生の三者それぞれが「win-win」の関係でないと続かないので、そのバランスを保つことが難しいと思います。特に、昨今のコロナ禍のために、中川の地域の皆さんと触れ合える機会が減っており、学生として地域のための活動ができないことがとてももどかしいと思います。
また、情報発信をしているつもりでも、自分たちが思っていたほど多くの人の耳に届かないので苦労しました。座学ではなく、実際に体験したから分かること、気づくことがあり、貴重な学習体験になりました。

百田さん:一人ではなく、いろんな人の協力があってできることなので、「自分に与えられた仕事をこなす責任感を持とう」と思うことができました。また、受け身になるのではなく、自分から主体的に動くことの大切さを学びました。会計の仕事をしていたのですが、ビールを置いていただける店を探すのには苦労しました。

有澤さん:私はビールに貼るラベルの文章を考え、出来上がったラベルをビール瓶に貼る工程を担当しました。ラベルを貼る際は、一つ一つ手作業なのでラベルの位置がずれないようにするのがとても大変でした。

おわりに


いかがでしたか?
取材を通じて、ゼミでの取組や地域の人々との交流は、普段私たちが知っている情報だけでは計り知れない魅力や奥深さを感じるとともに、我々がまだ知らない京都も見えてきました。
中高生の皆さんはこれからの進路研究の参考にしてみてください!!

また、志藤ゼミではSNSも運営しております!
こちらも是非チェックしてくださいね♪

【取材日:2021年12月9日】

Twitter:大谷大学志藤ゼミ@まんまビーア!(@otani_shidouzemi)
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Instagram:otaniandhouse https://www.instagram.com/otaniandhouse/

(同志社大学 法学部 原田愛菜)
(京都女子大学 文学部 内海万知子)

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