3年間、同志社大学トライアスロン部マネージャーをして成長したこと
「大学の体育会・部活動ってどんなことをするの?」
「選手を支えるマネージャーの仕事は?」
燃えるものやキラキラした青春・仲間。
そんな時間や感動は人生の中でいろんなかたちであるけれど、
大学でしか得ることのできない瞬間がきっと、確かにあるはず。
そこで今回、同志社大学トライアスロン部マネージャーとして活躍する
同志社女子大学 現代社会学部 3回生の藤永菜緒さんに取材させていただきました。
もくじ
同志社大学トライアスロン部とは
トライアスロンとは、水泳・自転車ロードレース・長距離走の3種目を順番で連続して行う耐久競技です。
同志社大学体育会トライアスロン部は1991年に創立し、今年で27年を迎える伝統部。
現在は総勢44名で活動し、年に5回学生公式レースの出場や日本選手権,世界選手権にも出場しています。
平日は今出川キャンパスと京田辺キャンパスに分かれて練習をし、休日は合同練習を行います。
日々の練習は基本、授業の空きコマを利用。自分の時間割と空いている時間を見つけ、選手とマネージャーが一緒に練習します。
京田辺キャンパスでの平日の練習は
〇水泳(swim):大学内の屋外プールで練習
〇自転車(bike):郊外で練習 室内で自転車を固定させるローラー練習
〇長距離走(run):大学内の陸上競技場で練習
といった具合に行われています。
お互いの練習状況を把握するためにBLUEOCEANS(ブルーオーシャンズ)というトライアスロンの専用アプリを使用。
(BLUEOCEANSトライアスロン専用アプリ)
今年の3回生幹部であるswimのパートリーダーがアプリを見つけ、導入しました。
このアプリを使って今日の練習メニューや走行距離、反省や目標などを書き込んで、メンバー全員で共有できるようにしています。
マネージャーが選手の練習を支え、管理することにも役立っているそうです。
選手の練習環境を整える
――トライアスロン部のマネージャーの仕事は?
マネージャーの仕事は、「基本的に選手の練習環境を整えること」です。
自分の得意なところを活かして、それぞれが考えて仕事をしています。
私の場合だと、もともと水泳や陸上をしていた経験を活かして選手にマッサージをしたり、選手の泳ぎや走るフォームを見れる範囲で見て、アドバイスしています。
練習中はタイムの測定や選手のマッサージをし、練習外ではタイムの分析を行います。
例えば、コースの走時間を競うタイムトライアルの後に、結果を一覧にして他大学の数年間の記録と比較をします。
今この大学がどれだけ伸びているとか、そのためにどれぐらいタイムを伸ばさないといけないか考えます。
一緒に成長を感じていける
――トライアスロン部マネージャーのやりがいは?
トライアスロンは大学から始める選手がほとんどで、ゼロからのスタート。
そのため、始め泳げなかった選手や全然実力のなかった選手の成長をより強く感じることができます。
自分と一緒に一生懸命練習してきた選手がどんどん速くなったら嬉しいと思うし、その人の成長をはじめから一緒に感じられることが一番のやりがいです。
自分の心境の変化・感謝していること
――トライアスロン部マネージャーをしていて忘れられないことは?
1回生の春、トライアスロン部のマネージャーになって何もかもが初めてのことだらけ。
マネージャーとしての仕事を覚えるのに必死で「とりあえずやらなあかん」「何かしなあかん」という思いでいっぱいでした。
秋学期の頃からマネージャーの仕事が一通りこなせるくらい定着し、自分の中で少し心の余裕が生まれたころ。マネージャーの仕事が一通りこなせることへの安心感に満足していた時期がありました。
そんなとき、4回生の卒業式で先輩選手からいただいた手紙に
「マネージャーとしてはまだまだ未熟や。幸いにもマネージャーとして尊敬すべき先輩がいるから、なおちゃんも早く近づけるように頑張ってほしい。そんな姿が早く見たい。」
手紙の内容は厳しい言葉でした。
当時の自分は仕事ができると思っていたけれど、先輩から見たら自分の姿ってまだまだ未熟だったんやって手紙を読んで気づかされました。
現状に満足している自分にすっごく腹が立ったし、情けないし悔しいと思いました。
相手に本心でぶつかることは実際にはかなり勇気がいることだと思うけど、その先輩は私のことを思って厳しい言葉を残してくれたので、本当に感謝しています。
自分のだめなところに気づけて、「まだまだ自分も頑張らないと」ってギアを入れ直すことができました。
その先輩の一言がなかったら、私は変わることはできなかったのかなって思うし、やっぱり先輩選手から言われることは自分の中で心に響くものがあったので、マネージャーをしていて一番忘れられない出来事となりました。
選手自身を知る・心をひらく
1回生の頃は、今振り返るとタイムを計って、選手に水を渡してっていう言われたことをそのままする感じだったと思います。
自分で考えてするっていうのがなかったんです。私の性格上、前に出るのが苦手だったからあまりできなかった。
でも先輩からいただいた手紙がきっかけで、変わることができました。
陸上と水泳を経験してきて、他のマネージャーにはあまりない強みがあるから、練習中、積極的にフォームのアドバイスをしたり、選手の疲労がたまってるかなと思ったら「マッサージしますか」って声かけをしたりしています。
――マッサージは自分で勉強するの?
先輩に聞いたり、本を読んだりもしたけどやっぱり選手にマッサージをして学んだことが多いかな。
「疲れている所は、ここであってますか?」って選手と話しながらポイントをつかんでいきました。
お母さんや妹にもマッサージをして、とりあえず数をこなしました(笑)。
練習が終わると、今までは「ありがとうございました、はい、解散」って感じだったけど
もっと選手自身を知ったほうがいいなと思って
練習後に「今日はどうやった?」とか「練習中見ていてこんな風に思ったんだけど、最近どうなん?」とか、選手があまり自分では言い出しそうにない話を聞き出せるよう心掛けてます。
あとは、トライアスロンの練習以外にも、選手のプライベートの話や例えば好きな食べ物の話など、そういうことを気軽に話せる存在になりたいと思っています。
こっちから心を開いて、話すようになったことで選手も自然に話すようになってくれたかなと思います。
100%できているかは分からないけど、練習中も常に自分では言い出しそうでないことを聞き出すことを念頭に置くようにしていて、考えて行動できるようになったかなって。
高校生の時に陸上をしていた選手時代を思い出して、マネージャーさんにされて嬉しかったこととか、逆にもっとこういうことしてほしかったなとかを思い出しながらしています。
人のために何かをしたい
――将来、思い描く夢はありますか。
自分が仕事に就くときは、自分のしたことで相手に喜んでもらったり、感謝してもらったり、時には厳しいこともあると思うけど、将来も何か人と関わって人のために何かをしたいかな。
自分のしたことで人にこんなに喜んでもらえるんだっていう感情は、マネージャーになってから気づけたことです。
私は自分の気持ちを汲み取ってほしいっていうタイプで、今まで人に積極的に話しかけることがなかなかできませんでした。
トライアスロン部のマネージャーになって、自分の思いを伝えないと本当に相手に気づいてもらえないんだっていう厳しさを経験しました。
「自分はこう思っている」っていう心の思いをしっかり伝えて、自分から動かないといけないと感じます。
全国の中高生の皆さんにメッセージ
現状の自分に満足せずに、常に上をみて自分の理想を追い求めてほしいです。
一緒に練習するトライアスロンの選手を見てたら、ほんまにすごいなって思う。
入学したら部活でもサークルでもいいから、何かに入って人とのつながりは大事にした方がいいと思います。
それが自分のモチベーションにもつながるし、やりがいにもつながるし、一生残るものだから。
(佛教大学 社会学部 唐澤葵衣)