留学生が「変化」の鍵を握る!?NISSHA見学ツアーに密着!
9月にご紹介した京焼・清水焼窯元見学に続いて、「KyoTomorrow Academy」による留学生のための企業見学ツアー密着の第二弾。
NISSHA株式会社の企業見学ツアーをレポートします!
KyoTomorrow Academy主催の企業見学ツアー(株式会社陶葊)についてのコトカレ記事は、こちらから
もくじ
NISSHA株式会社について
NISSHA株式会社(以下、NISSHA)は1929年に創業され、美術全集や図録などを数多く手がけ、高級美術印刷の会社として高い評価を確立しました。その後、NISSHAはコア技術と製品群の多様性を追求し、現在では電子ディバイスや医療機器分野など4つの事業を展開し、海外売上高比率8割超、全社員の半分以上は海外籍と世界を舞台に活躍しています。
印刷は紙だけじゃない!広がり続けるNISSHA製品
今回の企業見学ツアーでは、はじめに人事部の坪田和弘さんからNISSHAの会社・事業概要についてご説明とショールームでの製品見学が行われました。
ショールームには、自動車向け内装部品、フィルムタッチセンサー、医療用電極など、現在NISSHAで作られているさまざまな製品が展示されています。自動車やゲーム機など、誰もが名前を知る世界的メーカーのキーパーツに採用されていることに驚きました。
「印刷会社」と聞くと紙に文字などを印刷する会社というイメージが強かったのですが、さすがNISSHA。
「印刷は、紙の表面に文字や色を再現する技術だというイメージをお持ちではないでしょうか。実は、印刷は紙以外の素材にも可能です。さらには、単に文字や色を付けるだけでなく、特殊なインクで印刷することで指紋が付きにくいといった機能を施すことで付加価値を生み出すことのできる技術です」という坪田さんのお話に、留学生もびっくり!
今回参加した留学生の出身国はそれぞれ異なりますが、その中でも「これ見たことある!」「使ったことある!」と言う声が多く聞こえたのも印象的でした。
日本へ留学に来る前に“実は”NISSHAの技術が採用された製品に触れていたという学生が多かったことも、グローバルに展開しているNISSHAだからこそではないでしょうか。
続いて向かったのは、これまでNISSHAで作られてきた製品が年代順に展示されている部屋。
ここではディバイス事業部 事業戦略部 事業推進グループ グループ長の齋藤明洋さんが、展示されている製品とともにNISSHAの歴史を丁寧に説明してくださいました。
「NISSHAは1929年に創業者である鈴木直樹氏の自宅でスタートしました。創業理念は「活字印刷であればだれでもできる。他社の手がけない高級印刷をやろう」。
そして写真技術があまり注目されていなかった当時、他の会社がまだ取り組んでいなかった写真集や絵本といった高級美術印刷に取り組む会社として評価を確立していきました。
1960年代に入ると、現在のように紙以外への印刷にも取り組むように。
はじめはプラスチックに木目の柄を印刷する技術から始まり、1970年代に入ると、さらに印刷の技術を応用し、電子部品まで幅を広げていきました」
なるほど、NISSHAの紙の印刷にとどまらないチャレンジ精神はこうして作られていたんですね!
「10年後、どうなっているかわからない。だからこそ、それに対応し続けるために、いろいろなバックグラウンドを持った人が集まった会社であるべきなんだと思います。」
そう語る齋藤さん。
変化を続けていくための大事な鍵は、世界からきている留学生が握っているのかもしれません。
多様な見方で答えを目指す!ワークショップ
ショールーム見学の後は、グループに分かれて、齋藤さんから出されたテーマについて考えるワークショップの時間。
NISSHAの主力製品であるタッチセンサーは、携帯電話からスマートフォンへと市場トレンドが変化する場面においても最先端の技術を提供し続けています。今後注目される市場はどこか、その市場でいかに優位性を保ち続けられるか、について皆で考えました。
専門的なようですが、齋藤さんの説明を真剣に聞き、しっかりと理解した様子の留学生。過去の製品も見ながら、早速話し合いにうつります。
実際に京都学生広報部員も話し合いに参加する中で驚いたのは、留学生の視点の多様さです。
自分の国にある同じ機能を持った製品を例に挙げたり、自分の国だったら、もっとこうするだろう、という多様なバックグラウンドをもつ留学生ならではの意見が続々出てきます。
また、利便性や環境面など育った国によって、フォーカスするポイントが異なる点も留学生が集まった話し合いならではだと感じました。
ショールーム見学の時に齋藤さんから聞いた「変化に対応し続けるために、いろいろなバックグラウンドを持った人が集まる」という言葉の意味をここで実感しました。
内側に視点を増やす。変化のために必要なこと。
「グローバル化」って、私たちにとって一体どういうことなんだろう?
めまぐるしく変わり続ける社会に、どう対応していけばいいんだろう?
イベント終了後、今回の企業見学ツアーをご担当いただいた齋藤さんにお話を伺いました。
――働く中でグローバル化について思うこと、感じることはありますか?
斎藤さん:海外での売上高が8割を占めるNISSHAで感じるのは、日本のメーカーの多くが日本人だけで製品を作っているということです。
海外のメーカーでは、さまざまな国籍の人が所属していることが多いんです。
つまり、それだけさまざまな考え方や価値観が集まっているということですよね。
逆にいえば、日本人ばかりが集まっている場所では、日本だけの価値観でしか考えることができず、新しい視点をなかなか切り出すことができない。
お客さまや社会の変化についていくだけでは、遅れをとってしまう。
外から言われて動き出すのではなく、内部で多様な視点を持って、変化に対応していく。
「変化を、成長に」
“Change for Growth”
私たちNISSHAは、今後も変わり続けていきます。
そのためにも、さまざまなバックグラウンドと視点を持った人と一緒に働き、ともに成長していきたいです。
おわりに
今回のイベントを通じて、京都学生広報部の私も、留学生の製品を見る姿勢や、多様な視点に新鮮さを感じ、刺激を受けました。
進路や就職先を考えるとき、新しいことにチャレンジするとき。
常に「変化」が求められている私たちの日々の生活にも、自分だけの頭と知識ではどうにも前に進めないことはたくさんあります。
進んでいるつもりでも、途中で方向性を見失うこともたくさんあるのではないでしょうか?
そんな時、まずは、「遠く離れた国の価値観に触れる」という変化を自分の中に起こしてみてはいかがですか?
思いもしなかった新たな価値観との出会いが、次なる変化のヒントを与えてくれるはず!
(文:同志社女子大学 表象文化学部 西山萌花)
(写真:立命館大学 産業社会学部 木村天音)