京から健康を!芸大生が考えたリカミック盆踊りを取材してみた
室町時代の京都で発祥したと伝えられている日本有数の伝統芸能、盆踊り。
そんな盆踊りに関する企画として、2019年8月10日に大丸京都店の屋上、ことほっとてらすにて
大阪府立登美丘高等学校ダンス部元キャプテンで、バブリーダンスで有名となった女優の伊原六花さんが考案した「リカミック」という新しい盆踊りイベントが開催されました。
そこで、私たち京都学生広報部は、本イベントの主催者である京都造形芸術大学の学生と
大学デザイン学科の客員教授である総合プロデューサーの福井崇人氏に本企画の経緯について取材してきました!
もくじ
リカミック盆踊りとは!?
まずは踊りの歌詞作りを担当された学生にインタビューしてみました。
(写真右: 京都造形芸術大学 芸術学部 3回生)
――「リカミック」とは何ですか。
「リカミック」とは、音楽に合わせて体を動かす体操の「リトミック」と、伊原六花さんの名前を掛け合わせた造語で、私たち芸大生が企画案とともに考案したものです。
――踊りの特徴はどの点ですか。
誰にでも踊りやすく、京都の魅力を踊りで伝えるために「大文字」を表すような両手を大きく広げる振り付けを取り入れたことです。
そして、健康増進を目的とした踊りなので、歌詞や振り付けの中に健康を示唆する表現がたくさん出てくるという点もこの踊りの特徴の1つです。
――踊りに込められたメッセージはありますか。
はい、もちろんあります!
(写真中央:両手両足を広げた大文字のポーズ)
踊りの中に出てくる「京都タワー」には、「背筋を伸ばして」という歌詞を、「大文字」には、「両手両の足を広げて」というか歌詞を付けることで参加者の皆さんに京都の魅力を伝わりやすくすることができるので、是非注目していただきたいです!
また、「賀茂なす 壬生菜に万願寺唐辛子」や、「堀川ごぼうに千枚漬けや」など、京野菜を歌詞に含めることで、今回のイベントのテーマでもある「老若男女の健康促進」を表現しているので、その点を皆さんに伝えられたら良いと考えています。
――踊りの歌詞を作成するにあたって苦労した点はどこですか。
歌詞のリズムを合わせるというところです。
踊りの歌に合った五七五のような言葉を探して当てはめていくことがとても難しかったです。
けれども、みんなで様々な案を出し合い、考えて取り組むことができたので、チームワークも深まり、苦労はしましたが、楽しかったです。
次に、踊りの振り付けを担当された学生さんにインタビューしてみました。
(写真左: 京都造形芸術大学 芸術学部 4回生)
――踊りの振り付けの見どころはどこですか。
「京都タワー」や「大文字」のポーズは、誰でも踊ることができるような簡単な振り付けを考えてつくりあげたので、多くの世代の方に参加していただき、健康増進とコミュニケーション向上を図ることができたら良いと思っています。
――踊りを練習する際に苦労した点はありますか。
踊りの順番です。複数の曲の振り付けの順番をそれぞれ覚えることが難しかったです。
盆踊りは同じ振り付けを繰り返すところがあるので、歌のどのタイミングでどの振り付けをするのかという点は本当に迷いました。
――実際に踊ってみた感想はありますか。
まずこんなに多くの世代の方々に参加していただき、とても驚き、そして嬉しかったです!
本番でしっかり踊ることができるかとても不安でしたが、みんなで楽しく踊ることができて、本当に良かったです。また、盆踊りを通して、老若男女の世代の一体感を感じることができたように思います。
――踊りを通して伝えたいことはありますか。
はい。今回の企画を通して、踊りやダンスは様々な世代の人々との関係を繋ぐことができるものだと改めて実感しました。
また、踊りやダンスはコミュニケーションを図ることができ、自分の人間関係の幅をさらに広めることができるので、ダンスをやってる人は是非今後も続けて欲しいですし、大学入って初めてやりたいと思う人は是非挑戦して欲しいと思っています。
リカミック盆踊りの企画背景とは!?
最後に、この企画の背景について、福井崇人(たかひと)教授にインタビューしてみました。
(写真中央:京都造形芸術大学 芸術学部 福井崇人教授)
――盆踊りが健康生活促進につながる背景はどこにありますか。
2025年には65歳以上の高齢者が5人に1人という割合になると言われていて、それに伴い、認知症患者も増加すると言われています。
これを予防するにはどのような対策が必要であろうと考えた時、ある5つの条件を満たすべきだと思いつきました。
それは、30分体を動かすこと、人に見られること、好奇心を持つこと、継続すること、そして踊りを親、子、孫の三世代に伝えることです。
この5つを満たしているのが、盆踊りではないかと考え、この企画を通して証明してみたいと思ったことがきっかけです。
――リカミック盆踊りを百貨店で開催する意味とは何でしょうか。
百貨店という商業施設が先ほど述べた5つの条件に最も合致する場所であるからです。
この盆踊りイベントが契機となって、家族で参加した後、百貨店で買い物をして、三世代の交流を深め合うことができれば良いと思いました。
――企画が完成し、実現した際の感想はありますか。
企画が無事完成して、そして実現できて、達成感を感じることができました。
また、盆踊りを通して言葉を介さなくても老若男女問わず、様々な人々と繋がることができるため、盆踊りが5つの条件を本当に満たすということを実感することができました。
――本企画で新たに発見したことはありますか。
盆踊りという行動が1つの仮説を証明できたことから、「座学よりも実践」が重要であると実感しましたね。
また、産学連携という企画は大学生が最も人間的に成長できる場であると思いました。
なぜなら、学生が主体となって企画を運営し、教授は学生が活躍する「場所を提供する」ことから、学生自身の能力を最大限に引き出し、本物の学びを得ることが可能であると発見したからです。
――中高生に向けて伝えられることはありますか。
中高生の皆さん、これから大学入試が大きく変わる中、多様な受験様式が増えていきます。
今までの教育方針が変わり、これからは学歴社会ではなくなる可能性が十分検討されます。
そのため、あらゆる組織や集団の中で自分の能力や個性をどのようにして発揮できるかということが課題となります。
是非自分というものを大切にしてこれからも頑張ってください。
インタビューを終えて
福井教授を始め、京都造形芸術大学の学生の皆さん、インタビューに協力いただき、ありがとうございました。
筆者自身、初めてのインタビューの中で、緊張していましたが、非常に丁寧に、そして詳細に質問に応じていただきました。
今回のリカミック盆踊りイベントを通して、盆踊りが認知症の予防手段になることや、様々な世代と交流することが可能になり、コミュニケーション能力の発達につながるということを学ぶことができました。
また、このインタビューを通して、盆踊りや他の伝統文化を保存し、次世代に継承していく大切さを強く実感しました。
本当にありがとうございました。
今回の取材内容がニッポン放送の『おしゃべりラボ~しあわせSocial Design~』(AMラジオ1242)にて放送されました。
そして、ゲストとして私たちが出演しました。放送日時は2019年8月31日と9月7日の2回にわけて朝7時40分から放送されました。
この番組では、盆踊りの新しい一面や主体性の重要さを学ぶことができるので、皆さん、是非ご覧ください!(無料アプリのradikoにて聴くことができます。)
(文章:立命館大学 産業社会学部 吉竹大輝)
(取材協力:京都女子大学 現代社会学部 辨野真美)
(写真:立命館大学 産業社会学部 木村天音)