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「自分の心に耳を傾けてほしい」ママチャリで花を売る女子大生の想い


花屋さんになりたいと思ったきっかけは?
きっかけは本当に突然でした。3回生の夏に就職活動を始めるにあたって、自己分析をしていたのですが、やり方がわからなくて……。とりあえず“寝ること”や“食べること”、“自然”など自分が好きなものを書き出してみました。その時ふと、「花も好きやな」と思いつき文字にした瞬間、「はっ!私がやりたいのはこれや!花屋さんになりたい!」と思ったんです。

もともとよく花を買っていたとか?
全然。ただ、なぜ花が出てきたのかなと考えてみると、街中を歩いているときに花屋さんを見たらワクワクしている自分がいました。

ママチャリで出店しようと思ったきっかけは?
地元の友達との会話の中から「移動花屋」って変わっていていいねという話になりました。当時はトラックでやりたいと思っていましたが、今の自分に現実味がなくて。そこで、どうにか移動花屋をできないかなと考えたときに「あ、ママチャリならできるかも」ってひらめいたんです。

なぜ京都で?
京都が好きなんです。京都って自然もありつつ程よく栄えていて、人が住むのにちょうど良い。わざわざ京都を出てやらなくても、好きなまちでやりたいなと思いました。

実際に出店して改めて感じた京都の魅力は?
空が広く見えることです。景観条例に感謝しています(笑)。また、祇園四条は近くに鴨川が流れているので、花を売っている時に、川の流れを聞きながらぼーっと京都の街並みを眺めては「ああ、京都いいな」って思っています。
それから、都道府県や国を超えたつながりを持てるのは京都ならではですよね。遠距離恋愛中のカップルやハネムーンで日本に来た外国人カップルが花を買ってくれたこともあります。

「移動花屋ami」のコンセプトは?
アットホームな花屋さん。「ami」はフランス語で友達という意味です。お客さんと、花とお金のやり取りだけをするのではなくて、日常会話をすることで、用がなくても来てもらえるような「友達」みたいな距離感でいたいです。

花を売る上でのこだわりは?
直感で自分がいいなと思う花を選んでいます。その日の気分によって今日はこの花を売りたいな、通りすがりの人に見てほしいな、という花を選んでいます。でも感じていないだけで自然と花の色のバランスや季節に合った花の種類などは考えているかもしれません(笑)。
あと私のお店ではドライフラワーは販売していません。

生き物だから花も枯れるのが自然の流れで、それをドライにするのはある意味不自然なことだと思っていて……。
ドライフラワーが可愛くて胸がキュっとなる人もいて、それはいいなと思います。でも私はそれをするとなると心が痛むので、どんなにニーズがあっても、自分が違うなと思うことはしないでおこうと思っています。

やりたいことをやるって苦労もあるかと思いますが、そんな苦労をも超えてしまうやりがいは?
お客さんからの感謝の言葉です。またもう一度来てくれたり、友達のようにインスタグラムでやり取りをしたり、お客さんと仲良くなれると本当に嬉しいです。

華子さんの行動力や熱意の秘訣は?
幼い頃は積極的に行動するタイプではなかったと思います。でも就職活動で初めて自分の人生と向き合うってことをして変われたのかもしれません。

環境を変えるってとても大事です。自然に自分も変わるから。
自分にとっての“いい環境”って大学生になると自分で考えて選ぶことができますよね。そこで、私は「こんな人になりたい!」とか「この人キラキラしてる!」とか自分がかっこいいなと思う人のそばにいることを大事にしています。
モチベーションの高い人が周りにいることで刺激を受けて、私自身のモチベーションも高くなるし、お互いを高めあえる気がします。

中高生の頃の自分を振り返って全国の中高生に伝えたいことは?
今、目の前にあることを全力で楽しんだらいい。本当に“やりたいこと”って生涯そんなに多くは見つからないと思っています。高校生で自分の環境を変えることが難しかったら、今をどう楽しむかに考えをシフトしてみて、文化祭とか体育祭などの行事も全力で楽しんだらいいと思います。その先に絶対何かがあるはず。

最後に、「移動花屋ami」を通して実現したいことは?
1つ目は花をもっと身近に感じられる機会を提供すること、2つ目は自分の心に耳を傾ける機会を提供することです。私が常に思い描くことは「世界平和」なんです。そのためには、みんなが思いやりの心を持たなければならない。思いやりの心を持つためには「自分を愛すること」が必要だと考えています。この「自分を愛すること」をみんなができるようなきっかけを提供していきたいと思っています。

怒りとか悲しい感情ってマイナスとされているし、無意識的にも蓋をしがちじゃないですか。でも、そういう感情が芽生えるなら認めちゃったらいい。周りの目を気にしたり、今の自分じゃ無理だなんて言わずに、その心のままに生きてほしいなって思います。だから、まずは自分と向き合って、自分がどういう感情を持っているのか知ろうとしてほしい。それをどうにか花屋さんを通してできたらいいかなって。

その想いをショップカードの裏に込めました。

これで少しでも買ってくれた人に自分を考える機会を与えられたらいいな。

取材中「客観的に見て、話しかけやすいかな?」と不安げな表情を見せていた華子さんに自信を持って答えたい。

彼女の人柄が作り出す「移動花屋ami」の雰囲気は温かくて、ゆったりした空気が流れているように感じました。

実現したいことのために、熱い想いを持って努力している人は本当に格好いい。

京都で彼女を見かけたら話しかけてみてはいかがでしょう。
華子さんが選んだ花で花束を作ってもらいながら、彼女と話すことで、今まで見えなかった“自分”が見えてくるかも。

可愛い見た目とは裏腹に、強くて芯のある華子さん。
「学生最後」の時間は遊びまくろうなんて考えていた自分が本当に恥ずかしい。

私ももう一度自分の心と向き合って、自分の気持ちに素直になって、やりたいことを行動に移さなきゃ。

刺激を受けまくって、とてもフレッシュな気持ちになれた一日でした。
は〜楽しかった!チャンチャン!

【お店情報】
「移動花屋ami」
Instagram:ami_mamachari
※購入方法は、店頭・予約・出前のいずれかですが、出店日時は不定期です。Instagramで随時ご確認ください。

(文:同志社大学 政策学部 池田あかね)
(写真:龍谷大学 文学部 須藤祐)

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