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文学女子がオススメする京都本~ミステリー小説編~

今回の京都本はミステリー小説。
様々な登場人物の思惑が絡み合い、ページをめくるたびに明快に解き明かされる謎や細やかに散りばめられた伏線にハラハラドキドキしながら楽しむことのできる人気ジャンルです。
不可解な死を遂げた被害者、謎の多い骨董品、普通の人なら決して太刀打ちできないような難解な事件に立ち向かう主人公達と共に物語の舞台である京都へ迷い込んでみてはいかがですか?

1.「京都寺町三条のホームズ」 望月麻衣

このタイトルに聞き覚えのある方も多いかと思います。
2018年にアニメ化され話題になりました。
京都寺町三条にある骨董品店「蔵」。そこに祖父の形見を持った一人の少女が訪れます。
出迎えたのは鋭い観察眼と推理力であらゆる謎を解き明かす寺町のホームズこと家頭清貴(やがしら きよたか)でした。
この作品の魅力は何といっても殺人事件が起きないこと!
ミステリー小説を読みたいけれど怖いのはちょっと…という方にも楽しんでいただける作品だと思います。
品行方正だけどいけずな京男子にときめくこと間違いなしです!


京都寺町三条のホームズ(1) (双葉社)[ 望月麻衣 ]

 

2.「異邦人」 (いりびと) 原田マハ

原田マハといえば美術作品を題材とした「楽園のカンヴァス」「暗幕のゲルニカ」などのミステリー小説で有名です。
あらすじは、たかむら画廊の専務である篁一輝と有吉美術館の副館長であるその妻、菜穂。出産を控え京都を訪れた菜穂が出会った一枚の絵、描いたのは樹という若い女性画家でした。
本当の「美」とは何か、「美」を追い求める人間の末路とは。
この作品は川端康成の「古都」を意識して書いたそうです。
こちらも京都の四季を背景に物語が進む有名な作品。
ぜひ一緒に楽しんで、作者が意識したという「古都」との共通点を見つけてみてください。


異邦人 (PHP研究所) [ 原田マハ ]

 

3.「下鴨アンティーク アリスと紫式部」白川紺子(しらかわ こうこ)

3作目は読んでも眺めても楽しめる作品をご紹介します。
「下鴨アンティーク」の舞台は京都の鴨川。
そこで暮らすのは旧華族の娘、野々宮鹿乃。
祖母の影響でアンティーク着物を愛する高校生で古美術商人の兄、良鷹と下宿人の慧との三人暮らしです。
ある日鹿乃は祖母から開けてはいけないと言われていた蔵を開けてしまいます。
するとアンティークの着物たちに不思議な出来事が起こり始めて…。
着物だけでなく日本、海外問わず古典文学がカギを握るこの作品。
皆さんが知っている作品も出てくるかもしれません。
またなんといっても表紙がキュートで全8巻並べてみたくなりますね。
この作品の舞台になる下鴨は京都でも有名な下鴨神社のある人気の観光地。
そして下宿人の慧が准教授を務める大学のモデルは作者が通った同志社大学であったりと京都愛が溢れる作品となっています。

鹿乃が住んでいる下鴨をのぞき見できるのは集英社 オレンジ文庫さんのこちらのサイトから→
http://orangebunko.shueisha.co.jp/feature/shimogamo


下鴨アンティーク(アリスと紫式部) (集英社オレンジ文庫) [ 井上のきあ, 白川紺子 ]

 

4.「丸太町ルヴォワール」 円居挽(まどい ばん)

最後に、京都でミステリーを語るうえで外せないのが京都大学推理小説研究会!
こちらは京都大学にあるサークルなのですが綾辻行人、有栖川有栖といった有名なミステリー小説作家が多く在籍していたサークルです。
円居挽もその一人。円居挽は中高生にも人気のゲーム「Fate/Grand Order」の期間限定シナリオを担当するなどマルチに活躍しています。
物語の主人公は祖父殺しの疑いをかけられた御曹司、城坂論語。
彼はルージュという女と一緒にいたと証言しますが人がいた痕跡は見つからず、双龍会と呼ばれる私的裁判にかけられます。
彼は事件当日に出会ったルージュに恋をしてしまい、彼女にもう一度出会うため裁判に立ち向かうのです。
次々現れる個性豊かな登場人物と騙し騙される鮮やかなどんでん返しの連続であなたもルヴォワールシリーズの魅力に囚われてしまうかも。
シリーズは全4作。ゲーム好きも必読の作品です。


丸太町ルヴォワール (講談社文庫) [ 円居 挽 ]

 

まとめ

今回の京都本ミステリー小説編いかがでしたか?自分の知っている作品や作家さんもいらしゃったかもしれません。
第1弾の京都の大学出身者編でも様々な本についてお話しましたがこれだけたくさんの作家が京都を舞台に、しかも紫式部の「源氏物語」から千年も京都を書き続けているということ。
そして源氏物語の舞台の京都と今回取り上げた作品それぞれの舞台となった京都、町の変わらぬ伝統を残しつつ変化したことを楽しむことができる、文学作品の魅力であると改めて知ることができました。皆さんが京都を知るきっかけの一つとなったら嬉しいです。

え?じゃあ、一昔前の京都はどうだったんだって?いい質問ですね。
それでは、文学女子がオススメする京都本 第3弾 近代文学編にてまたお会いしましょう。

(立命館大学 文学部 田中陽奈子)

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