京都の大学生のリアルなライフスタイル紹介メディア



祇園のレトロ建築「長楽館」におじゃましました。

はじめに

こんにちは~。

京都、祇園にある円山公園のそばにたたずむ「長楽館」を、皆さんはご存知ですか?
有名なカフェや大きな洋館といったイメージはあれど、実際に訪れたことのある方は少ないのではないでしょうか。
今回は実際に長楽館にお邪魔してきましたので、皆さんにもその魅力を余すところなくお伝えしたいと思います!

“おもてなし”の空間……

朝早く、長楽館に到着しました。
スタッフの方が門を開けてくださり……緊張しながらお邪魔します。

今回の取材では、カフェスペースとして利用されている6つのお部屋を案内していただきました。どのお部屋も豪華絢爛ながらもそれぞれ全く違った魅力があり、優雅で落ち着いた雰囲気に満たされていましたので、順番にご紹介します。

①迎賓の間

玄関を入ってすぐにあるこちらのお部屋。

もともとは応接間で、現在はこちらでアフタヌーンティーを楽しむことができます。
大きなクリスタルのシャンデリアが特徴的な空間ですね。

②球技の間

こちらは元球戯室であり、当時の上流階級のたしなみとして人気であったビリヤードが楽しまれていました。
グリーンを基調とした空間は落ち着きを感じさせます。

部屋の中央部分にある大理石の婦人像とステンドグラスが印象的です。

③喫煙の間

その名の通り喫煙室として用いられていたのがこちら。中国風の造りが個性的です。
長楽館を建てた明治の実業家“たばこ王”村井吉兵衛ならではのお部屋ですね。

こちらは京都市指定有形文化財である螺鈿(らでん)の椅子。
当時はこちらに寝転がってたばこを楽しまれたそうな……。

ちなみにこちらのお部屋の外には「長楽館」と書かれた扁額が。
なんと初代内閣総理大臣・伊藤博文直筆のもの。

「長楽館」という名前は伊藤博文によって名付けられ「長く楽しめる館となるように」という願いが込められているそうですよ。

ラグジュアリーな生活の一端

④美術の間

グリーンの丸テーブルが印象的なこちらのお部屋。
もともとは数多くの美術品が展示され、コレクションルームとして機能していたそうです。

⑤鳳凰の間

調度品から醸し出されるシックな雰囲気に包まれたこちらのお部屋。
大きな窓から差し込む光があたたかく、落ち着きある雰囲気を作り出しています。

もともとは来客用の寝室であったことから、入ってすぐに中を覗かれることが無いよう入口にアプローチ空間が設けられています。

「鳳凰の間」の名の通り、大きな孔雀の絵が飾られていました。
白を基調とした部屋の中で、ひときわ華やかに見えます。

⑥貴婦人の間

ラベンダーのような色合いで統一されたこちらのお部屋は、もとは村井氏の奥様、宇野子夫人が過ごした部屋。
クラシックな雰囲気に包まれた空間となっていました。

やはり大きな窓から光が差し込んでおり、開放感のあるお部屋でした。

ひとときの安らぎを

ひと通りお部屋を案内いただいた後、先ほどの「貴婦人の間」にて長楽館の人気スイーツを楽しませていただきました。

今回いただいたのは「ミルフォイユ」。
パイ生地の間にカスタードクリームが挟まれたお菓子にアイスクリームが添えられ、底にはソースが。

上品なプレートに盛られており、形の美しさがより一層明らかとなっていますね。

それではいただきます。
豪華な調度品に囲まれて過ごす時間。
自然と背筋が伸びる気がします。

実際にいただいた部員の楊井さん曰く”すごいサクサク感……”とのことでした。女子アナ顔負けのグルメレビューをありがとうございます。

歴史ある空間でのコーヒーブレイク……これ以上ないくらい、贅沢な時間ですね。

これまでも、そしてこれからも

取材の最後に、長楽館の担当者様にインタビューをさせていただきました。

―――本日は祇園のレトロスポット特集ということで伺いました。これまで様々な偉人がこちらに足を運んだとのことで、長楽館はいわばそれぞれの偉人の「聖地」でもあります。そうした歴史に思いを馳せる場として、長楽館様は館のどの箇所に特に魅力を感じていらっしゃいますか?

『どのお部屋が一番良いですか』という質問はよくいただきますが、やはりすべてのお部屋にそれぞれの見どころがございます。たとえば中二階にございます長楽館の名付け親としての伊藤博文直筆の扁額は、歴史を感じられる箇所のひとつではないでしょうか

―――“祇園”という地域、あるいは祇園の他の施設と長楽館様との関わりについて、何かエピソードがありましたら伺いたいです。

平安神宮の近くに「有鄰館」という、中国の古美術品を展示していらっしゃる美術館がございます。そちらの現館長様のおじい様、藤井善助氏は村井吉兵衛亡き後に初めて当館を所有した人物でございました。その関係で現在でも有鄰館とは親しくさせていただいており、3階の床の間の書を書いていただいたこともございます。

また人力車の「えびす屋」さんとも仲良くさせていただいており、当館でのアフタヌーンティーの後に人力車でのお出かけを楽しんでいただくといったプランもございます。こうしたことは関係が続いているからこそできることですね。

―――最後になりますが、私たち京都学生広報部は長楽館様についてもっと学生に知って欲しいと考えております。そこで、学生が長楽館様にお邪魔する際に気を付けなければならないマナーや振る舞い、服装等ございましたら教えていただけますか?

当館のフレンチレストランではディナーの時間帯のみドレスコードを設けておりますが、それ以外のカフェ等をご利用いただく際にはそうした決まりはございませんので、普段通りの装いで気楽に立ち寄っていただければと思います。『敷居が高い』といったお声はよくいただきますが、コーヒー1杯からでもご利用いただける喫茶店でございますから、構え過ぎずいらしていただければと思います。

当館では実際に建物や家具を利用しながら保存をしていく『動態保存』という活用を目指しております。実際に文化財に触れて、変わらぬおもてなしの心を体感していただく、そうした時間を楽しんでいただければと考えております。

―――ありがとうございました。

さいごに

いかがでしたか?

数々の美しいお部屋や調度品の数々に目を奪われたほか、スタッフの方々のサービスや建物の保存にかける思いについても触れることができたように思います。

ぜひ皆さんも長楽館を訪れ、長い歴史を肌で感じる時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

(写真・文 同志社大学 法学部  石井魁人)
(写真 京都薬科大学 齋藤千寿)
(取材協力 同志社大学 政策学部 楊井涼花)

合わせて読んでみては?

ソーシャルメディア

ソーシャルメディアでも最新情報をゲットしよう!