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「多十郎殉愛記」主演:高良健吾さんにインタビュー

「日本映画発祥の地」とも言われる京都。
そんな京都では「京都国際映画祭」が開催され、映画だけでなく、伝統工芸や芸能など、様々なジャンルの「アート」が世界に向けて発信されています。

2018年度の京都国際映画祭の映画部門で特別招待作品の1つとなった「多十郎殉愛記」は、武士の情念と殉愛を描いた「チャンバラ時代劇」。

今回、この映画で主演されている俳優の高良健吾さんへインタビューをさせていただきました!
撮影中のお話から、高良さんご自身のお話、時代劇への想い、そして全国の中学・高校生のみなさんへのメッセージと貴重なお話がたくさん。

最後まで是非読んでくださいね!

高良健吾(こうら・けんご)

1987年、熊本県生まれ。テンカラット所属。
2005年にドラマ「ごくせん第2シリーズ」で俳優デビュー。
第36回日本アカデミー賞優秀助演男優賞、第56回ブルーリボン賞主演男優賞など数多くの賞を受賞。
映画「蛇にピアス」、「ノルウェーの森」、「万引き家族」、
月9ドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう(フジテレビ系)」、
連続テレビ小説「おひさま」、「べっぴんさん」、
NHK大河ドラマ「花燃ゆ」など幅広く活躍。

「なぜ斬るのか」幕末の京都で描かれる武士の物語


(©︎『多十郎殉愛記』製作委員会)

-中島貞夫監督といえば京都を代表する巨匠ですが、出演された感想を聞かせてください。

中島監督の作品に主演として出させていただいたこと、そして直接監督の演出を受けられたことが本当に嬉しかったです。長期にわたって撮影のために京都へに通っていましたが、本当に幸せな時間でした。学びがとても多かったです。

―京都の印象はどうですか?

京都には、もともと仕事でも個人的にもよく来ていましたが、高い建物を建ててはいけないということもあって、空が広いのが素晴らしいなと思います。あと、風水で創られている町だから、気の流れがいいなと思いますね。東映京都撮影所の話で言えば、太秦のにいる独特のスタッフ。みんな常に仲が良く雰囲気がいいけれど、本番になった途端の切り替えの早さ、どしっと構えた雰囲気が好きです。

―映画の見どころを教えてください。

「なぜ刀を抜いたか、抜かなかったのか」、「なぜ斬ったか、斬らなかったのか」、「なぜここで戦うのか」、動作一つ一つにこだわりがあって、理由があって。ここを見てほしいです。
今流行りのアクションや殺陣では「素早い動きで、たくさん人を斬る」ことが多いと思います。この作品には、そういった人をたくさん斬るという派手さはありませんが、「武士とは、侍とは」といった精神性が描かれているので、映画の熱さを感じてほしいです。

「誰のための命」高良さんが考える武士の心

―今回の映画は「若い世代に時代劇を観てほしい」という監督の想いがあるとお聞きしたのですが、高良さんが考える時代劇の面白さはなんでしょうか

作品によって時代劇の面白さは変わってくると思うのですが、派手さが売りだったり、精神性が描かれていたり、時代劇は日本人が世界に誇れる題材であると思っています。もっと時代劇が世の中に浸透してほしい。例えば「月9」で時代劇も面白いのではないかなと思いますね。

―武士の精神性が描かれた作品であるというお話がありましたが、高良さんご自身が演技中に意識された「心」はありますか。

僕の好きな本に『葉隠(はがくれ)』という本があります。この本は佐賀藩(鍋島藩)の藩士が執筆した作品ですが、僕自身も九州出身なので不思議と心が合うんです。
「誰のために命を使うか、どういう風に命を使うか」を考えさせられる作品です。今の時代でその使い方をするのは難しいと思いますが、とても大事なことだと思います。有名な場面で、ざっくりとですが「生きるか死ぬかだったら死ぬほうを選べ」といった内容があります。これだけを見ると間違って取られることもありますが、そうではない。死を選んで覚悟を決めることで、まっすぐ進むことができるということなんですよね。

―殺陣(たて)を習得してから気持ちの変化はありましたか。

台本を読んでいる際に「どういう風に演じるのだろう」と思っていたものが、殺陣(たて)の稽古を積み重ねていくうちに自分の体に馴染んでいくという感覚がありました。現場の雰囲気や武士の衣装などもそうで。朝、現場に行って腰に刀を差すと何かが始まる感じがしました。

高良さんから読者へのメッセージ

―高良さん自身が学生の時に「やっておいてよかった」と思ったエピソードはありますか。

僕がこの世界に入ったきっかけが、街を歩いていたら雑誌の人に声をかけられたからなんです。「雑誌の1ページを高校生がつくる企画があるのだけど、やってみない?」って誘われたんですよね。興味はなかったのですが、面白そうだしやってみようかなって。そうしたら、その雑誌の編集長が今の事務所を紹介してくれて。
映画が好きだったこともあって、芸能界に飛び込みました。バイト感覚で「面白そう」と始めたことが実際ここまで繋がったので、興味がないことでもまずはやってみることが大事だと思いますね。

―全国の中学・高校生のみなさんに、何かアドバイスをお願いします。

もっとたくさん間違えたらいいのにと思います。
すぐ行動してしまう人間だったから、それで失敗や間違いをしていたんですよ。けれど「あれのおかげで今があるな」と感じるものが多くて。躊躇するくらいなら、やって失敗すればいいのにと思いますね。同世代で集まったとき、「あれやっておけばよかった」という会話になります。やっておけばよかったと話す相手の顔が一番悔しそうに見えますね。


(広報部のポーズをしてくださいました)

最後に、「早めに自分のいい手本を見つけること」が大切であると教えてくださった高良健吾さん。「1人をお手本にするのではなく、ここの部分はこの人だ、これはこの人がお手本だって、それぞれのお手本を作ればいい、完璧な人間はいないから。」というメッセージをいただきました。

正直、私は時代劇に苦手意識があり、刀のぶつかり合う音や、血を流すシーンが得意ではありません。しかし、ただ「人が斬られるだけの残酷なドラマ作品」という私のイメージは、今回の作品を観て変わりました。 大勢の敵に囲まれ、もはや勝ち目のない状況でも立ち向かう。高良さん演じる多十郎からは、大切なものを守るために覚悟を決めた「男の情念」が伝わってきました。

「大切なものを守るために覚悟を決める」こと。
高良さん演じる多十郎の役からは、このような教訓が学べます。この映画のように生死をかけた戦いではなくても、例えば受験や就職活動で、自分の人生をかけた真剣勝負に出ることはあるはず。時代劇として純粋に楽しめるだけでなく、とても考えさせられる作品です。是非皆さんも4月12日から映画館に観に行ってみてくださいね!

多十郎殉愛記

監督:中島貞夫
出演:高良健吾 多部未華子 木村 了
2019年4月12日公開
【公式サイト】http://tajurou.official-movie.com/
【予告編】https://www.youtube.com/watch?v=89G72zWwq3E
配給:東映 よしもとクリエイティブ・エージェンシー
©️『多十郎殉愛記』製作委員会

 

(ライター:同志社大学 文化情報学部 森川梨美)
(取材協力:佛教大学 社会学部 唐澤葵衣)

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