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京都出身・気象予報士 前田智宏さんが語る  # 3 気象予報士のお仕事

今回は、京都出身の気象予報士 前田智宏さんへのインタビュー#3ということで、このパートでは、気象予報士のお仕事について伺いました。

#1学生時代編と#2就活とアナウンサー時代編はこちらをご覧ください。

天気予報の裏側

――私たちが普段見ている、天気予報の裏側について具体的に教えてください。

番組で天気予報の時間は、長くても5~6分です。限られた時間で伝えなければいけない中で、「何がポイントなのか」を自分の中にしっかりと染み込ませておくことが必要です。

直前になって「コーナーの時間が30秒減ります」ということもあります。「どの内容を削って、この内容だけは伝えなければ」ということが自分の中で整理出来ていないと、対応することができないんですよ。

準備は、今の天気をしっかり把握するところから始まり、こういう気圧配置になっているから、こういう状況になっているということを理解したうえで、予報の資料を見ていきます。

天気図というと、テレビ画面に表示される「日本地図があって、高気圧と低気圧が……」という図をイメージされるかと思います。でもあれは“地上”の天気図なんですよ。

地上以外にもいろんな空の高さにおける天気図があるので、全部で20枚ほどの資料に印をつけながら目を通して予報を考えていく。これが、第1段階です。

次に、どういう画面や小道具を使えば視聴者にわかりやすく伝えられるかを考えます。予報士だけでなく、天気予報を考えるチームで意見を出し合いながら、数分の天気予報を作っていきます。

その後、本番前に画面を使って解説する練習をします。これが最終的な調整ですね。時間を追うごとに、天気が変わっていく日もあります。準備をしながら、どういう変化が起こっているかを随時確認しつつ、本番に臨む感じですね。

(写真提供・毎日放送)

――取材日は、この後「Nスタ」の本番がありますが、今おっしゃられたような準備をされるのですね。

そうですね。午前中も天気予報の原稿を書く仕事があったので、朝の段階で資料を見ています。天気予報は更新されるタイミングが1日に何回かあるので、この取材の後に新しく出ている午後の資料を基にまた予報を考えていきます。

――出番が夕方でも、気象予報士さんは一日中動いているのですね。

「天気は眠らない」というか、時間は関係ないんですよ。自分たちが起きている時だけ雨が降るとかだったら良いですけど、夜中に大雨になることだってもちろんあります。

そう思うと、24時間いつでも臨戦態勢にならないといけない仕事だなと思います。

 

気象予報士は、色々な活躍の形がある仕事

――テレビ出演以外にどんな仕事がありますか?

自分の出番以外にも、アナウンサーが伝える天気予報のコーナーがあるので、それに向けて原稿を作ることも仕事の一つです。また、ラジオ番組の天気予報に出演することもあります。

他にも、毎日放送が甲子園の阪神戦を中継するときは、実況アナウンサーのために「ピンポイント天気予報」といって、「試合中に天気がどうなりそうか」という資料を用意する仕事もあります。

あとは、休日に天気についての講演会や、災害から命を守るための備えについてのイベントで話をすることもあります。

――本当に色々なお仕事があるんですね!この他にも、ユニークなお仕事をされていると聞きました。

そうなんですよ。私は、「京都サンガF.C.オフィシャル・ウェザーアドバイザー」でございまして。

――このお話が来たのはいつ頃で、どのような経緯なのですか?

毎日放送で気象キャスターとして仕事を始めたのが、2018年の4月でした。京都出身ということもあって、その年の秋に京都サンガF.C.の方からお話を頂きました。

今は京都サンガF.C.のスタジアムは亀岡市に移っていますが、当時は京都市の西京極にありました。そこでは「西京極ウェザー」と名前が付くくらい、「試合のたびにゲリラ豪雨に見舞われる」というジンクスがあったらしくて……。

それを克服するために、サポーター向けに天気予報ができないかと考えてらっしゃったんです。

――なるほど、そこで気象予報士の力が必要だったんですね!

Jリーグでは初だった、チームのウェザーアドバイザーに就任させていただきました。

今年で就任4年目に入りまして……。試合当日の時間帯の天気を発信すること、チームに情報提供することが私の役目です。

――重要な役目ですね!

そうですね。西京極のスタジアムには屋根がなかったので、サポーターの皆様にとっても死活問題だったんです。亀岡のスタジアムには屋根があるので、雨が降ってもビショビショになることはなくなったのですが、サポーターの方には会場への行き帰り時の天気を、チームには、当日の天気のコンディションをお伝えしています。

――スタジアム周辺の天気を分析するのは、広い範囲の予報とは作業が異なりますか?

異なりますね。ピンポイントなので、その場所の特徴を知ることから作業が始まります。広い範囲で北風が吹きそうだという時でも、その場所は局地的には風向きが違ったりとか。

気温が上がりやすい場所、上がりにくい場所とかもありますし……。より細かい部分まで見なければいけないのが、ピンポイントの予報の難しさかなと思います。

――こんな準備があるのだと知って、サポーターの方には見てほしいですね!

ぜひ。予報が外れたからって、怒らないで(笑)。

――今までのお話を聞いていると、気象予報士として挑戦できる仕事って幅広いなと思いました!

僕も仕事をやり始めてから、なおさらそう思うようになりました。気象予報士って天気図の前で説明しているというイメージが一番初めにありますが、色々な形の活躍の仕方がある仕事だなって。

天気って人の生活に、めちゃくちゃ深く結びついているものなんですね。スポーツもそうだし、音楽の野外フェスとかも、気象を監視する専門のスタッフがフェスごとにいるくらい重要視されていますし。

最近は災害が増えているので、活躍のフィールドはますます増えていくと思いますし、広げていくために何ができるかを、自分たちが考えないといけないなと思います。

――本当に色々な人に頼りにしてもらえる仕事ですね!

頼りにしてもらえるし、その分外れたらバッシングが……。明日は洗濯日和と伝えたら、めっちゃ雨が降ってるやんという日があったんです。直に言われることもあるし、SNSで見るたびに心を痛めます。

前田さんが語る京都の魅力

――ところで前田さんは、京都在住ということですが、京都の魅力をどんなところに感じますか?

そうですね、きれいなお寺とか季節の花が咲く素敵な場所は色々ありますが……。京都の魅力と聞かれると、僕はやっぱり鴨川かなと思っていて。

例えば、三条大橋とか四条大橋から見る鴨川の景色って、本当に心をほっとさせてくれるかと思います。

河川敷でご飯を食べたりジョギングをしたり……まさにみんなの庭だなと。空も広く見えますし、京都で一番好きな場所ですね。

もう1つ、僕は大文字山の「大」のところから見える景色が凄く好きなので、コトカレ読者のみなさんにはぜひ登ってもらいたいです。

「こんなに京都の街を全部見渡せるのだな」とびっくりするくらいきれいなんですよ。ここもやっぱり空の広さを実感できる場所なんです。登山といっても一時間足らずで、意外とさくっと登れますよ。

おすすめは昼ですね。京都の街の、広くもなく狭くもないちょうどいい規模感が見えるというか。

盆地だから山に囲まれていて、この中にみんなの暮らしがあって……。これが京都なんだ!というのを実感できるんですよね。

気象予報士っぽいことを言うと、京都は四季がはっきりしていて、夏はめちゃくちゃ暑いし、冬は底冷えしてとても寒いと感じられます。また北と南でも天気が大きく違うなど、興味深いところなんですね。

冬は北大路辺りまでは雪が降っているけど、そこから南は全然降っていないということがよくあります。季節感を味わえるだけでなく、天気としても面白い街だなと思います。

――前田さんの京都愛が伝わってきました!最後に今後の目標について聞かせてください!

一番の目標は、近年増えている災害が迫る状況の時に、信頼してもらえる気象キャスターになることです。やっぱり人の命を救うことができる仕事なので。

直接的には無理かもしれないけど、自分の伝えた情報や言葉で誰かの命や財産を守れるかもしれないというところが、一番のやりがいだと思っています。「前田がこう言っているから用心しよう」と思ってもらえるようになりたいです。

インタビューを終えて

#1の学生時代から#3の気象予報士のお仕事までのお話を聞いて、好奇心旺盛で何事にも積極的に挑戦するという姿勢をずっと貫いている方なんだということがわかりました。

学生時代に興味を持ったことや取り組んだことが、大人になって振り返ったとき、何かに繋がっているかもしれない。

私もそう考えながら、これからもいろんな経験を積んでいきたいです。

気象予報士としてのお話も、たくさん伺うことができました。私たちの生活に密着していて、とてもやりがいがあるお仕事だということが伝わったのではないでしょうか。

今回は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

(同志社大学 法学部 梅垣里樹人)

(写真提供 前田智宏さん、毎日放送さん)

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